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画像はイメージ=PIXTA

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社員がいきいきと働き、高いパフォーマンスを発揮する職場をつくるには何が必要か。産業医として多くの企業で社員の健康管理をアドバイスしてきた茗荷谷駅前医院院長で、みんなの健康管理室代表の植田尚樹医師に、具体的な事例に沿って「処方箋」を紹介してもらいます。

新型コロナウイルスの感染拡大が続いています。密集、密接、密閉の「3密」を避けるために在宅勤務という人もいるでしょうし、仕事の都合で原則的に出社勤務という人もいるでしょう。ただ、出社勤務となると、公共交通機関やオフィスなどでの感染リスクを「ゼロ」にすることは困難です。少なくとも感染していないと思われる「健康」な人が感染の危険を懸念するのですから、病気から回復したばかりの人や、慢性呼吸器疾患や糖尿病などの「基礎疾患」のある人はなおさらでしょう。何よりも、出社勤務による重症化のリスクを避けるための配慮が優先されるべきです。

IT(情報技術)企業に勤める50歳代男性の事例です。

1年ほど前、頭痛を覚えたことから病院で詳しく調べたところ、クモ膜下出血と診断されて手術を受けました。リハビリなどを含め、半年ほど入院した後、現在は自宅療養中。手指の一部が動かしづらいなどの後遺症はあるものの、職場復帰を考えられるまでに回復しました。

産業医とのリモート面談では、質問に対する返答に多少時間はかかるものの、特段の問題は認められませんでした。本来なら、通院先で改めて検査を行い、機能障害の状況を詳しく調べたいところですが、その病院でコロナ感染が発生、外来が休診になり、かないませんでした。

面談に同席した夫人に話を聞いたところ、入院中に肺炎を起こしたこと、疲れやすいことが不安材料で、電車がいつも混雑しているため通勤も心配とのことでした。さらに、コロナ禍での復職とあって、出社による感染の危険性を強く懸念していました。

面談の結果、産業医は復職可能と判断しましたが、体力的な問題や新型コロナの感染リスクなどを考慮して、出社勤務ではなく在宅勤務中心とすべきだと結論づけました。

復職は本人の体調が第一

現在のような状況ですと、休職の原因が身体的な病気で、それが回復したとしても、自由に屋外に出て、体を動かすなどのリハビリもままなりません。さらに、体の抵抗力が完全に回復しない状態ともなれば、十分な注意が必要です。

復職の可否はまず休職者本人の体調を第一に考える必要があります。懸念される事項がある場合は、それを取り除いたうえで、次善の策を考えるべきでしょう。今回の事例は、コロナ禍だからこその難しさがあった半面、コロナ禍を背景としたテレワークによる在宅勤務が進んだことで、比較的早期の復職が実現できたともいえるかもしれません。

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