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EXILE HIRO ソーシャルディスタンスライブへの思い

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NIKKEI STYLE

日経エンタテインメント!

今年、6年に1度の祭典「LDH PERFECT YEAR 2020」で年間300万人以上を動員するライブを予定していたLDH。その計画は、新型コロナ感染症拡大で大きな変更を余儀なくされた。緊急事態宣言が全国的に解除された後の6月10日には、去る2月26日から12月26日までの全168公演の中止を発表した。

しかし、その5日後の6月15日には、サイバーエージェントとの新たな動画配信サービス「CL(シーエル)」のローンチを明らかにした。同時に「LIVE×ONLINE」「ソーシャルディスタンスライブ」の開催に向けて動いていることを告げ、エンタテインメント界にワクワクするような希望を振りまいた。

LDHのチーフ・クリエイティブ・オフィサーであるEXILE HIROに今の思いを聞いた。

「新型コロナウイルス感染症の拡大が始まって以降、日頃からサポートいただいている医療関係の皆さんを通じて『LDH新型コロナウイルス感染症対策専門家チーム』を立ち上げました。様々なメディアより発信された情報から得られる知識はありましたが、僕らエンタテインメントの世界独特の環境でどう未知のウイルスと闘うのか。また、政府や自治体の方針に従うのはもちろんですが、それと同時に大切なのは、新型コロナウイルス自体がなくならない今、どうすれば"安全"な状態が作れるか。そのためには、行政などの基準だけでは判断できないので、医療現場の『生の声』をもとに自ら対策することが大事だと思い、専門家メンバーに僕らのエンタテインメントの生業や特性などを理解してもらったうえで、その都度、相談できる体制を取りました。

自分たちのようなエンタテインメント業界はとても目立つ職業なので印象やイメージも大切だと思いますし、またファンの皆さんへの影響力もありますので、そういう意味でも、専門家の皆さんと連携し対策しているという説得力が絶対必要だと思ったんです。エンタテインメントの世界はとてもにぎやかで派手な印象なので、いくら安全対策を万全にしていても風評被害を受けやすい。そこは正直つらいと感じることが多かったですし、厳しさも感じました。しかし、僕らの職業の宿命なんだと覚悟も決まりましたし、とても勉強になったと思います。

当初は、夏以降にはライブ公演が100%の状態で再開できるんじゃないかと考えていたのですが、専門家の皆さんに相談したところ、それはかなり難しいだろうと……。まず、その考えから根本的に正していくべきだとアドバイスをいただきました。ただ、100%の再開は難しくても、条件付きならできることはあるかもしれない。そう考えて、様々なパターンを想定して何があっても対応できるように準備してきました。

一方で所属アーティストのみんなとは危機感を共有し、これまでとはまた違ったコミュニケーションを取ることができたようにも思います。メンバーから今後のLDHのエンタテインメントについて発信を継続することで、ファンの皆さんの安心にもつながります。メンバー自身にとっても自分たちが今どういう状況で、これからどこにLDHが向かおうとしているのか把握するのはとても大切なことなので、常にLDHで今何が起きていて何を準備しているかをアーティストにはこまめに伝えていました。新しい動画配信サービス『CL』についても昨年から準備していたので、スケジュールに関してはもちろん、狙いや意図についても徹底的に共有しました」

コロナを機に進んだ意識改革

「オンラインでのライブを含めてどのようなプランでCLを盛り上げるのか。そして、100%の状態で興行が再開できなくても、今年の自分たちのライブやイベントなどをどのようなプランで表現していくのか。2021年のビジョンやテーマも仕切り直して、そこにアーティスト全員がチーム一丸となり向かっていくロードマップを作り、LDH全体を盛り上げていけるように注力してきたように思います。僕やスタッフで何度も話し合った後に、各グループのリーダーを中心に共有し、メンバー会議も定期的に行うなかで今後の活動への様々なアイデアが出てきたので、それを具体化していきました。コロナ禍によってほとんどのアーティストのツアー予定が止まりました。最初こそメンバーに戸惑いはありましたが、新しいビジョンに向かって自分たちができることに最善を尽くして頑張るしかないと、開き直れたんじゃないかと思いますし、そのビジョンが見えていたからこそ、不安を感じる暇もなかったように思います。

何より一番大きかったのは、意識改革。例えば、今までなら1つのグループに何かあっても別のグループでカバーすることができましたが、今回ばかりはものの見事に全部ダメ(苦笑)。興行中心で会社が回ってきたので、そこが止まると会社の経済活動が止まるというリアルな現実を目の当たりにしたことを機に、徹底的に意識改革を進めたんです。

