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「新しい時代が来た」とうなる藤井風の曲(川谷絵音)

ヒットの理由がありあまる(24)

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NIKKEI STYLE

日経エンタテインメント!

2020年下半期1発目は、藤井風の1stアルバム『HELP EVER HURT NEVER』。今年のベストアルバム筆頭だ。

正直ここ何年かで一番才能を感じた。このアルバムを聴いたらそう感じずにはいられない。彼が狙って作ったのか天然なのかは推し量るのが難しいなとは思いつつ、今のストリーミング文化を直撃するストレートな良作だ。ピアノの技術はもちろん、歌声も深みのある声で一般層から玄人までしっかりとファン層に取り込んでいる印象。それとは真逆に、配信シングルでもリリースする1曲目のタイトルが『何なんw』という攻めっぷり。このギャップが彼の一番の長所であり、かわいげである。

卓越しすぎた技術は入る隙がなく触りづらい雰囲気を与えるものだが、この力の抜けた若者言葉とネットスラングからくる曲名がそれをうまく帳消しにしている。質の良いR&Bにこんなタイトルをつける発想はどこからくるのか。最初にこの曲を聴いた時は思わずうなってしまった。完全に新しい時代が来ていると。

宇多田ヒカル以来の和製R&B

昨年、蔦谷好位置さんと飲んでる時に教えてもらったのが最初だった。蔦谷さんは「藤井風は必ずくるよ」と熱弁していた。見せてもらったのはカバー動画で、確かに歌もピアノもうまいし、カバーの中でも群を抜いていた。だがオリジナル曲は聴いていなかったので、その後に『何なんw』が出た時は面食らったのを覚えている。曲のクオリティーもすごかったし、サビのキャッチーさが抜群で、これは久しぶりに玄人受けもする大衆音楽が誕生したと思った。

個人的に、大衆を味方につける力を持つ和製R&Bは宇多田ヒカルさん以来のものだと感じる。特に今回のアルバムで僕が素晴らしいと思ったのは『死ぬのがいいわ』という曲。「三度の飯よりあんたがいいのよ/あんたとこのままおサラバするよか/死ぬのがいいわ」の部分のリリックとメロディーが実に最高だ。こんなラブソングがあったんだなと、心底ほれてしまった。歌詞がストレートなんだけど、全然ストレートじゃない。逆にサウンドはストレートじゃないのに、ストレートに響く。このギャップのギャップ。何個も武器を持ってるはずなのに、見た目がスッキリしすぎてて、一体どこに武器を隠しているの?っていう感じ。これは本当に不思議だ。僕にはできないし、感服する。

曲名がそのままサビになっている曲がほとんどで、本当にシンプルな言葉遣いなのだが、メロディーがどれも想像を裏切ってくる。『罪の香り』の「おっと 罪の香り」の部分のメロディーなんて、こんなシンプルな言葉数から本当に罪の香りがして、びっくりですよ。洋楽的な音数の少なさの上で日本語がちゃんと様になっている。日本語に洋楽的アプローチでメロディーをつけようとするとどうしても不格好になる。子音が邪魔をするんですね。母音が強調される英語はメロディーが柔らかくなるが、日本語はカクカクしてメロディーが乗りづらい。それが良さにもなるのだが、R&B的アプローチはしづらい言語なわけだ。

ただ、彼は日本語を自在に操るメロディーを身体で知っている。これは本当にセンス。その一言。僕は日本語を操るためにメロディーもシンプルではないし、言葉数も非常に多い曲を作ることが多い。藤井風的アプローチが難しいからだ。悔しいがこれは僕の苦手分野であり、まあほとんどの人ができない。良い曲になっても大衆音楽にはならない。しかし彼にはそれができて、なおかつそれを大衆音楽にする才能がある。何かっぽくない"藤井風"という唯一の才能。日本語の難しさを克服し、それを長所にしてしまう恐ろしい才人だ。

先日話したVaundyくんも、気にしているミュージシャンは藤井風だった。彼の動向をたくさんの人が注視している。しかし彼は涼しい表情で飄々と歩いていくのだろう。そんな気がする。本当に藤井風とは何なのか。いや、藤井風って何なんw。

川谷絵音
 1988年12月3日生まれ、長崎県出身。ゲスの極み乙女。、indigo la End、ジェニーハイ、ichikoroといったバンドのボーカルやギターとして多彩に活動中。ゲスの極み乙女。は、ニューアルバム『ストリーミング、CD、レコード』をリリースした

[日経エンタテインメント! 2020年8月号の記事を再構成]

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