印度カリー子さん スパイスに秘められた減量の極意
ダイエットに成功した人の秘密(下)
東京大学大学院での香辛料の研究をはじめ、さまざまな分野でスパイスの普及に努めるスパイス料理研究家の印度カリー子さん。スパイスカレーに秘められた、ダイエットを必ず成功させる「大切な極意」について教えてもらいました。
「ダイエットを成功させる極意は、カロリーや量は控えめでも脳がしっかり満足感を得られる食事をとること。料理の味はもちろん、香りや色、食感、そしゃく音など五感をフルに使って食事に集中すると、腹八分目程度で十分に満たされるのを感じます。『食べたけれど何か物足りない』『もっと食べたい』といったダイエット中にありがちなストレスがなくなり、余計なカロリー摂取を自然とセーブできるんですよね」
そう話すスパイス料理研究家の印度カリー子さんは、10代前半頃から後半まで食べ過ぎによるぽっちゃり体形に悩んでいたそう。
「いつもただ漫然と食事をしていて、『きちんと味わう』ということができていませんでした。結果、お腹はもう十分満たされているのにだらだらと食べ続けてしまったり、食後のデザートが欠かせないといった悪循環に陥っていたんです」
そんなカリー子さんの食習慣を大きく変えたのが、19歳のころに出会ったスパイスカレー。
「カレー好きの姉のために、さまざまなインドカレーのレシピを参考に作り始めたのがきっかけでした。
単体では個性が強いと感じるようなスパイスも、複数組み合わせるとよく知っているカレーの香りになるのが最初は驚きでしたね。おいしいのはもちろんですが、自分で作って味わうたびに新鮮な発見や感動がある。そうした脳への刺激がさらにいっそう食事の満足度を高めてくれるんだ、ということを知ったんです」
ただし、本場インドのカレーのレシピは基本的に油の量が多め。油っこい料理が苦手なカリー子さんは、使用する油の量を抑えた独自のレシピを考案。1食100kcal以下でも「満足度の高い」カレー3種を教えてもらった(次ページ参照)。
「代謝を上げたり発汗を促す作用などで知られるトウガラシのカプサイシンをはじめ、スパイスの効能についての研究も進んでいます。実際、スパイスカレーを食べた後に運動すると『脂肪が燃えている』実感がものすごく得られるんです。体を動かすこともどんどん楽しくなる」
1日1食のスパイスカレーに加え、食後のランニングも習慣になり、約1年半で7kgの減量に成功。「太りにくくなり、常に体を良い状態に保つことができるようになりました!」。
1食100kcal以下「満足度の高い」カレー3種レシピ
(取材・文 やまきひろみ、写真 小野岳也、レシピ作成 印度カリー子、スタイリング 黒木優子、デザイン 田中彩里[印度カリー子さん著書]、写真提供 青春出版社・プライム涌光)
[日経ヘルス2020年8月号記事を再構成]
スパイス料理研究家。スパイス初心者のための専門店『香林館』代表取締役。オリジナルスパイスセットの開発・販売やコンサルティング、料理教室運営など幅広く活躍。東京大学大学院で食品化学の観点から香辛料の研究も行う。
健康や暮らしに役立つノウハウなどをまとめています。
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