そうすることにより、メンバーの意識がとにかく"LDHのために"と基本に立ち返って、これから始まるCLに向けた発信をしようというマインドになり、LDHとしての結束力がより高まったと思います。彼らも危機感で身が引き締まる想いだったのではないでしょうか」

動画配信サービス「CL」の運営を担うのは、サイバーエージェントと19年10月に立ち上げた「CyberLDH」。サイバーエージェントとはABEMAの『GENERATIONS高校TV』などで、強固な信頼関係を築いてきた。また、ABEMAでも配信する「LIVE×ONLINE」は、オンラインに特化した演出と映像で、通常のリアル空間でのライブとは違う公演を見せる。演出はこれまでLDHのライブクリエイティブを手掛けてきた「TEAM GENESIS」が担当。さらにはライブ後のファンミーティングやオンライン打ち上げなどのユーザー参加型企画も展開。ステージで着用した衣装やグッズをeコマースで購入できる仕組みも用意する。

「藤田(晋/サイバーエージェント社長)さんとは以前から親しくさせていただいていたので、『何か新しいエンタテインメントを作ろう』と常々話していました。その中でサイバーさんから様々な提案をいただいて、徐々に構想が固まっていった感じです。LDH Official mobileサイトや、動画配信サービス『LDH TV』、雑誌『月刊EXILE』やテレビ番組の『週刊EXILE』など、LDHが展開する自社メディアをつなげてファンの皆さんと直接コミュニケーションを取り、楽しめる場所になればいいなと思っています。8月1日のサービス開始以降も、メンバーとファンの皆さんが楽しめるようなアイデアを追加しながら展開していきたいと考えています。

またCLとは別で、定期的に開催予定なのが『LIVE×ONLINE』。今まで『LDH TV』などでライブビューイングを配信する取り組みなどは行ってきましたが、オンライン上でオリジナルライブをやるのはLIVE×ONLINEが初めてなので、LDHならではの新しいエンタテインメントになると期待しています。演出や内容はグループによっても違いますが、特に力を入れているのがカメラワークです。スーパーボウルのハーフタイムショーやオリンピックの開会式でも、カメラワークが重要じゃないですか。EXILE TRIBEのライブでもカメラを使った演出をたくさん用意していますが、会場にカメラ搭載ドローンを飛ばしたりしながら、LDHが得意とする独特の躍動感やスピード感を表現していきたいと思います。

5Gの環境が日本全国に整ったらAR(拡張現実)などのテクノロジーも導入していく予定です。実際にどのくらいの人が見てくれるのか未知数な部分もあり、今の段階だと先行投資の意味合いが大きく、なかなか利益を出すのは難しいかもしれませんが、LIVE×ONLINEはその後も定期的に続け、LDHの新しいエンタテインメントとして定着させたいですね」

ドーム規模の公演への対策

もう1つ、他社に先駆けて計画を発表したのが、「ソーシャルディスタンスライブ」だ。イベント制限が緩和されれば、ドーム規模の会場であっても収容人員最大50%の動員が可能になる。今回の発表は「開催の実現に向けて動いている」というものであり、開催が決定したわけではないが、慎重かつ前向きにリアルなライブ開催への意欲を示したことは、多くのファンを喜ばせた。

「当然ながら、安全が担保されなければ開催は難しい。各都道府県の自治体にも相談しながら進め、安全対策も含めて準備ができたところから始めていく予定です。自治体と一緒に『日本を元気に』というテーマでやれたらいいなと考えています。

開催する際は、検温のシステムや非接触で入場できる電子チケットのシステム、来場者の個人情報なども管理し、万全の体制を整えて進めます。ファンの皆さんが楽しめるよう、例えばチケットとフェイスシールドやマスクなどをセットにするとか、フェイスシールドをステッカーで自由にカスタムできるようにするなど、いろいろ考えています。

メンバー自身も、お客さんが収容人数の半分であってもリアルなライブを絶対やりたいという思いが強いんです。今回のコロナ禍で、改めてファンの皆さんに自分たちが支えられてきたという思いも強く、そこは全員が一致しているところ。その意気込みをなんとか形にしたいと思っています。

実際にコロナ禍以前のような公演ができるようになるのは、ワクチンが普及しないと厳しいのかなと感じています。ただ、興行が元通りになる前にCLやLIVE×ONLINEが定着していけば、1~2年後にはオンライン、オフラインの両方が盛り上がって、LDHが展開できるエンタテインメントの形も増えていく。どんどんできることの可能性が広がっていくのではないかと思っています」

