2020/8/28

在宅勤務が女性活躍に及ぼす影響とは?

コロナ禍で急速に広がった在宅勤務。これまでは在宅勤務ができる場合であっても、一部の職種や育児・介護をする社員などに限られて運用されてきた企業は少なくありません。女性のための両立支援策として行われてきた場合もあるでしょう。

こうした非常事態にあって、社員が一斉に在宅勤務できる環境を経験したことは、今後の働き方を考えるうえで、試金石になったと言えます。非常事態宣言後、これまでのような出社スタイルに戻る企業もあれば、週に何日か在宅勤務ができるようになった企業もあり、対応はそれぞれです。

一部の企業では、今後もずっと在宅勤務にすることを発表していますが、これは女性活躍という視点で見たときに、大変意義のあることだと思います。在宅勤務が育児や介護など一部の限られた人のためのものではなく、誰もが同じような環境で働けることで、ようやく女性も同じ土俵に立てるという気持ちになります。

一方、家庭にいる時間が長くなることで、女性だけに家事・育児分担が偏ることがないようにしていくことも、とても大事なテーマと言えます。

在宅勤務は、仕事の自律性や自由裁量が高まりやすく、職務満足度の向上につながりやすいと言われます。逆にいえば、職務が曖昧で自律的に働けない人にとっては向いていない勤務形態と言えるでしょう。

在宅勤務が広がり、不必要な人事異動や単身赴任、長時間労働などワークライフバランスを阻害するものがなくなれば、さらに変わっていくでしょう。従来の日本型雇用システムでは、いつどこにでも異動でき、長時間労働にコミットできる人材が評価されてきました。まるで女性が蚊帳の外にいるようなものです。

男性と同じような環境で在宅勤務ができることは、公平な環境をもたらしてくれると言えます。さらに職務と評価基準が明確になれば、やる気のある女性にとってはチャンスが広がります。

ただ、一足飛びにジョブ型雇用に移行するとは思えません。働き方についても、様々な選択肢が考えられます。ひとつ言えることは、ますます自分でキャリアをデザインしていくことが重要になっている、ということです。どのようなワークスタイルであれ、何の分野でプロになるかを考え、自分の専門性や強みに磨きをかけていくことは大切と言えるでしょう。

佐佐木由美子
人事労務コンサルタント・社会保険労務士。中央大学大学院戦略経営研究科修了(MBA)。米国企業日本法人を退職後、社会保険労務士事務所などに勤務。2005年3月、グレース・パートナーズ社労士事務所を開設し、現在に至る。女性の雇用問題に力を注ぎ、働く女性のための情報共有サロン「サロン・ド・グレース」を主宰。著書に「採用と雇用するときの労務管理と社会保険の手続きがまるごとわかる本」をはじめ、新聞・雑誌などで活躍。
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