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自分で運転するなら… ロールス・ロイス「カリナン」

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ロールス・ロイス初のSUV「カリナン」に試乗。見て豪華、乗って豪華な"砂漠のロールス・ロイス"だが、真にラグジュアリーな世界観を味わいたいのなら、走らせ方にちょっとしたコツが必要だ。インプレッションを通じてその方法を指南する。

手ごろなロールス・ロイス

ロールス・ロイスに乗る機会はそう多くない。親切な広報のロージーさんに電話をすれば借りられないことはないのだが、「ヤリス」や「フィット」を借りるときとは心持ちが違う。こう書いたからといって決してトヨタホンダを軽んじているわけではないということを、クルマ好きならわかっていただけるはずだ。何しろフロントに神殿が鎮座しているクルマだ。そんなブランドはほかにない。「ミツオカ・リューギ」というモデルがあるが、そういうことじゃないということも、それこそクルマ好きならわかっていただけるはずだ。

今回は試乗記を書くように言われ、恭しく神殿ブランドの最新モデルの最新バージョン、すなわち「ロールス・ロイス・カリナン ブラックバッジ」に乗った。結論から言えば、カタチとしてSUVであるだけで、"ひたすらに豪華であろうとする"ということにかけては妥協のない、いつものロールス・ロイスだった。

カリナンは2018年にロールス・ロイス初のSUVとして登場。その前年にモデルチェンジしたサルーンの「ファントムVIII」に初めて採用された「アーキテクチャー・オブ・ラグジュアリー」という新世代のスペースフレームシャシーが、カリナンにも用いられる。画像を見たあなたは思うはずだ。大きいんだろうなぁと。正解。カリナンは大きい。全長×全幅×全高=5340×2000×1835mm、ホイールベース3295mm。本物のパルテノン神殿はギリシャ・アテネのアクロポリス、つまり小高い丘に建っているが、フロントマスクに神殿が鎮座するカリナンもまた小山のようだ。

とはいうものの、現行ロールス・ロイスの中では最も気を使わずに運転できるモデルだ。カリナンはファントムや「ゴースト」といった4ドアサルーンよりも短く、2ドアクーペの「レイス」よりはわずかに長いものの、目線が高いので運転しやすい。それからカリナンはベースモデルの車両本体価格が3920万円、ブラックバッジだと4530万円、各種オプションが装着されたテスト車は5461万4000円と、ロールス・ロイスとしては高くない。

自分で動かすロールス・ロイス

この運転しやすさと価格の手ごろさ!? は、ロールス・ロイスがカリナンをドライバーズカーとして開発したことを意味する。ファントムやゴーストは、EWB(エクステンデットホイールベース)仕様が存在することからもわかる通り、運転手を雇って後席に乗ることを考慮した存在だ。これに対してカリナンは、平日は運転を任せて後席で過ごすジェントルマンが休日に家族を乗せ、荷物も載せて自らステアリングホイールを握ることを想定した、こう見えてカジュアルなロールス・ロイスなのだ。

「トワイライトパープル」というボディーカラーのブラックバッジ仕様はなかなかパンキッシュだ。エルヴィス・プレスリーのピンクのキャデラックやジョン・レノンのサイケデリックな模様の「ファントムV」のように、世の中にはびこる"こうあるべき"を打ち壊すような迫力がある。ブラックバッジは他のモデルにも設定される、やや悪ぶった仕様だ。スピリット・オブ・エクスタシーはハイグロスブラックに、その他のクロームパーツはダークペイントで仕上げられている。専用デザインの22インチアルミホイールとその奥に見える赤く塗られたブレーキキャリパーもどこか反逆的だ。

カーボンパーツがふんだんにあしらわれたインテリアはダークな色調でまとめられている。シートはボディーカラーと同じパープル。カーペットがとにかく分厚い。操作系はシフトレバーがステアリングコラムから生えるタイプであること、エアコンが希望温度を入力するのではなく、青と赤で区切られたダイヤルを、例えば暑ければ青が多く見えるように回して調整するタイプであること、そしてタコメーターの代わりにパワーリザーブメーターが備わることなど、いくつかの約束を除けば特に変わったところはない。ところどころに同じグループのBMWの各モデルと共通のスイッチを見つけることができる。

