パナソニックの最上位イヤホン 楽器聞き分ける解像度
今回の目利き 森谷健一氏
ノイズキャンセル機能付きワイヤレスイヤホンは、昨年発売されたアップルの「エアーポッズ・プロ」とソニーの「WF-1000XM3」が人気を集め、大きく盛り上がった。パナソニックも3機種を発売し、本格参入する。最上位機種「EAH-AZ70W」を紹介する。「テクニクス」ブランドでの発売だが、名前に恥じない音質に加え、使いやすさを追求している。
本体は、高級ワイヤレスイヤホンを初めて目にした人なら驚くほど大きい。ちゃんと耳に収まるのか一瞬不安に思うかもしれないが、耳に差し込みやすく、しっかり安定して使える。スマホなどとの接続にはブルートゥースを利用するが、タッチセンサーと基板部をアンテナとしても使用しているため、通信可能範囲はかなり広めだ。
音質の解像度は非常に高い。録音状況のよい室内楽曲を聴いたが、音量をあまり大きくしなくても、それぞれの楽器の音を聞き分けやすかった。音場の再現度にも優れ、ホールの広さが想像できる。耳全体を覆うオーバーイヤータイプのハイレゾ対応ヘッドホンほどではないが、耳の穴に差し込むカナル型としてはかなり優れた方に属する。
ノイズキャンセル機能は本製品最大の特徴で、耳の外と中の両側にマイクを配置し、デジタル方式とアナログ方式の両方を使い分けるデュアルハイブリッドを採用。航空機内と新幹線内の騒音を再現した環境で使ってみたところ、騒音がかなり遠くで鳴っているように感じられた。機能の強さをスマホ向けの専用アプリで細かく調整できるのも便利だ。外音取り込みモードを有効にすると、本製品を耳にはめたまま、車内アナウンスなどを聞きやすくなる。ただ音楽を再生していないと、高音のホワイトノイズのような音が聞こえるのが気になった。
価格は3万2000円前後で、同種の製品でも高価な方だが、音楽をじっくり楽しみたい人には最善の選択だろう。毎日の通勤電車で気軽に音楽を聞ければいいなら、パナソニックブランドの下位モデルも悪くない。
(テクニカルライター)
[日経産業新聞2020年7月30日付]
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