帰還成功、スペースX有人宇宙船 飛行士が見た地球

日経ナショナル ジオグラフィック社

ナショナルジオグラフィック日本版

スペースXの宇宙船クルードラゴン(右)がISSにドッキングしている。2020年7月1日撮影。クルードラゴンはNASAの宇宙飛行士ダグラス・ハーリー氏とロバート・ベンケン氏を乗せて米東部時間2020年5月30日に打ち上げられた。米国からの有人宇宙船の打ち上げは2011年以来。両氏は63日間のISS滞在中、NASAの宇宙飛行士クリストファー・キャシディ氏およびロシアの宇宙飛行士アナトーリ・イワニシン氏とイワン・ワグナー氏とともに、仕事中の飛行士や地球の写真を数多く撮影した(PHOTOGRAPH BY CHRIS CASSIDY)

パラシュートで大空から降下したクルードラゴンは、米東部時間2020年8月2日午後2時48分(日本時間8月3日午前3時48分)に米フロリダ州北西部パンハンドル沖のメキシコ湾に着水した。

2カ月を超える「国際宇宙ステーション」(ISS)滞在を終え、米航空宇宙局(NASA)の宇宙飛行士ロバート・ベンケン氏とダグラス・ハーリー氏が、米スペースXのカプセル型宇宙船「クルードラゴン」に乗って地球に帰還したのだ。

2人の帰還によって、日本時間の5月31日早朝に打ち上げられた「デモ2」の試験飛行が完了した。これは、米国における9年ぶりの有人宇宙飛行となったのと同時に、NASAの宇宙飛行士が史上初めて民間企業の宇宙船で飛行するという点でも、歴史に残るミッションとなった。

有人での試験飛行を無事に成功させたスペースXは、NASAから少なくともあと6回のISSへの飛行を任されている。次回のミッションは「クルー1」と呼ばれ、早ければ9月下旬にも打ち上げられる(宇宙航空研究開発機構=JAXAの野口聡一飛行士が搭乗予定)。その次は2021年春に予定されており、ベンケン氏の妻でもある宇宙飛行士メーガン・マッカーサー氏が、夫が今回乗ったのと同じクルードラゴンに乗り込む。

「妻はスペースXのミッションに任命されたことを大変喜んでいます」。ベンケン氏は帰還前にISSからそう話していた。「クルードラゴンでの生活や、私物収納のコツなど、ぜひアドバイスしておきたいです」

7月7日、ハーリー氏がISSのモジュール間換気システムをチェックしているところ。空気の流れを確認し、部品を点検する(PHOTOGRAPH BY NASA)

クルードラゴン初の有人飛行

ベンケン氏とハーリー氏が、クルードラゴンをISSとドッキングさせたのは5月31日のこと。そこで、待っていた3人の宇宙飛行士と合流した。

「一緒に夕食をとりながら今日のことを振り返ったり、明日のことを考えたり、世界の出来事について語り合ったりできる仲間が来てくれたのは素晴らしいことでした」。4月にロシアのソユーズ宇宙船で到着して以来、ISSに滞在している米国人宇宙飛行士クリストファー・キャシディ氏はそう話した。

デモ2の両氏は滞在中にISSの修繕や科学実験を手伝った。ベンケン氏とキャシディ氏は4回の船外活動をこなし、電力系統のアップグレードや新しい気密区画設置のための準備を行った。それにもちろん、クルードラゴンの性能試験も実施した。

「居住性のテスト、インターフェースのテスト、緊急通信のテスト……それから、クルードラゴンがドッキングした状態での作業のしかたに関する全般的なことですね」とハーリー氏は説明した。「ほとんどは計画通り、完璧にできました。ところどころ微調整も必要でしたが、大体のことはうまくいきました」

クルードラゴンが地球へ帰る前の晩、ミッションマネジャーたちは、フロリダ州周辺の7つの着水候補地からペンサコーラ市沖を選定した。スピードボートと回収船が早く宇宙船にたどり着いて作業に当たれるように、天候と海の状態が穏やかであることが主な条件だった。

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