
近年頻発する地震や台風などの自然災害に備えてそうめんをストックする家庭も増えている。というのも、そうめんはうどんなど、ほかの麺類に比べて賞味期限が長いのだ。兵庫県手延素麺協同組合のホームページによれば、麺類(乾麺)の賞味期限は、そうめん3年6カ月、ひやむぎ2年、うどん1年とある。なぜそうめんは賞味期限が長いのか。
「太めの麺は製造後、時間が経つと食感が硬くなり、よい喉ごしや食感が保たれにくく、ゆでる時間も長くする必要があります。一方、そうめんには、昔から1年熟成させた『古(ひね)』という商品があるように、麺が細いために熟成させたほうが麺がしっかりとしてコシが強くなる性質があるのです」(廣岡さん)
揖保乃糸では、通常のそうめんを「新」、管理の行き届いた倉庫で1年寝かせたものを「古」、さらに2年以上熟成させたものを「大古(おおひね)」と呼んでいる。今は品質管理や生産技術も向上しているので、その年にできた「新」もソフト感があるなかに、コシとつるみ感があり、おいしく食べていただけるそうで、そうめん通の中には「古」や「大古」を好む人も多いとか。
少ない資源で調理できるという点でもそうめんは防災食に向いている。災害時はできるだけ水や燃料を節約しなくてはならない。その点、そうめんは細く火が通りやすいので、わずかな燃料ですむ。
少量の水を沸かしてスープにし、その中にそうめんを入れて煮る「にゅうめん」なら、使う水の量も最低限でいい。そうめんをつゆにつけて食べる、いわゆる「もり」スタイルと違い、水でそうめんを洗う必要がないからだ。非常時のメニューとして是非覚えておきたい。