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コロナで広がるテレワーク 私たちの働き方どうなる?

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新型コロナウイルスは、働き方改革の呼び声では進まなかった私たちの働き方を見直す契機となりました。新型コロナウイルス感染防止のために、多くの企業では在宅勤務に切り替え事業を継続。今後も長引く影響を見据え、在宅勤務を主体とするテレワークの恒久化に舵(かじ)をきった企業も少なくありません。こうした働き方の変化によって、職務内容を明確にして成果で処遇する「ジョブ型」雇用を検討する企業が出始めるなど、雇用の在り方も変化しています。なぜ、ジョブ型が注目されているのでしょうか。また、在宅勤務が広がることで、女性に活躍の場は広がっていくのでしょうか。

コロナ禍が働き方の変化をもたらす契機に

新型コロナウイルスによる緊急事態宣言解除後にパーソル総合研究所が実施した調査(5月29日~6月2日)では、5月のテレワーク実施率は全国平均で25.7%、東京圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)では41.1%という結果が出ました。エリアなどによって違いはあるものの、テレワークという働き方がかつてないほど身近なものになっています。

ドワンゴは7月から約8割の従業員について在宅勤務を恒久化すると発表。カルビーも原則在宅勤務とした措置を無期限で延長し、さらに業務に支障がなければ、単身赴任を解除する方針を打ち出しました。

在宅勤務が広がる一方で、労務管理上の課題も出てきています。

たとえば、在宅勤務になると仕事とプライベートの境界線を厳格に引いて、社員を時間で管理するのは難しくなります。かといって、所定労働時間を働いたものとみなす「事業場外みなし労働時間制」や「裁量労働制」は、法律上の要件もあるため、すべての人に適用できるわけではありません。日本は、労働時間=給与という考えが根底にあり、1時間当たりの最低賃金も法律で定められています。労働時間で管理すること自体が難しくなってきている状況もある中で、在宅勤務におけるひとつの課題といえるでしょう。

また、在宅勤務になると仕事のプロセスが見えにくく、これまでのように上司が部下の働きぶりを細かに見ることはできません。そうなると、人事考課においても、業務の成果を中心に評価せざるを得なくなります。別の言い方をすれば、職務や役割が明確であれば、離れた場所にいてもIT(情報技術)を通してうまく機能し生産性も上がる、ということでしょう。

こうした中、在宅勤務制度を採り入れている日立製作所富士通KDDI資生堂などをはじめ、大手企業がジョブ型雇用への移行を次々と発表しています。

「ジョブ型」とは、職務に必要となる能力を細かに記したジョブディスクリプション(職務記述書)を示し、最適な人材を配置する欧米では一般的な雇用形態をいいます。企業が求める能力を明確にして雇用契約を結ぶことから、成果で評価されることになります。

これに対し、日本は「メンバーシップ型」と言われ、新卒一括採用した人材を、終身雇用を前提に育成し、必要人材は転勤や配置転換などを行い、社内で調達するやり方が一般的です。賃金は自然と年功序列型となり、たとえ同じ職務をこなしていても勤続期間が長いほど、一般的に給与も高くなります。

在宅勤務の広がりなど、コロナ禍が働き方の変化をもたらす契機になっていることは間違いありません。在宅勤務で見えてきた課題を踏まえ、ジョブ型への転換が議論される背景には、社内で人材を調達するメンバーシップ型では、急速なデジタル化やグローバル化などの変化についていけなくなったこと、高止まりする人件費を抱えきれなくなったことも大きく影響しているでしょう。

事実、経団連も新卒一括採用、年功序列型賃金、終身雇用の3つに代表される日本型雇用制度について、経済のデジタル化などに対応できないとして強い危機感を示し、ジョブ型雇用の拡張を提案しています。

一方、政府は「全世代型社会保障改革」を掲げ、高年齢者雇用安定法の一部を改正し、2021年4月から70歳までの高年齢者就業確保措置を努力義務とし、就業支援を打ち出しています。この法改正は、意欲ある人が長く働ける環境を整備することが狙いにありますが、企業においては人件費増加につながる懸念もあります。また、働き方改革の目玉である「同一労働同一賃金」もジョブ型雇用の考えが基本にあり、従来の雇用慣行の見直しは待ったなしと言えます。

ジョブ型雇用実現には人材の流動性も課題に

ジョブ型雇用への転換は、必然の流れとも言えますし、グローバル企業ではなおさらそうだといえるでしょう。欧米ではジョブ型雇用が主流で、業種や国境を超えて優秀なグローバル人材を採用するには、これまでの雇用の在り方を見直さざるを得ません。

ただし、ジョブ型雇用には懸念点もあります。

職務を明確にするためにジョブディスクリプションを作成して評価基準を明らかにすることは極めて有用ですが、社内でしか通用しないものだと外部からの人材を引き込みにくくなります。

