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「デジタル支配、懸念深まる」「動き出すGAFA規制」――GAFAと呼ばれることの多い巨大IT企業、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コムに対する風当たりが強くなっている。米経済をリードする立場にある輝かしいIT企業が「邪悪な巨人」とまで評されるようになったのはなぜなのか。その理由を7月に刊行されたラナ・フォルーハー著『邪悪に堕ちたGAFA ビッグテックは素晴らしい理念と私たちを裏切った』(長谷川圭訳、日経BP)からひもといていこう。

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一気に独占的地位に駆け上がった

著者のラナ・フォルーハーは経験豊富な経済アナリストであり、現在はフィナンシャル・タイムズで巨大IT企業(ビッグテック)に関する記事を中心に執筆している。彼女が本書を執筆した動機は個人的な出来事だったという。

『フィナンシャル・タイムズ』紙でグローバル・ビジネス・コメンテーターを務めるラナ・フォルーハー氏 photo:(c)Laura Rose

『フィナンシャル・タイムズ』紙でグローバル・ビジネス・コメンテーターを務めるラナ・フォルーハー氏 photo:(c)Laura Rose

 始まりは2017年の4月が終わろうとしていたころ。ある日の午後、帰宅した私はクレジットカードの明細書を開き、大きなショックを受ける。身に覚えのない900ドルもの額が、アップルのアップストアから請求されていたのだ。「ハッキングされた」が最初の考えだった。だが少し調べてみると、当時10歳の息子が原因だったことがわかった。大好きなオンライン・サッカーゲームの仮想選手を、息子が購入していたのだ。(「まえがき」3ページ)

息子のゲーム中毒をきっかけに巨大IT企業に注目してみると、それらの企業がかつてないほど急速に市場を独占していることに気がついた。

 過去数十年にわたって、ごく一部の企業が市場を独占するという現象が数多くの業界で観察されてきた。それが収入の不均衡や経済成長の停滞、あるいは政治の世界におけるポピュリズムの台頭など、さまざまな問題と関連していることもわかっていた。わかっていたはずなのに、それでも私は『フィナンシャル・タイムズ』紙のコラムニストとして経済関連の情報を集めはじめたとき、驚いてしまった。企業総資産のじつに80パーセントを、全体のわずか10パーセントの企業が占有していたのである。(中略)それら新星の多くはテクノロジー企業だった。現代社会において、テクノロジー業界ほど一気に独占的地位に駆け上った例はほかにない。何しろ、現在全世界で行われているウェブ検索は、たった一つの検索エンジン上で行われているのである。グーグルだ。インターネットを利用する30歳未満の成人の95パーセントがフェイスブックまたは2012年にフェイスブックに買収されたインスタグラムあるいはその両方にアカウントをもっている。(「まえがき」4~5ページ)

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