
台湾発のティーカフェ「ゴンチャ」を展開するゴンチャジャパン(東京・渋谷)が7月22日、新商品「フルーツビネガー」を発売した。ティーカフェでありながら、なぜ酢のドリンクを売り出すのか。
タピオカではない商品
「お茶でもタピオカでもない新商品」。ゴンチャジャパンが新たに発売したのはフルーツビネガーだった。
100%果実発酵した「美酢(ミチョ)」という「飲むお酢」に、ゴンチャオリジナルのフルーツソースを合わせ、こんにゃくゼリーをトッピングした。柑橘(かんきつ)系の爽やかな酸味が広がる「カラマンシー」、トロピカルな「パイナップル」、甘酸っぱく華やかな味わいの「ざくろ」があり、それぞれソーダで割るかミルクで割るかを選べる計6種のラインアップである。
なぜ、ティーカフェでビネガードリンクなのか。
「ゴンチャ=タピオカミルクティー、ゴンチャ=若い女性のお店というあまりにもニッチなブランドが定着しすぎている」
ゴンチャジャパンの原田泳幸会長兼社長兼最高経営責任者(CEO)はそう語る。原田氏と言えば、アップルコンピュータ(現・アップルジャパン)や日本マクドナルドホールディングス、ベネッセホールディングスなどを率いた「プロ経営者」である。19年12月1日付でゴンチャ ジャパンのトップに就任し、成長戦略として掲げたのは3つ。顧客層の拡大、来店頻度の向上、店舗数の拡大だ。「ベストなメニューとベストなサービスとベストなロケーション、極めてシンプルなこの3つの柱で成長を図っていきたい」
フルーツビネガーに込めた狙い
このうち客層拡大、来店頻度向上という2項目を満たす戦略商品として投入したのが、フルーツビネガーだった。「アジアンカフェというニーズは確実にあると確信している。しかし、今のメニューポートフォリオでは、ロイヤルカスタマーの若い女性でも週に1回、2回と訪れる動機付けにはなっていない」(原田氏)
来店動機をいかにして増やすか。そこで着目したのが、美酢だった。健康・美容効果が期待できるとして飲用酢市場は拡大の一途をたどっている。美酢の国内販売本数も19年には14年比で25倍に急伸。20年は2000万本に達する勢いだ。
美酢の販売元は、年商3兆円を超す韓国の財閥大手CJグループである。その日本法人CJ Japan(東京・港)と組むことで「(美酢という)ビネガードリンクをゴンチャらしいアレンジで、年齢性別を問わず、お子様でも好んで飲んでいただけるメニューに仕上げた」と語るのは、中山拓美マーケティング本部長だ。
中山氏も原田氏同様、日本マクドナルドの出身で、同社マーケティング本部でメニュー開発を手がけた実績がある。今回、特に苦労したのは果実酢とフルーツソースの組み合わせ。カラマンシーにはピーチソースを、パイナップルにはパッションフルーツソースを、ざくろにはストロベリーソースを合わせた。
カラマンシーを選んだのは「日本であまり流通していない分、独自性が高く、飲んだときに新しい体験だと感じてもらえると考えたから」(中山氏)。誰もが知る果実であるパイナップルにはパッションフルーツを加えて南国感を高め、ざくろは鮮やかな赤色を際立たせるべく、ストロベリーソースをトッピングした。こんにゃくゼリーもざくろ酢を使って新たに開発し、かみ砕いたときの食感にも力を入れたという。
まずはカラマンシーとパイナップルを発売し、8月中旬からざくろをメニューに加える。渋谷や新宿など店舗が複数あるエリアでは、ある店はカラマンシーとパイナップル、別の店はカラマンシーとざくろなど、扱うメニューに変化を加えることで、店舗間の回遊性を高める作戦に出る。