米政府やIT企業も導入 トヨタウェイはどこまで広がるトヨタプロダクションシステム・サポートセンター(TSSC)バイスプレジデント ジェイミー・ボニーニ氏(下)

製造業から政府やITベンチャーにも広がる

佐藤 トヨタはアメリカ人の生活にどのような影響を与えてきたと思いますか。

ボニーニ トヨタはこれまでケンタッキー(1988)、ウェストバージニア(1998)、インディアナ(1998)、アラバマ(2003)、テキサス(2006)、ミシシッピ(2011)に工場を建設してきましたが、これらの工場がアメリカ社会にもたらした功績は驚くべきものです。

トヨタの米ケンタッキー工場

トヨタの工場はアメリカに多くの雇用を創出しました。それはトヨタの従業員に限りません。サプライヤーや関連会社などでも多くの人々が採用されました。トヨタは単に仕事や雇用の数を増やしただけではありません。「良い仕事」と「良い雇用」を生み出したのです。

「良い仕事」とは給与、職場環境、やりがいのすべてにおいて「良い」という意味です。トヨタは「良い仕事」を創出することによって、アメリカに「良いコミュニティー」と「良き市民」をもたらしたのです。

さらにトヨタはアメリカの製造業のレベルアップにも貢献してきたと思います。私が大学院ではじめてトヨタ生産方式について学びはじめたのは80年代後半のことですが、当時は「果たしてこの生産方式がアメリカでもうまくいくのか」と疑問に思われていたのです。カリフォルニアにあったNUMMI(ニュー・ユナイテッド・モーター・マニュファクチャリング。トヨタ自動車とゼネラル・モーターズの合弁会社。1984年設立、2009年合弁解消)の工場もケンタッキーの工場もおそらくうまく稼働できないのではないかと。なぜならトヨタ生産方式が日本国外で通用する普遍的な生産方式かどうか、実証できていなかったからです。

しかしながら、結果をごらんになればわかるとおり、トヨタ生産方式はアメリカでもしっかりと機能しました。そしてこれらの工場は、アメリカの人たちが高度な技術を身につけ、アメリカの製造業全体のレベルを上げることに貢献してきました。そして今、トヨタ生産方式は製造業から、政府、ITベンチャー企業などへと広がっていき、多種多様な分野で活用されています。これはすばらしい功績です。

確固たるフィロソフィーに誇り

佐藤 ボニーニさんにとってトヨタウェイとは何を意味しますか。

ボニーニ トヨタウェイは2つの基本理念から成り立っています。1つは「知恵と改善」です。私たち一人ひとりが常に新しいことにチャレンジし、改善していくことです。その価値を心から信じて、周りの人にもその活動を広げていくことです。もう1つは「人間性尊重」です。「人間性尊重」の「人間」とは、自分の会社の同僚だけを意味するのではありません。地域社会、さらには、地球全体の人間すべてを大切にすることです。私はこのような確固たるフィロソフィーをもつ会社の一員であることを誇りに思います。

私がなぜトヨタで働きつづけているのかといえば、何よりもトヨタの「社会に貢献する」というミッションに心がつき動かされるからです。トヨタを通じて社会に貢献するためには、まずはトヨタに貢献する人々を育成しなくてはなりません。

幸運にも私は今、トヨタプロダクションシステム・サポートセンターでサプライヤー、コミュニティー、大学などに貢献する活動に携わっていますが、トヨタのどの部門の人たちもそれぞれ素晴らしい方法で社会に貢献しています。こうした活動はアメリカの人々、世界の人々に非常によい影響を与えていると思います。このような尊いミッションをもつ会社の一員として働けるのは光栄なことであり、とても誇りに思っています。

※「トヨタウェイは世界を変えたか」は毎週月曜日に更新します。次回は8月17日の予定です。

ジェイミー・ボニーニ Jamie Bonini
トヨタプロダクションシステム・サポートセンター(TSSC)バイスプレジデント。1985年プリンストン大学卒業。87年カリフォルニア大学バークレー校大学院修了(MS)。92年マサチューセッツ工科大学大学院修了(MS)。ダイムラー・クライスラーにて様々な要職をつとめたのち、2002年トヨタ・モーター・エンジニアリング・アンド・マニュファクチャリング・ノース・アメリカ(TEMA)入社。トヨタ・モーター・マニュファクチャリング・ケンタッキー(TMMK)などを経て現職。

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