次代を担う「旗手」は何を感じ、何を考えているのか――。日本経済新聞社が運営する投稿プラットフォーム「COMEMO」から、「キーオピニオンリーダー」が執筆したビジネスパーソンにも役立つ記事を紹介します。外資系企業大手から「ほぼ日」最高財務責任者(CFO)を経て2020年、オンラインで社外人材による「1on1(ワン・オン・ワン)」と呼ぶ1対1の面談を提供するベンチャー、エール(東京・品川)に転職した篠田真貴子さんに、「聴く力」について語ってもらいます。
私は前職を辞めてから約1年3カ月の期間を置いて、「エール」というベンチャー企業に入社しました。正式入社は今年3月で、まだやっと5カ月目に入ったところです。新型コロナウイルスの影響などもあり、まだまだこれからだと思っています。
ベンチャーに転職したきっかけは「聴く力」
数年前からの知人の紹介で、私はベンチャー企業のエールと出合いました。
前職を辞めた後、いろいろな方と話をする中で、仕事の誘いをもらうことはしばしばありました。当然ながら、私にいただく仕事の話は、これまでの私が経験した領域のものです。その時点で、自分自身の中でやりたいことが明確になってはいませんでしたが、「これは違うな」「何かがずれているな」ということはわかりました。
私を客観的に評価して提案いただいた仕事に心が動かなかったのは、それまでとは違う自分を見つけたかったからかもしれません。
ちょうどその頃、「聴く」ことに関する2冊の本と出合いました。私自身を振り返ると、この1年3カ月、いろいろな人に会って話を聴いてもらうことが、大きな救いになり自己理解も深まったのだと、そのときに気づきました。
提案いただいた仕事に違和感をおぼえたのは私自身に対する感度が高まったからで、それは「話を聴いてくれる」友人たちがいたからだと思いました。「これはすごい」と、私もそれまで以上に周囲の人の話を聴くことに意識を向けるようになりました。そして聴くことの力を実感していました。
そのタイミングでエールの話をいただきました。