ブームなのに値下がり? レモンに透けるコロナの影響

本格的な夏を迎え、レモンを使った商品をよく見かけます。味や香りも人気ですが、ビタミンCや疲労への効果が期待されるクエン酸を多く含んでいることで健康志向の高まりの影響も大きい。若い女性には色と形からインスタ映えすると人気だったりします。レモンブームの実態と値段を探ってみました。

レモネード専門店が人気

若い女性に人気なのがレモネード。タピオカの次のブームになるともいわれ、トレンドとなっていて専門店もあります。その中で先駆けとなっている店を取材しました。渋谷のレモネード専門店「レモネードバイレモニカ」を訪ねました。こちらのお店は1号店が2016年に石川県にでき、2018年からはフランチャイズ化して全国展開しています。レモネードはレモン果汁と砂糖を水や炭酸水で割ったものの総称です。飲んでみましたが、すっきりしておいしい。まさに夏にぴったりの飲み物でした。飲み物と背景を写真に収めてSNSに投稿する。インスタ映えするスポットも多く、実際にSNS上でも多くの写真が見つかります。

取材してみて意外だったのはお客さんの年齢層が幅広いこと。もともと、甘いジュースということで子供さんや女性に人気というのは想像できましたが、大人の男性が一人でも買いに来ているのも多い。多いときは1日で1500杯以上売り上げたそうです。お店の担当者は「現在、全国で35店舗展開しており、まもなく15店舗が開店予定。来年には100店舗展開していきたい」と話します。コロナ禍でこの出店ペース。ブームを実感しました。

レモンブームといえばほかにも。レモンサワーの人気がすごい。缶チューハイの銘柄別のランキングを見るとトップ10のうち実に9種類がレモン味です。代表的なのは昨年10月に全国で発売したコカ・コーラ初の自社ブランドアルコール飲料「檸檬(れもん)堂」。あまりの人気で今年1月には生産が追いつかず一時出荷停止になったほどです。他にもキリンレモンの復権や塩レモンにレモンカード、ポッカレモンなどヒット商品は非常に多いです。

自粛で外食需要が減少

レモンの価格には方程式があって例年であれば夏は値上がりします。というのも日本が輸入するレモンの6割を占める主産地米国西海岸(カリフォルニア州)で冬場に収穫され、その在庫を春から秋にかけて消費していく構図です。夏場に需要の最盛期を迎えますが、在庫で対応するしかなく特に不作の年は極端に跳ね上がります。ところが、今年はレモンブームにもかかわらず、前年同期を下回っています。

やはりコロナが影響しています。特に外食自粛は大きい。レモンの需要は外食用が90%を占めています。唐揚げやとんかつの添え物として、あるいはレモンスカッシュやレモネードといった飲み物向けにレモンは欠かせない食材です。そういったところの需要が一気に減って価格は下落しました。

高級果実や牛肉も値下がり

こういった状況はレモン以外にもみられます。外食需要が高い果物、高級メロンやマンゴーは値下がり、家庭で食べることが多いバナナやリンゴは値上がりしています。食肉も外食需要が中心の牛肉は値下がり、内食需要が中心の豚肉や鶏肉は値上がりしています。レモンは7月に入り値上がりに転じていますが、コロナの状況次第では再び自粛が強まる可能性もあり、一本調子の上昇はなさそうです。コロナウイルスは食材に対しても幅広く価格に影響を与えています。

(BSテレビ東京日経モーニングプラスFTコメンテーター)

値段の方程式
BSテレ東の朝の情報番組「日経モーニングプラスFT」(月曜から金曜の午前7時5分から)内の特集「値段の方程式」のコーナーで取り上げたテーマに加筆しました。
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