リモートワークの感情ケア 解析システムやアプリ登場

――感情解析の技術はどのような仕組みで、現在はどんなところに使われていますか。

「音声の物理的な特徴量から、数万人の音声データベースをもとにAIが感情を判定します。喜び、平常、怒り、悲しみの4つの感情と元気度を知ることができます。AIの機械学習に使う音声データは、我々のシステムを利用している内外のユーザーから提供してもらい、目的別に複数のAIのアルゴリズムを開発しています」

「コールセンターでオペレーターや顧客の声を解析するシステムが代表的な導入例です。また、村田製作所が管理職と従業員など一対一の対話の状態を可視化するNAONAというプラットフォームを提供していますが、ここにも当社の技術が使われています。人と対話するロボットや、音声カーナビによる運転者の気分測定、仮想現実(VR)コンテンツ、ウェブマーケティング分野での商品リコメンドなど、様々な分野で使われています」

――音声解析システムの導入が従業員のパフォーマンス向上につながった例はありますか。

「主要な導入先であるコールセンターの職場では、電話に出ているオペレーターの声から感情をリアルタイムで感知したり、クレーム電話に長時間対応しているなど問題がありそうな状況を検知し、マネジャーがフォローできるような体制を作ることができます。数十人規模のあるコールセンターの職場では、オペレーターの出社率がそれまで約80%だったのが90%台半ばまで向上しました。コールセンターはもともと離職率が高いとされる職場ですが、この職場ではシステムを導入した昨年以降まだ離職者が出ていないとも聞いています」

「このコールセンターはオペレーターが電話をかけて商品を売るアウトバウンドコールを手がけていますが、感情解析を採用した職場での成績が約2倍になり、特に仕事の経験が浅い層で大きな改善効果がみられました。感情解析システムを活用することで従業員満足度が上がり、それがいいパフォーマンスにつながったと考えています」

――感情解析を今後どのように広げていきますか。

「変わったところでは、宇宙飛行士の感情を表現する宇宙服の開発に協力しています。ベルギーのファッション・テック・アーティストであるヤスナ・ロケゲンさんが、我々の感情解析の技術を使い、飛行士の心の状態を表面の色の変化などで表現する宇宙服のプロトタイプを米航空宇宙局(NASA)で発表しました」

「ロケゲンさんは宇宙空間で孤独な状況に置かれた飛行士の感情を地上や他の惑星にどうやって伝えられるかを考えています。私たちにとってもリモートワークは今やとっぴなものでなくなりました。宇宙飛行士ほど極限的な状況ではないものの、ウィズコロナで類似した働き方が現れつつあると考えることもできそうです」

(編集委員 吉川和輝)

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