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フランス料理をアラカルトで気軽に楽しむ 東京・広尾

2020/8/10
看板メニュー「タラバガニと蟹(カニ)味噌スクランブルエッグのパイ包み焼き」
看板メニュー「タラバガニと蟹(カニ)味噌スクランブルエッグのパイ包み焼き」

フランス料理というと、かしこまった格好で口にするフルコースを思い浮かべる人も多いだろう。中にはマナーなどを意識しすぎて、リラックスして楽しめなかった経験がある人もいるかもしれない。しかし、食とは本来、味や香り、盛り付けだけでなく、その場の雰囲気までひっくるめて楽しむものだ。そのことを思い出させてくれるのが、2019年3月に東京・広尾にオープンしたフランス料理店「au deco(おでこ)」である。

Summary
1.「フランス料理を気軽に食べてもらいたい」と広尾に開店
2.ソムリエールが誘うヴィンテージワインの世界も大きな魅力
3.フレンチを五感で楽しむ 上質な空間とそれを彩るクラシック音楽 

オーナーシェフを務めるのは掛川哲司さん。箱根「オーベルジュ オー・ミラドー」や南青山「NARISAWA」で修業した後、30代で代官山の人気ビストロ「Ata」や恵比寿「グッドラックカリー」を手がけてきた匠(たくみ)だ。

とはいえまだ人生半ば。40代に差しかかったことを機に、前々から抱いていた思いを形にすることに。それが、「フランス料理というものをきちんと味わえるお店をつくること」だった。

「独立した33歳当時は経験も人間としての厚みも足りなかった。昔ながらのクラシカル(伝統的)なフレンチを提供するお店をやるには30代ではまだ早かったんです」。そう振り返ると掛川さんはさらに、「ようやくオープンできたとはいえ、このお店に対しては少し背伸びしていると思う。50歳くらいでしっくりくるようになるかな」と言葉を継いだ。

10年後、その「しっくり」を現実のものとするためにも、まずは伝統的なフランス料理の魅力を多くの人に伝えたい。そう考えて、コースではなく、ひと品ひと品に高いレベルが求められるアラカルトのみを用意することにした。もちろん、1皿から気軽に利用できるので、夜遅くの来店でワイン1杯と1、2品をゆっくりとたしなむ客も多いそうだ。

ワインは熟成のおいしさを多くの人に知ってもらいたいと、1970~80年代のものを多くそろえている。さらにうれしいことには90年代のものはグラスでも飲める。

また、「80年代のワインでも2万円前後から楽しめますよ」とソムリエールの白仁田真澄さんが教えてくれたが、掛川さんとは幼なじみというだけあり、ふたりはツーカーの仲。シェフの作る料理の魅力も知り尽くしているだけに、ベストな1本をチョイスしてもらうのが賢明だ。

冷前菜「仔ウサギとミル貝のテリーヌ 人参のサラダ」

冷前菜のお薦めは「仔ウサギとミル貝のテリーヌ 人参のサラダ」。1羽のウサギからとれるさまざまな部位を使ったジュレを口にすると、ミル貝のうま味がじんわりと溶けだしていく。ウサギは脂肪分が少なく粘度が高い肉なので、しっとりとした口当たりも魅力だ。

トッピングされた白レバーのフォンダン(ふわっとした食感のムース状に仕上げたもの)とともに口に運べば、さらに奥深い味わいを堪能できる。

手前に添えているのはウサギのあばら肉を焼いたもの。キャロットラペ(ニンジンサラダ)はビネガーやワイン、クミン、レーズン、クルミなどでさっぱりと仕上げている。

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