店を開け続けよう コロナ禍乗り切るワークマンの決断『ワークマンは商品を変えずに売り方を変えただけでなぜ2倍売れたのか』より

お手製の「飛沫防止シールド」を設置して営業を続けたワークマンの店舗
お手製の「飛沫防止シールド」を設置して営業を続けたワークマンの店舗

新型コロナウイルスにより、世界は一変しました。外出自粛の長期化は、多くの企業の業績を揺さぶり、特にアパレル業界は直撃と言ってもいい状況です。ユニクロやジーユー(GU)を展開するファーストリテイリングは、2020年8月期の純利益が前期比48%減と半減する見通しを発表。アパレルの名門レナウンが倒れ、マルキュー(渋谷109)ブランドの代名詞「CECIL McBEE」(セシルマクビー)も全店舗閉鎖を決めました。米国ではブルックス・ブラザーズが経営破綻に追い込まれました。

『ワークマンは商品を変えずに売り方を変えただけでなぜ2倍売れたのか』 酒井大輔著 (日経BP)

かつてない危機の時代に、唯一右肩成長を持続している企業があります。作業服専門店のワークマンです。既存店売上高は2020年3月まで17カ月連続で2桁成長。緊急事態宣言が発令された4月も同5.7%増とプラスを維持し、5月は同19.4%、6月は同37.2%増と驚異の伸びを見せました。

ワークマンはなぜ強いのか。そんなシンプルな疑問に100%答える新刊が『ワークマンは商品を変えずに売り方を変えただけでなぜ2倍売れたのか』(日経BP)。既存店と全く同じ商品を扱いながら、売り方を変えただけで2倍売れた「アパレル史上に残る革命」の舞台裏を、マーケティングやデータ経営、商品開発、SNS・広報戦略、店舗運営に至るまで丸裸にした1冊です。ワークマンは新型コロナにどう立ち向かったのか。本書から抜粋してお届けします。

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たとえ、緊急事態宣言が出ても、店は開け続けよう――。ワークマンがそう決断したのは早かった。20年3月13日、国会で「新型インフルエンザ等対策特別措置法」の改正案が可決成立した。ワークマンの社内では、すぐさま特措法の文言と政府の基本方針を読み込み、今後の対策を検討。「営業継続が必要な業種」だと判断した。

ワークマンは社会インフラ

「開けていいのかとずいぶん悩んだが、やっぱり、ワークマンは社会インフラですから。例えば、電力会社の方は、帯電防止のウエアや転落防止の安全帯がないと、電柱に上れない。建設現場でも作業服や軍手、手袋は必須で、それがなければ安全規則上、現場にも入れなくなる」(土屋哲雄専務)

公共工事や電気・ガス・水道、通信、運送など、特措法下でも事業継続が求められる業界に、作業服や安全用品を安定供給してきたのがワークマンである。もし、ワークマンが店を閉めてしまうと、働けない人が続出する。それは、暮らしに不可欠なライフラインが止まることを意味する。そもそもワークマンは社名の通り、「働く人」に寄り添ってきた企業だ。他店では代替できない商品も数多く扱っている。

「加盟店の皆さんも疲れているから、1カ月ぐらい店を休んでもいいかなと思ったんですよ。でも、現場で働くお客様がいる以上は、そういうわけにもいかない」(土屋氏)。もちろん、加盟店からは店を開け続けることに対して不安の声も上がった。そこで、可能な限りの営業継続を求めながらも、臨時休業や時短営業を希望する場合は、すべて許可することにしたのだ。

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