そもそも、企業を超えた評価基準がないため、同じ職務でもA社とB社とでは大きく違ってしまう……ということになりかねません。日本が真にジョブ型雇用に移行するなら、企業を超えて職務に応じた評価基準を設けることが必要になるでしょう。これには相当の時間もかかりますし、職務も一定のものに限られてくるかもしれません。

また、終身雇用が長らく続いてきた日本では、人材の流動性が活発ではありませんでした。ジョブ型雇用がうまく機能するには、企業間の人材移動は欠かせません。転職が不利にならない労働市場の整備が重要となります。

さらに日本の場合、解雇要件を厳しく限定した判例法理が確立している点も、人材の流動性を妨げている一因といえます。たとえば、企業の経営戦略に合わせて、ある事業分野から撤退することで、これまで必要とされていた職務が不要となる、というケースなどは十分に考えられます。この場合、別の企業で求められているとしても、本人に転職の意思がなければ、企業は解雇することも難しく、社内で別の職務をあてがうために人事異動を……ということになれば、職務ごとの専門性は育ちません。

このように、ジョブ型雇用が日本で普及するには、企業ごとの人事システムを見直すことはもちろん、社会全体のインフラと労働法制の見直しも重要なファクターになると考えます。

すべて一律に、ジョブ型雇用の導入が望ましいというわけでもないでしょう。中小企業の場合、人員が限られていることもあり、職務を細かく限定するよりも、複数の仕事をこなせる多能工的な人材を求める場合も少なくありません。

職務がうまく切り出せるなら、その分野に強みを持つ個人事業主やフリーランスに任せることもできるでしょう。健康機器メーカーのタニタでは、希望する社員を個人事業主として業務委託契約に切り替える制度を採り入れています。

あるいは、副業・兼業という形で特定の職務を外部人材から採用する動きもあります。たとえば、ヤフーは「ギグパートナー」と称して、様々な職務において、スキルや経験を明確にして人材を公募しています。

在宅勤務が女性活躍に及ぼす影響とは?

コロナ禍で急速に広がった在宅勤務。これまでは在宅勤務ができる場合であっても、一部の職種や育児・介護をする社員などに限られて運用されてきた企業は少なくありません。女性のための両立支援策として行われてきた場合もあるでしょう。

こうした非常事態にあって、社員が一斉に在宅勤務できる環境を経験したことは、今後の働き方を考えるうえで、試金石になったと言えます。非常事態宣言後、これまでのような出社スタイルに戻る企業もあれば、週に何日か在宅勤務ができるようになった企業もあり、対応はそれぞれです。

一部の企業では、今後もずっと在宅勤務にすることを発表していますが、これは女性活躍という視点で見たときに、大変意義のあることだと思います。在宅勤務が育児や介護など一部の限られた人のためのものではなく、誰もが同じような環境で働けることで、ようやく女性も同じ土俵に立てるという気持ちになります。

一方、家庭にいる時間が長くなることで、女性だけに家事・育児分担が偏ることがないようにしていくことも、とても大事なテーマと言えます。

在宅勤務は、仕事の自律性や自由裁量が高まりやすく、職務満足度の向上につながりやすいと言われます。逆にいえば、職務が曖昧で自律的に働けない人にとっては向いていない勤務形態と言えるでしょう。

在宅勤務が広がり、不必要な人事異動や単身赴任、長時間労働などワークライフバランスを阻害するものがなくなれば、さらに変わっていくでしょう。従来の日本型雇用システムでは、いつどこにでも異動でき、長時間労働にコミットできる人材が評価されてきました。まるで女性が蚊帳の外にいるようなものです。

男性と同じような環境で在宅勤務ができることは、公平な環境をもたらしてくれると言えます。さらに職務と評価基準が明確になれば、やる気のある女性にとってはチャンスが広がります。

ただ、一足飛びにジョブ型雇用に移行するとは思えません。働き方についても、様々な選択肢が考えられます。ひとつ言えることは、ますます自分でキャリアをデザインしていくことが重要になっている、ということです。どのようなワークスタイルであれ、何の分野でプロになるかを考え、自分の専門性や強みに磨きをかけていくことは大切と言えるでしょう。

佐佐木由美子
人事労務コンサルタント・社会保険労務士。中央大学大学院戦略経営研究科修了(MBA)。米国企業日本法人を退職後、社会保険労務士事務所などに勤務。2005年3月、グレース・パートナーズ社労士事務所を開設し、現在に至る。女性の雇用問題に力を注ぎ、働く女性のための情報共有サロン「サロン・ド・グレース」を主宰。著書に「採用と雇用するときの労務管理と社会保険の手続きがまるごとわかる本」をはじめ、新聞・雑誌などで活躍。

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