岡田健史 役の景色が見えるようになったときは快感岡田健史インタビュー(下)

日経エンタテインメント!

これらの映画を多数のドラマと並行して撮影していたとすると、かなりの過密スケジュールだったはず。それにもかかわらず、作品のことを聞くと、役名がよどみなくすっと出てくる。

(写真:アライテツヤ)

「掛け持ちですか? ありました、ありました。もちろん混乱しましたし、むしろ『混乱しないほうがおかしくない?』っていうぐらいの時期もあったんですけど(笑)。でも、一馬は何が好きかとか、沢田圭はどんな価値観を持っているのかとか、役柄それぞれの性格や人物像をきちんと理解するように努めていたので、乗り越えられました。ずいぶん前に撮影した作品でも、役柄の印象は深く残っていますね。

もちろん、1つの役にすべてを注ぎ込めることほど幸せなことはないです。でも、そうも言っていられない。むしろ、それだけの数の役をいただけるのは幸せなことなので、やりがいがあって楽しいです」

世の中に影響を与えられる俳優に

今、岡田が作り手から引く手あまたなのはなぜか。その状況について尋ねると……。

「求められてるというより、『君ならどうする?』と言われている感じがしますね。お芝居の神様みたいな存在に。その試練を乗り越えることで新しい僕が見つかって、そんな僕をまた他の誰かに見つけてもらってっていう、その繰り返しなんじゃないかと思います。

今日、この場でインタビューしてくださっていることも、『君はどう答える?』と試されている気がしてならないですし。試されることは、もちろんプレッシャーです。プレッシャーだけど、それをはねのけて、いかに楽しくやっていくかっていうことが『生きる』ってことかなと思います」

はねのけるための武器は何かと聞くと、「逃げないこと。どんなことも流さず、ちゃんと受け止める。それで時にボロボロになる」と笑う。ボロボロになり、涙を流すようなこともあるのだろうか。

「ありますね。これからも、期待して与えてもらった役に対して、どれだけ考えて、どれだけ苦しんで、どういう色に変化させて形にしていくかという作業を繰り返して、場数を踏みたい。

目指しているのは、世の中に影響を与えられるような俳優です。今、コロナ禍のこの時代に、エンタテインメントに助けられている部分って、いっぱいあると思うんです。俳優である以上、みなさんに希望や共感を届けて、支えになりたい。そのためには、ただ役になって、カメラの前に立つだけでいいのか…。そんなことも時々考えますが、人の心を動かせるような役者になれたらいいなと思っています。

今後は、『大江戸もののけ物語』が一風変わった時代劇だったので、正統派の時代劇にも挑戦してみたいです。京都の撮影所にはいろんな時代劇のポスターが貼られていて、どれもめちゃくちゃカッコいいんですよ。そこに貼られるような作品を増やせたらうれしいので、作り手の方に『岡田健史で正統派の時代劇を』と思ってもらえたら、1つの成功かなと思います。今回の一馬役をたくさんの方に見ていただきたいです」

(ライター 泊貴洋)

[日経エンタテインメント! 2020年8月号の記事を再構成]

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