がんになったらお金どうすればいい 看護師FPが指南がんになっても働き続けたい~黒田ちはるさん(上)

日経Gooday

写真はイメージ=(c)Elvira Koneva-123RF
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日経Gooday(グッデイ)

仕事をしている世代ががんになると、通院や入院などで働く日数が減ったり、休職したりして収入が減ることが少なくない。医療費もかかる中、どのように家計を切り盛りすれば、安心して暮らせるのだろうか。

自身もがんになったライター、福島恵美が、がんになっても希望を持って働き続けるためのヒントを探るシリーズ。「がんになったら知っておきたいお金の話」(日経メディカル開発)の著者で、ファイナンシャルプランナー(FP)の資格を持つ元看護師の黒田ちはるさんに、がんになったときのお金の悩みについて解決策を伺った。

がん患者の家計相談を行う「看護師FP」

――黒田さんは「看護師FP」と名乗っておられます。看護師FPとは、どのような役割を持つ人のことでしょうか。

「看護師FP」は、看護師の経験を生かしたFPとして、がん患者さんの家計相談を行っているという位置付けで使っています。10年間、看護師として医療現場で患者さんのケアに携わり、その経験を生かしたFPとして患者さんやそのご家族の家計相談に応じています。

――実際に、どのように相談に乗っておられるのですか。

黒田ちはるさん(写真:千田敏之)

NPO法人がんと暮らしを考える会[注1]の相談員として、病院での相談事業に携わったり、個人で個別相談を行ったりしています。

病院の相談会では、利用できる公的な制度の確認や、治療費を捻出するための生命保険や住宅ローンの手続きのポイントをお伝えしています。

事務所で行う個別相談ではさらに一歩踏み込んで、試算し検証したうえで、悩みの解決の糸口を探します。銀行や不動産会社などとのやりとりの仕方もアドバイスしています。例えば、患者さんが銀行で住宅ローンの返済の相談をしても、「銀行員の話す内容が難しくて、よく分からない」ということがあります。一方で銀行員は医療者ではないので、患者さんのつらさを理解しづらいというのも当然のことです。そのようなときに、治療の見通しと働き方による収入・支出の予測により、住宅ローンの返済条件変更を希望していることを数字で銀行員へ伝えられるよう、試算のサポートと説明の仕方をアドバイスしています。

――そもそも看護師として働いておられた黒田さんが、なぜFPになられたのですか。

私が担当していたがん患者さんは、がんのことだけでなく、生活やお金のことで悩みを持つ方が多かったんです。看護師として患者さんが使える社会的な制度はある程度、説明できますが、それだけでは解決できない壁を感じて。ある末期がんの患者さんには行きたい所や、やりたいことがあったのですが、そのためにはお金が必要でした。最期を迎えるまでに、やりたいことをさせてあげたいけれど、看護師としては個人的なお金のことに、どこまで踏み込んでいいのか分からないし、まして当時は経済的な知識はありませんでした。そこで、お金の専門家であるFPの資格を取得して個人事務所を開業し、がん患者さんの家計のサポートに専念することにしたのです。

[注1]がんと暮らしを考える会は、「がんに罹患(りかん)することで生じる、社会的な苦痛(特に経済的な苦痛)を緩和することにより、がん患者とその家族が安心して暮らすための支援体制を構築することを目指す」NPO。ホームページは、https://www.gankura.org/

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