台所番長が選ぶ 気分を上げる「家バーベキュー」道具
合羽橋の台所番長が料理道具を徹底比較
合羽橋の老舗料理道具店「飯田屋」の6代目、飯田結太氏がイマドキの調理道具を徹底比較。今回は、自宅で楽しむバーベキュー(BBQ)をグレードアップする、プロが絶賛するBBQ用調理道具を紹介する。(価格はすべて税別)
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こんにちは、飯田結太です。新しいライフスタイルが浸透し、自宅での食事にこだわりたいという声をよく聞くようになりました。食材はもちろん、手間をかけるときも時短で調理するときも徹底的にこだわることで、今までよりも充実した「おうちごはん」を楽しむ人が増えてきたようです。そこで今回の提案は、「自宅で本格的なBBQを楽しもう」です。
BBQ道具は外で使うことが前提。大きくて収納場所に困ったり、使い方が難しかったり、作業が大変だったりしました。そのままでは、自宅やベランダで行うには大げさになり過ぎてムリですよね。これからは、コンパクトで機能豊か、使い勝手が良くて丈夫、さらにデザイン性もこだわりのあるものが主流になると思います。こだわりが強いぶん、少し値ははりますが、満足度の高いBBQができる、プロにもファンが多い調理道具を紹介します。
ミミはカリッのホットサンドができる2Way
ここ数年、ホットサンドがブームで多種多様な商品が発売されています。私もホットサンドが大好物で、店に専用コーナーを作ってしまったほど。私が何十種類ものホットサンドメーカーを試用した中でほれこんだのが、下村企販(新潟県燕市)の「家事問屋 ホットパン」です。
ホットパンの特徴は、具材をたっぷり挟んでもはみ出さないくらいの厚みがあり、パンのミミ部分はカリッと、中心はしっとり仕上がること。そのヒミツは、ホットパンの内側のユニークな構造にあります。フチに深い溝があり、中心には焼きめがしっかりつくように凸凹になっています。
一般的なホットサンドメーカーは、パンのミミをぎゅっと挟んでつぶしてくっつけることで具材を閉じ込めて焼き上げますが、ホットパンは、ミミが当たる部分に深い溝があり、ミミがつぶれることなくカリッと焼きあがります。そして、深い溝でしっかりプレスすることで、具材をたっぷり挟んでもはみ出すことなく作れるのです。コロッケやから揚げをそのまま挟んでも大丈夫!
ホットパンが優秀なワケは、アルミダイカスト製だから熱伝導率が高く、短時間でしっかり調理できるうえ、ガス火とIHの両方で使用できること。さらに、2つのフライパンとして分解して使えるので、BBQでも使い勝手が良く、肉や野菜もおいしく焼きあがります。ソロキャンプの道具としてもおすすめ。これ一台でいろいろな使い方ができます。
すき焼きもできるタークのグリルパン
フライパン好き、料理好きが憧れる、手作りフライパンのブランド、ターク。ドイツの老舗フライパンブランドであるタークが日本オリジナルで作ったフライパンがあります。それが「クラシックグリルパン」。日本料理のすき焼き用にも使える形として、フライパンの両側に取っ手を付けたデザインは、知る人ぞ知る商品。
これがBBQに最適なのです。両側に取っ手が付いているので、食卓に置かれたカセットコンロの上でも調理がスムーズ。テーブルに置いても、絵になるかっこよさです。最小の直径20センチサイズのもので板の厚みが約2.5ミリもあるので、熱が均等にいきわたるのが特徴。ステーキはもちろん、すき焼き、パエリアもおいしくできます。とにかくさまになる調理道具なので、BBQのメインとして使えば、場が盛り上がること間違いなし。
アヒージョに最適なココット
私の最近のブームの一つにアヒージョがあります。オリーブオイルにニンニクのみじん切りとシーフードを入れてグツグツと煮込む料理は、おうちBBQのときも、1人でベランダで飲むときも欠かせない一品です。とはいってもたくさん食べる料理ではないので、小さい鍋が必要です。
アヒージョ用としておすすめしたいのが、オークス「レイエ グリルココット」。これは、鋳鉄製の鍋スキレットと、陶器のココットのいいとこどりした鍋。
全長20センチと小さいので、魚焼きグリルの網に載るうえ、鉄製なので熱を逃がさず、保温性も高いのが気に入っています。そのまま食卓に置いてもかっこよく決まるので手放せません。また、カマンベールチーズをそのまま載せて焼けば、チーズフォンデュの出来上がり。BBQのサイドメニューとして大活躍しますよ。
しっかりつかめてソースもすくえる、機能トング
BBQに欠かせない調理道具、トング。各メーカーが様々なトングを発売しています。たくさんある中から使いやすいトングを選ぶコツは、必ず手で握って試してみることです。握り心地が良くないと食材を上手につかむこともできません。バネがやわらかく柔軟性があると手が疲れづらいのですが、やわらかすぎるとつまんだ際にトングがうまくかみ合わずに食材を落としてしまうこともあります。
また、ゆで卵やパスタのような軟らかいけれどつぶれやすい食材をつかみやすいように設計されたトングは、しっかりと厚みのある肉をつかむときにはうまくいかないということがよくありました。そんな弱点を見事に解決し、プラスアルファの機能を加えたのが、オークス「ソースもすくえるガッシリトング」です。
これは、名前の通り、片方の先端がスプーン状になっていてソースをすくえるトング。バネがやわらかくて軽い握り心地なのに、ステーキもゆで卵もしっかりつかんで、食材をつぶすことがない優れもの。今まで、肉用、パスタ用など、いくつものトングを持っていた人は、このトングひとつでOK。
やわらかくて軽い握り心地は感動ものです。一度試してみてください。
火の中でも安全? 防火服のようなオーブングローブ
BBQの際に大切なのが火の取り扱いです。やけどをしないように十分に気を付けて調理するために、オーブングローブをつけますが、安全なのはわかっていても一般的なものはミトンタイプなので、細かい作業がしづらくなりますよね。
そこに登場したのが、5本指に分かれた手袋タイプ。しかも消防士が身に着ける防火服と同じ素材で作られているので、耐熱性、耐燃性に優れているうえに、シリコーングリップ付きで滑りにくいと、調理だけではもったいないほどの機能です。
調理道具には、リーズナブルで便利なものもたくさんありますが、少し高価でも、長い歴史を持つメーカーや機能を追求しているメーカーが作る調理道具は丈夫で長持ちなうえ、こだわりポイントが満載でわくわくします。自宅でのBBQも今まで以上に充実したものになると思います。(談)
(文 広瀬敬代、写真 菊池くらげ)
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