コロナで広がるテレワーク 私たちの働き方どうなる?人生100年時代のキャリアとワークスタイル

2020/8/28
新型コロナウイルスの影響で雇用の在り方も変化している(写真はイメージ=PIXTA)
新型コロナウイルスの影響で雇用の在り方も変化している(写真はイメージ=PIXTA)

新型コロナウイルスは、働き方改革の呼び声では進まなかった私たちの働き方を見直す契機となりました。新型コロナウイルス感染防止のために、多くの企業では在宅勤務に切り替え事業を継続。今後も長引く影響を見据え、在宅勤務を主体とするテレワークの恒久化に舵(かじ)をきった企業も少なくありません。こうした働き方の変化によって、職務内容を明確にして成果で処遇する「ジョブ型」雇用を検討する企業が出始めるなど、雇用の在り方も変化しています。なぜ、ジョブ型が注目されているのでしょうか。また、在宅勤務が広がることで、女性に活躍の場は広がっていくのでしょうか。

コロナ禍が働き方の変化をもたらす契機に

新型コロナウイルスによる緊急事態宣言解除後にパーソル総合研究所が実施した調査(5月29日~6月2日)では、5月のテレワーク実施率は全国平均で25.7%、東京圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)では41.1%という結果が出ました。エリアなどによって違いはあるものの、テレワークという働き方がかつてないほど身近なものになっています。

ドワンゴは7月から約8割の従業員について在宅勤務を恒久化すると発表。カルビーも原則在宅勤務とした措置を無期限で延長し、さらに業務に支障がなければ、単身赴任を解除する方針を打ち出しました。

在宅勤務が広がる一方で、労務管理上の課題も出てきています。

たとえば、在宅勤務になると仕事とプライベートの境界線を厳格に引いて、社員を時間で管理するのは難しくなります。かといって、所定労働時間を働いたものとみなす「事業場外みなし労働時間制」や「裁量労働制」は、法律上の要件もあるため、すべての人に適用できるわけではありません。日本は、労働時間=給与という考えが根底にあり、1時間当たりの最低賃金も法律で定められています。労働時間で管理すること自体が難しくなってきている状況もある中で、在宅勤務におけるひとつの課題といえるでしょう。

また、在宅勤務になると仕事のプロセスが見えにくく、これまでのように上司が部下の働きぶりを細かに見ることはできません。そうなると、人事考課においても、業務の成果を中心に評価せざるを得なくなります。別の言い方をすれば、職務や役割が明確であれば、離れた場所にいてもIT(情報技術)を通してうまく機能し生産性も上がる、ということでしょう。

こうした中、在宅勤務制度を採り入れている日立製作所や富士通、KDDI、資生堂などをはじめ、大手企業がジョブ型雇用への移行を次々と発表しています。

「ジョブ型」とは、職務に必要となる能力を細かに記したジョブディスクリプション(職務記述書)を示し、最適な人材を配置する欧米では一般的な雇用形態をいいます。企業が求める能力を明確にして雇用契約を結ぶことから、成果で評価されることになります。

これに対し、日本は「メンバーシップ型」と言われ、新卒一括採用した人材を、終身雇用を前提に育成し、必要人材は転勤や配置転換などを行い、社内で調達するやり方が一般的です。賃金は自然と年功序列型となり、たとえ同じ職務をこなしていても勤続期間が長いほど、一般的に給与も高くなります。

在宅勤務の広がりなど、コロナ禍が働き方の変化をもたらす契機になっていることは間違いありません。在宅勤務で見えてきた課題を踏まえ、ジョブ型への転換が議論される背景には、社内で人材を調達するメンバーシップ型では、急速なデジタル化やグローバル化などの変化についていけなくなったこと、高止まりする人件費を抱えきれなくなったことも大きく影響しているでしょう。

事実、経団連も新卒一括採用、年功序列型賃金、終身雇用の3つに代表される日本型雇用制度について、経済のデジタル化などに対応できないとして強い危機感を示し、ジョブ型雇用の拡張を提案しています。

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ジョブ型雇用実現には人材の流動性も課題に