他にも山下課長はこんな工夫をしているといいます。

・スケジュールが空いている課員に対しては、その理由をたずねるようにしている。それが意味のある空白、たとえば資料作成の時間などであればよいけれども、アポイントが入らないなどの不意の空白だとしたら、売り上げにつながるような作業にするにはどうすればよいか意見を聞くようにしている。

・その日の終わりには日報が営業管理システムに登録されるので、それらをチェックする時間を最低1時間とるようにしている。そこでコメントをすぐに書くのではなく、別のファイルに記載しておき、翌日の仕事が始まる朝の時点でコピーして記載するようにしている。そうすることで時間外とのメリハリをつけるようにしてみている。

それらを聞いて、田中課長は尋ねます。

「自分の営業はいつやるんだ?」

「少しずつですが、課員に引きついでいます。この状況だから、逆に先方も理解してくれますよ」

マネジメントが変わるきっかけになりつつある

あなたの会社に、スーパープレーヤーであり続ける田中課長と、少しずつプレーヤーであることから卒業しつつある山下課長がいたとして、あなたはどちらの人と働きたいでしょうか。

また、もしあなたが会社の社長だとして、どちらの課長を将来の経営幹部として育てたいでしょうか。

これは実は簡単なようで簡単な問いではありません。

仮にプレーイングマネジャーにプレーイングをやめるように指示をしたとして何が起きるでしょう。私が見てきた中ではおおむね3つのことが起きます。

第1に、プレーイングで保たれていた売り上げの減少です。第2に、慣れないマネジャー業務にストレスを感じて疲弊するモチベーションの低下です。第3に、そうした人たちの離職です。

プレーイングマネジャーがプレーイングマネジャーであり続ける背景には、実は経営層がそれを期待しているから、ということもあるのです。売り上げを下げずに現状を維持し続けるには、名プレーヤーにはそのままでい続けてもらう方が楽だからです。

ただ、そんな中でも先ほどあげた山下課長のように、自分なりの工夫をしながら、成長する人もいます。

また、一部の会社では、ニューノーマルにあわせて、マネジメントスタイルを変えようとしている会社も出始めています。管理職にプレーイングを求めるのではなく、マネジメント、すなわち組織を率いて成果を出すことを求めるように変わろうとしているのです。

現在プレーイングマネジャーとして活躍されているのであれば、ぜひ自社の状況や業界の状況を見据えつつ、いつどのタイミングでプレーイング割合を下げ、マネジャーとして行動を学ぶべきか、ぜひ考えてみてください。

平康慶浩
 セレクションアンドバリエーション代表取締役、人事コンサルタント。1969年大阪生まれ。早稲田大学大学院ファイナンス研究科MBA取得。アクセンチュア、日本総合研究所をへて、2012年から現職。大企業から中小企業まで130社以上の人事評価制度改革に携わる。高度人材養成機構理事リーダーシップ開発センター長。

管理職・ミドル世代の転職なら――「エグゼクティブ転職」

5分でわかる「エグゼクティブ力」
いま、あなたの市場価値は?

>> 診断を受けてみる(無料)

「エグゼクティブ転職」は、日本経済新聞社グループが運営する 次世代リーダーの転職支援サイトです

NIKKEI 日経HR