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がんになったらお金どうすればいい 看護師FPが指南

がんになっても働き続けたい~黒田ちはるさん(上)

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NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ)

仕事をしている世代ががんになると、通院や入院などで働く日数が減ったり、休職したりして収入が減ることが少なくない。医療費もかかる中、どのように家計を切り盛りすれば、安心して暮らせるのだろうか。

自身もがんになったライター、福島恵美が、がんになっても希望を持って働き続けるためのヒントを探るシリーズ。「がんになったら知っておきたいお金の話」(日経メディカル開発)の著者で、ファイナンシャルプランナー(FP)の資格を持つ元看護師の黒田ちはるさんに、がんになったときのお金の悩みについて解決策を伺った。

がん患者の家計相談を行う「看護師FP」

――黒田さんは「看護師FP」と名乗っておられます。看護師FPとは、どのような役割を持つ人のことでしょうか。

「看護師FP」は、看護師の経験を生かしたFPとして、がん患者さんの家計相談を行っているという位置付けで使っています。10年間、看護師として医療現場で患者さんのケアに携わり、その経験を生かしたFPとして患者さんやそのご家族の家計相談に応じています。

――実際に、どのように相談に乗っておられるのですか。

NPO法人がんと暮らしを考える会[注1]の相談員として、病院での相談事業に携わったり、個人で個別相談を行ったりしています。

病院の相談会では、利用できる公的な制度の確認や、治療費を捻出するための生命保険や住宅ローンの手続きのポイントをお伝えしています。

事務所で行う個別相談ではさらに一歩踏み込んで、試算し検証したうえで、悩みの解決の糸口を探します。銀行や不動産会社などとのやりとりの仕方もアドバイスしています。例えば、患者さんが銀行で住宅ローンの返済の相談をしても、「銀行員の話す内容が難しくて、よく分からない」ということがあります。一方で銀行員は医療者ではないので、患者さんのつらさを理解しづらいというのも当然のことです。そのようなときに、治療の見通しと働き方による収入・支出の予測により、住宅ローンの返済条件変更を希望していることを数字で銀行員へ伝えられるよう、試算のサポートと説明の仕方をアドバイスしています。

――そもそも看護師として働いておられた黒田さんが、なぜFPになられたのですか。

私が担当していたがん患者さんは、がんのことだけでなく、生活やお金のことで悩みを持つ方が多かったんです。看護師として患者さんが使える社会的な制度はある程度、説明できますが、それだけでは解決できない壁を感じて。ある末期がんの患者さんには行きたい所や、やりたいことがあったのですが、そのためにはお金が必要でした。最期を迎えるまでに、やりたいことをさせてあげたいけれど、看護師としては個人的なお金のことに、どこまで踏み込んでいいのか分からないし、まして当時は経済的な知識はありませんでした。そこで、お金の専門家であるFPの資格を取得して個人事務所を開業し、がん患者さんの家計のサポートに専念することにしたのです。

[注1]がんと暮らしを考える会は、「がんに罹患(りかん)することで生じる、社会的な苦痛(特に経済的な苦痛)を緩和することにより、がん患者とその家族が安心して暮らすための支援体制を構築することを目指す」NPO。ホームページは、https://www.gankura.org/

漠然としたお金の不安を明らかにしてみる

――働いている世代のがん患者さんは、どのようなお金の悩みを持っていますか。

治療費がかかるのはもちろん、収入の減少による家計のやりくりに悩む人が多いです。長期的に治療が必要になると、残業ができなくなったり、体に無理をして働くことができなくなったりしがちです。すると、同じ部署で働いていても、給料が2、3万円減ったりします。仮に手取りが20、30万円だとすると、そこから2、3万円の減少は大きくて、さらに治療費も加わるので、その分どこを削るのか、という話になります。

最近では、クレジットカードのローンの返済に悩む人も多いです。カードでキャッシングやショッピングをしていたけれど、がんによる収入低下で返済困難となった人、もともと収入・貯蓄が少なく、治療費をカードで払わざるを得なかった人です。がん患者さんの場合は治療スケジュールや病状により、収入や支出(治療など)が変わる可能性があるため、単純に借金総額や金利だけでは判断が難しく、より慎重に考えていく必要があります。一般的な借金返済方法の考え方とは異なるため、悩んだ結果ご相談されるケースが増えています。

――がんになった人は、どのように家計を見直せばいいのでしょう?

