変容する営業シナリオ リモートで欠けた情報を見直せデジタルマーケティングの明日(4) トライベック・ストラテジー社長 後藤洋氏

――BtoBサイトのコンテンツで注意すべき点は何でしょう。

「前述の調査での結果でも明らかですが、BtoBで潜在的顧客が必要とする製品やサービスを調べる際の情報源として何を重視しているかというと、営業員・技術員の対面による説明を大きく上回り、企業サイトがトップです。すでに検討のプロセスで、コンテンツを含むサイトは重要な位置を占めているといえます」

「大切なのは、自社が保有する情報コンテンツを把握し、自社の顧客や潜在的顧客が持つニーズをどれだけ満たせているのかを理解し、さらに満たせていないギャップを埋めるためのコンテンツを用意できているか否かです。見た目も派手で素晴らしいコンテンツがたくさんあればいいというわけではなく、ピンポイントで顧客のニーズに応じることができるコンテンツの有無が、非常に重要になります」

――どうすれば顧客の声を拾い上げることができますか。

「マーケティングリサーチやユーザーの行動解析ツール(MA、マーケティング活動の支援システムなど)をどのように活用するかだと思います。例えばアクセス解析は目的ではなく、ユーザーニーズを知るための手段です。サイト訪問者が何に興味を持っているのか、どう満足しているのか、ということを知るために解析が必要なのです」

「こうしたツールはあくまで相手を知る一つの手段であって、顧客のニーズを満たすためにどう活用するか――。そうした発想を起点として『ベターシナリオ』を描いている企業と、ただコンバージョンなどのゴールありきの直線的で一方通行的な企業目線の『ベストシナリオ』を描いているところでは全く結果が異なってきます」

――シナリオづくりでは何を注意すべきでしょうか。

「ユーザーニーズはとても複雑です。ですから遠回りと思えるものも含めて、ユーザーの実態に即したシナリオづくりが大切です。一見すると無駄と思われるコミュニケーションが、実は顧客の満足度向上につながっていたということもあるでしょう。サイト閲覧を購買などの行動に転換する『コンバージョン』ばかりを追うと、どうしてもシナリオが直線的になってしまいがちです」

「コールド」から「ホット」に変えるコンテンツ

「最も大切なことは、サイトを訪れたユーザーの質をいかに高めていくかです。訪問者をナーチャリング(見込み客の育成)するなかで、いかに『コールドスタンバイ』から『ホットスタンバイ』に変えるか。そのためにコンテンツが存在しているのです」

「基本的にマーケティングのアセットはシナリオでありストーリーだと思います。企業と顧客がどのようなストーリーを紡ぎ、何をゴールとするのかが大切です。見込み客を獲得するための『リードジェネレーション』から、見込み客の態度をコールドからウオームにして、ホットスタンバイにしてクロージングするまでを、『パイプライン』(案件化してから受注、納品するまでのプロセス)で見ていく必要があると思いますし、こういう区分けのなかでどのようなKPI(成果指標)を設けるかが非常に大切だと思います」

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