日産・ルークス 優れた旋回性能、惜しい追い越し加速今回の目利き 米村太刀夫氏

近年、スーパーハイト系と呼ばれる軽乗用車の人気が高い。ホンダの「N―BOX」が販売数でトップだが、新型車が各社から登場してこのマーケットは激戦模様となっている。

日産自動車「ルークス」

試乗車の日産自動車「ルークス」はこのカテゴリーに属するもので、三菱の「eKクロス」と兄弟関係にある。このクラスのクルマに共通する美点は、室内の体積が大きく開放感があるのと、ドアを開けて運転席はもとより、どのシートに乗り込むときにも体の姿勢を大きく屈折させないのでとても楽だ。降車も同様である。搭載されるエンジンは3気筒+ターボで発進時に電気モーターがアシストするマイルドハイブリッド。この効果は発進時の体感的な加速感が優れている。逆に時速80キロ内外の速度からの追い越し加速には少し物足りなさを感じた。

米村太刀夫氏

ハンドリングは優れている。アイポイントが高くなるこの種の乗用車は、旋回時のロールが大きく感じるものだが、その不安は皆無。この秘密はロール角の絶対値を少なくするよりも、ロールが始まる時点の過渡特性を丹念にチューニングした結果だろう。ロールが急激に始まらないような工夫が効果を発揮している。旋回時の挙動も見事なもので、不規則な路面からのタイヤ入力に対して車体の姿勢が乱れないのも美点の一つである。路面の継ぎ目から受ける突き上げ振動の吸収も良い。ライバル車のハンドリングを徹底的に評価して、これに負けない性能を目指したことは間違いない。

このクラスのハイトワゴンは後方に2枚のスライドドアを装備するのが常識になっている。ヒンジのある普通のドアに対して、高価で構造が複雑なスライドドア採用は、まさに日本での日常の使われかたを象徴している。通常ならドアの開閉が困難な狭い場所に停車して、学童の乗降をスムーズに行えるのはスライドドア無しに考えられない。試乗車には日産の誇る運転支援装置「プロパイロット」が装備されていたが、レーンキープとかクルーズコントロールは違和感なく使えた。

(自動車評論家)

[日経産業新聞2020年8月6日付]

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