がんと診断された当初は、「治療に何百万円もかかるのでは!?」と漠然とした不安を抱える方が多いので、まずは具体的な金額を確認し、 お金に対する不安を無くしましょう。患者さんやご家族は主治医から治療方針の説明を受けますから、治療期間をもとに、「かかるお金」と「かけたいお金」そして「入るお金」を出してみるのです。

まず、「かかるお金」は治療費、検査費、入院費など病院で支払うお金です。健康保険適用であれば健康保険の高額療養費制度[注2]でおおよその試算が可能です。がんで同じ治療をしたとしても、Aさんは9万円、Bさんは5万円というように、1カ月の上限は人により異なるので、ご自身の治療費の負担額を確認しましょう。

「かけたいお金」は治療の関連費です。入院時の個室の差額ベッド代や、補正下着、弾性ストッキング(健康保険の療養費支給あり)、医療用ウィッグなどがあります。数万円の方もいれば、個室希望で職業的にもウィッグはオーダーメードという方は総額で50万円以上かかっていたことからも、機能性や求める内容により金額は変わります。

「入ってくるお金」は健康保険の傷病手当金[注3](休業補償)と民間の生命保険の給付金です。傷病手当金は休んだ後に申請するので、支給まで時間を要します。治療費がかかり無給となる期間が発生した場合に生活費や日々の支払い関係なども含め、貯蓄や生命保険の給付金などで賄えない場合に、家計の見直しの必要性が出てきます。

民間の生命保険の給付金を請求する際に付けることが多い診断書は、1通5000円ほどなので、ご自身にとってベストな請求のタイミングを見極めることも大切です。

がん治療中の家計は固定費を見直す

――支出はどこを節約すればいいのでしょう?

支出については、毎月かかる固定費(住宅費、生命保険、自動車保険、教育費など)を見直します。

月々の固定費の変化

なぜなら、体や心により負担の少ない方法で、月々の家計を調整でき、治療費やほかの必要なお金に回せる可能性があるからです。住宅ローンの返済が困難になったときは調整方法を考え(詳しくは後編で紹介)、生命保険は保障内容が重複していることがあるので、必要性を検討します。行っていない習い事、例えばスポーツクラブの会費がかかっていたらやめてみる、使っていないクレジットカードは解約するなど、少しずつでもかき集めると、赤字家計の回避につながる可能性があります。

変動費の食費については、ぜいたくをしていなければ、そのままでいいと思います。食費を切り詰めたとしても、ひと月の効果は数千円~1万円程度。頑張った成果よりも切り詰めたつらさにより、治療意欲や患者さんとご家族の生活の楽しさをなくしかねないためです。

[注2]1カ月間に病院・調剤薬局などの医療機関に支払った費用(食事代、有料室料金などは除く)が一定額(自己負担限度額。所得に応じて異なる)を超える場合、超えた額の払い戻しを申請により受け取ることができる。事前に、加入する公的医療保険で限度額適用認定証などを発行してもらえば、窓口での支払いが一定額にとどめられる。

[注3]会社員や公務員などが病気やけがのために欠勤し、給料の支給がない(あるいは、十分な報酬が受けられない)場合に1日当たり給与日額の3分の2相当額を受給できる(最長で1年6カ月間)。国民健康保険加入者は使えない。

◇  ◇  ◇

後編「がんの治療で住宅ローンの返済が厳しいときの調整方法とは」では、具体的な事例をもとに、がん患者の家計の見直しについて考えていく。

(ライター 福島恵美)

黒田ちはるさん
黒田ちはるFP事務所代表。1981年生まれ。千葉市在住。看護師、国際基準を満たしたFPの資格であるCFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士の資格を持ち、「看護師FP」として、がん患者専門の家計相談を行う。NPO法人がんと暮らしを考える会の相談員でもあり、医療機関でお金と仕事の相談事業にも従事している。

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