今後、LDHが目指すエンタテインメントを尋ねた。

「今回のコロナ禍でリアルなライブの大切さをめちゃくちゃ感じているところです。アーティストもファンの皆さんもそれは同じだと思います。ただ、その大切さを感じながらも、時代に合ったデジタルやバーチャルのエンタテインメントを引き続きスピード感を持って広げていかないといけない、そんな時代になったんだなと改めて感じています。

例えば、キッズに視野を向けたエンタテインメントの幅を広げていきたいと思っています。これまでもNHK Eテレの『Eダンスアカデミー』やガールズ・パフォーマンスグループのGirls2(ガールズガールズ)を展開しています。今後はLDH流の子ども向けコンテンツも様々な分野で創造したいですし、今のLDHアーティストのキッズバージョンを作っても面白いかもしれない。

LDHではライブ会場に託児所を設けているんですが、今は断トツにEXILEのライブでの利用率が高く、家族三世代でいらっしゃるケースもあります。次いで、三代目J SOUL BROTHERS、GENERATIONSとお子さん連れの方々が増えてきていますので、そういう意味でも、家族で楽しめるエンタテインメントの創造ができるこのキッズプロジェクトは、LDHにとって大きな意味を持つと思います。また、お子さんが小さいうちはなかなかライブにも来られないと思いますが、LIVE×ONLINEもそこをリカバリーできたらうれしいですし、LDHから発信するエンタテインメントでファンの皆さんとずっとつながることができたら、それは僕らの理想でもあります。引き続き全てのエンタテインメントがつながるように、新しい発想でLDHのエンタテインメントを盛り上げていきたいと思います」

TRIBEの未来に向けて

EXILEのデビューから19年、LDH設立からは17年が過ぎた。HIROはそれぞれのメンバーやLDHの今後について考える機会が増えたと話す。今回のコロナの経験を通じて、その思いはより切実なものとなったようだ。

「来年は東日本大震災から10年目。その間に国内の自然災害や世界的に見ればMERS(中東呼吸器症候群)などのウイルスの流行もあり、この10年でも様々なことが起きています。

これからの未来に何が起こるのか。僕より若い世代には、当たり前だと思っていたことが壊れるような出来事がもっといっぱい起こるんじゃないか。そのときに、エンタテインメントがどういう存在でいられるのか、果たして生活していけるのか……。今回のコロナ禍で、今まで感じなかったような大きな危機感を感じるようになりました。そして、このタイミングは本当の意味で変革の時期なのかなと思います。その中でLDHという組織の改革も5年後、10年後を見据えて行動に移すべきで、エンタテインメント企業として何事にも臨機応変に対応できる体制を整えておかなくては生き残れない時代になったんだと感じています。たとえコロナが収束したとしても、これは永遠に考え続けなくてはいけないテーマなんだろうなと。

組織の変革で言えば、LDH所属のみんなの中でも自身の成長と共に夢も進化していくので、その期待に応えていけるようにLDH自体も進化させていきたいですし、メンバーや働くスタッフの皆さんの成長に合わせてLDHという組織を臨機応変に強い組織にしていきたいと思います。僕自身の意識も自分の成長と共に変わりました。

かつては、EXILEを継承する"TRIBE"を増やしていくこと、その先に僕らが存続できる何かがあると考えていましたが、今はそれが具体的に見えてきている時期。これからは、成長したメンバーが僕のようにプロジェクトを立ち上げて運営したり、リーダーとしてビジネスにしたりと……。もちろんずっと表現者として突き詰めていくメンバーもいると思いますが、裏方として夢を追いかけていくメンバーも出てくると思いますので、そのメンバーの成長に応えられる僕でいたいですし、自分の分身のようなメンバーには、どんどん自分の場所を継承していきたいとも思います。

また、所属だけでなくLDHという組織自体も大きくなり、社員の構成も大きなピラミッド状に築かれていますが、このままでは顔の見えにくい組織になってしまいます。縦型の組織割を解体して"EXILEルーム""三代目ルーム"など、ルーム制を敷き、ルームリーダーが話し、リーダーとなるスタッフがルームをまとめていく新しいマネジメントスタイルを確立していきたいと思います。ルーム制の中で、メンバーと若い優秀なスタッフが切磋琢磨し、一緒になって成長していくような組織体系です。5年後、10年後は、今のLDHとは違う感じに変わっていくかもしれない。いずれにせよ、常に新しい何かを生み出し続け、LDHをずっと輝かせていきたいなという思いはあります。僕自身も10年後は60歳。みんなに『お前いらないよ』と言われるくらいになるといいですね(笑)」

(ライター 横田直子)

[日経エンタテインメント! 2020年8月号の記事を再構成]

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