変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

会員登録をすると、編集者が厳選した記事やセミナー案内などをメルマガでお届けしますNIKKEIリスキリング会員登録最新情報をチェック

中野信子 著 アスコム

中野信子 著 アスコム

SNSでの炎上や有名人の不倫スキャンダル叩(たた)き、最近ではコロナ禍のなかでの"自粛警察"……。世間を見渡すと、「自分のほうが絶対に正しい」という態度で他人を激しく攻撃する言動はここ数年、特に増えているようだ。自分とは異なる考えや行動をなかなか理解できず、許せないと感じてしまう"正義中毒"。脳科学者である著者は、これは脳に備わっている仕組みであり、人間なら誰しも陥ってしまう恐れがあると言う。

「許せない」苦しみから抜け出すための第一歩は、そうさせている脳の仕組みを知ること。誰にとっても他人事(ひとごと)ではないこの感情を客観的に見つめ直すことで、少しは心が穏やかになり、より多様性を認められる自分、そして社会へとつながっていくはずだ。

要点1 集団の"外"を叩くと脳内に快楽物質が出る

人間は、個体としての脆弱性をカバーするために、集団を形成することで進化してきた。安全性や生活の効率を高めるためには集団の持続が不可欠。そのため、人は本来、自分の属している集団以外を受け入れず、攻撃するようにできている。自分たちの正義の基準にそぐわない人を「悪人」として叩くと、脳内で快楽物質のドーパミンが分泌され、快感が生まれるのだ。そのため、誰かを叩けば叩くほど気持ち良くなり、やめられなくなる現象が起こる。また、人間は誰でも自分の属する集団の仲間を、他の人々より良いと感じる"内集団バイアス"を持つ。よほど注意しないと脳が手抜きをし、自分のグループ外の人たちをひとりひとり丁寧に判断せず、「あの人たち」とひとくくりにして悪いレッテルを貼ってしまう。

要点2 日本の地理的条件が排除の性質を強めた

正義中毒は誰でもなり得るが、どんな人を攻撃するか、その基準は国や地域によって異なる。日本では、多発する地震や台風などの自然災害を生き延びるため、長い年月をかけて集団主義的な性質が強まっていった。そのため同質であることが前提とされ、違っている人が「愚かな人」として叩かれる傾向が強い。異なる意見を持つ者の間では、なかなか本質的な議論にならず、すぐに互いへの人格攻撃になってしまいがちだ。

新着記事

Follow Us
日経転職版日経ビジネススクールOFFICE PASSexcedo日経TEST

会員登録をすると、編集者が厳選した記事やセミナー案内などをメルマガでお届けしますNIKKEIリスキリング会員登録最新情報をチェック