大きな船のような乗り味

エンジンを始動させる。振動はほぼゼロ。6.75リッターV12ツインターボエンジンは最高出力600PS、最大トルク900N・mを発生する。ブラックバッジのエンジンはノーマルのそれよりもほんのりハイチューンとなっている。車両重量は2750kg。走行中のエンジンフィーリングを表現するなら「静々と」である。巡航中はもちろん、アクセルペダルを踏み込んで加速させても静々としていて、メーターが示すパワーリザーブ量が少し減るとともにスピードが上がる。8段ATの変速ショックもほぼゼロ。パワートレインのスムーズなことにかけてはこの上ない。速く走らせることは造作もないが、気づくと速いという感じで過程を感じさせない。望む状態にもっていくまでになんのストレスも感じない。

ちなみにトヨタの最新モデルと同様、アイドリングストップ機構は備わらない。トヨタの場合は、同機構を用いずとも求める燃費性能が得られたため、ユーザーのメリットとデメリットをてんびんにかけて装備しなかったが、ロールス・ロイスの場合は、多分だが単にふさわしくないからだろう。

高速巡航中に車内で計測すれば静粛性はワンノブベストだろうが、ダントツに優れているというわけでもない。スタイリングが災いするのか、速度を上げるとドイツブランドの各最上級サルーンよりも風切り音が高まる。一般道では最も静かなクルマといって差し支えない。

乗り味はかなりソフトだ。前後左右への姿勢変化を抑え込むのではなく、大きな船のように周期の遅い揺れを許容する。エアサスは車重の軽いクルマに用いると、路面からの入力の種類によってはバタついて高級感を損なうことがあるが、2.7tのクルマにはエアサスしか考えられない。カリナンの場合、車重を生かした重厚さがあり、高級感につながっている。ロールス・ロイスが最も得意とするところだ。60km/h未満なら世界でファントムの次に乗り心地がいいクルマだと思う。

人馬一体で生み出す高級感

アクセルペダルを深く踏み込めば当たり前のように鋭くダッシュするし、ステアリングを切れば正確に曲がる。車重とパワーに見合うだけのブレーキ性能も備わっている。ただしスポーティーではない。スポーティーなSUVを望むなら他を探すべきだ。今やスポーツカー顔負けのパフォーマンスを誇るラグジュアリーSUVも珍しくない。0-100km/h加速が約3秒という電気仕掛けのSUVも存在する。カリナンで急のつく操作をすると、クルマ全体から「一体どうしたというのですか?」と問われているような気にさせられる。そして上品な運転に戻すと、何事もなかったかのように極上の乗り心地が戻ってくる。

ロールス・ロイスの真骨頂がここにある。他のラグジュアリーカーに劣らぬパフォーマンスを備えつつ、ドライバーにその領域に足を踏み入れようと思わせない仕立てになっているのだ。長らく語られてきたロールス・ロイスの高級感は、品のある運転と組み合わせられることで実現されてきたものなのかもしれない。ショーファードリブンを前提として歴史を重ねてきたブランドならではの特徴だ。カリナンはオーナー自らがドライブすることを前提とした存在だと書いたが、だからといって急にキビキビと運転したくなる刺激的なキャラクターを与えるのはおかしい。そんなクルマはすでにいくらでもある。カリナンはだから"ロールス・ロイスを自ら運転したい人のためのロールス・ロイス"なのだろう。

もうひとつロールス・ロイスらしいのは、カリナンにはACCこそ備わるが、数千万円のクルマにしては控えめなADAS装備にとどまるということ。同じグループのBMWはすでにハンズオフドライブまで実装しており、ロールス・ロイス各モデルも適宜ADASを充実させていくだろうが、決して積極的ではない。なぜならここのオーナーたちは20世紀初頭から人を雇って完全自動運転を獲得しているのだから。

要するに、全方位的に他のブランドとは尺度が違うのだ。いいクルマに乗った。次のロールス・ロイスはいつだろう。

(ライター 塩見 智)

テスト車のデータ


ボディーサイズ:全長×全幅×全高=5340×2000×1835mm
ホイールベース:3295mm
車重:2750kg
駆動方式:4WD
エンジン:6.75リッターV12 DOHC 48バルブ ツインターボ
トランスミッション:8段AT
最高出力:600PS(441kW)/5250rpm
最大トルク:900N・m(91.8kgf・m)/1700-4000rpm
タイヤ:(前)255/45R22 107Y/(後)285/40R22 110Y(コンチネンタル・コンチスポーツコンタクト5)
燃費:--km/リッター
価格:4530万円/テスト車=5461万4000円
オプション装備:ドライバーズパッケージ/パノラマグラスルーフ/リアプライバシーガラス/シングルコーチライン/ラムウールフロアマット/シグネチャーキー/ビスポーククロック/リアシアター/VINプレート/コントラストシートパイピング/トップステッチ/ピクニックテーブル/ビューイングスイート

[webCG 2020年8月4日の記事を再構成]

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