マーケティングDXの落とし穴 カギを握るデータ連携デジタルマーケティングの明日(5) Nexal社長 上島千鶴氏

「第4世代の企業には、ターゲットアカウント(標的とする企業)からの売り上げの最大化をはかるABM(アカウント・ベースド・マーケティング)をやりたいと考える会社も多く見受けられます。しかしABMはデータがどう連携できているかが全てです。マーケティング部門と営業部門でデータをつなげられなければ実現できませんし、ビジョンや理想は高くても現実には手を付けられていない企業は多く見受けられます」

全体を理解している人材が不足

――何がデータ連携を妨げる要因となっているのでしょうか。

「社内のシステム全体を理解している人が極めて限られていることです。何を実現するのかビジョンはマーケティング部門で描けても、データ同士の連携構造を理解できる人が少ないのです。例えば、データ連携といったときにシステム部門の方はデータを管理することに主眼に置くため、セキュリティー重視のデータストック型の箱をつくろうとします。しかしマーケティング部門では顧客とのリアルタイムコミュニケーションを第一に考えるので、データフロー型を志向します。そういう発想の違いからして、データ連携は難しいものだと感じています」

「また、プロジェクトを進めるうえで、関係する各部門のゴール意識合わせや連携が不可欠です。組織のトップ同士、役員クラスの合意が必要になるでしょう。これが欠けると、プロジェクトが途中で頓挫しかねません」

上島千鶴 Nexal社長 東京電機大卒、1996年トランスコスモス入社。人事、営業、事業企画開発部門に従事した後、2004年外資ITの国内営業統括責任者を担う。07年Nexal設立。事業戦略からマーケティングを再定義し、デジタル接点やデータを利活用した数多くのマーケティングDXプロジェクトに関与している。法人営業デジタル化協会代表理事。

――今後、マーケティングと営業領域を円滑に展開する上で特に注意すべきことは何ですか。

「今後、全ての商談がオンラインに移行するは思いません。販売方法がパターン化できる単品商売や小口取引、ソフトウエアをクラウド経由で提供するSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)サービス系は自動化やオンラインなど、人が直接介在しない方法も構築できます。しかし、複数の組織に意思決定がまたがるソリューションや新規取引提案、顧客の維持拡大などは、デジタル接点やデータをセンサーとして使うことが重要になってくるだろうと考えています」

コンテンツの重み増す

「相手が誰か関係なく一方的にメールを送るという通り一遍の考え方ではなく、どのような取引企業の誰と、どのようなコミュニケーションをどう行うのか、対象やタイミング・連携方法など、事前のシナリオ設計(5W1H1G=Who、Why、What、When、Where、How、Goal)をしておかないと成果は出ません」

「先進企業には、オンラインデジタルの足跡データや、対面営業活動の即時データ、IoTデータなどから機械学習(マシンラーニング)でパターン化し、顧客の行動を予測するモデルをつくっているところもあります。ただし、オンラインデジタルの足跡を残してもらうには、コンテンツがなければ足跡も残りません。ですので、見込み客の潜在的なニーズをすくい上げるようなコンテンツをオンライン上に用意することが不可欠です。この分野に関してはBtoBでもこれから需要が増えるだろうと見ています」

=この項おわり

(平片均也)

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