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「女性管理職30%」実現へ遠く 何が必要?識者に聞く

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NIKKEI STYLE

2020年までに女性管理職を30%に増やそうという政府目標の達成は難しくなった。日経グループが今春まとめた「企業の女性活躍度調査」では、回答した542社のうち30%を超えたのは6%にとどまる。17年という長い年月をかけても実現できない理由は何か。企業の課題、女性自身の課題、それぞれについて識者にきいた。

◇   ◇   ◇

早い段階で責任ある仕事

ゴールドマン・サックス証券副会長 キャシー・松井氏

――女性の登用がなかなか進みません。

「女性の人数を決めるクオータ(割当制)導入を、との声がある。欧州では導入例もあるが、あくまでボードメンバーだ。組織の中のリーダーシップ層を見ると、程度の差はあれど課題は各国共通。優秀な女性が長く働き、決定権を持つポジションを目指すようなプロセスをどう作るか。どの国もダイバーシティ(多様性)が完璧ではない」

「日本は女性の就業率が先進国の中で低かったが、最近は7割超で、欧米を上回る。今は非正規社員が多いが、どう正規を増やすか。女性に自信を与え、責任ある職に就けるようにすることが今やるべきこと。クオータ制でいきなり引き上げるのは難しい」

「目標が達成できないのは政策や税制、教育、無意識のバイアスなどいろいろある。親にも先生にもメディアにも責任はある。根深い問題を一つずつ解決しない限り、政府批判だけでは解決しない」

――企業の課題とは。

「企業にとって一番価値のある資源は人材だ。生産年齢人口は年々減り、人材争奪が始まっている。経営者は最も優秀な人に来てもらえるような職場環境をつくる必要がある。コロナの影響で働く環境は大きく変わった。優秀で野心のある人は自分の能力が生かせる組織を選ぶ」

「優秀な人材確保は長期の投資だ。早く辞めるのを防ぐために何が必要か。女性には出産などライフイベントの前に責任ある仕事を与える"ストレッチアサインメント"が有効だ。モチベーションを高く維持することができる。能力のある女性に『このポストにトライしてみませんか』と働きかけると、会社に必要とされていると実感する。『結婚しているから断るだろう』などと決めつけてはいけない。本人に打診し、断られたらもう一度打診すればいい」

――女性が就職時に一般職を選ぶ傾向があります。

「日本の総合職・一般職はクレージーシステムだ。転勤は大変、総合職になったら結婚が難しい、など聞けば、保守的になるのは当然。私だって20代なら一般職を選ぶ。ただ、それでどれだけ多くの才能が過小評価され、開花しないままになってしまったか。企業は男女を問わず優秀な人材を採用し、最大限能力を引き出すことに注力すればよい。ダイバーシティは社会的責任(CSR)というより生き残り戦略だと考える経営者は動いている」

思い込み捨てまず行動を

アパショナータ代表 パク・スックチャ氏

――目標を達成できない原因をどのように考えますか。

「仕事と子育ての両立支援策は根本的な課題の解決につながらなかった。長期の育休制度を利用するのは結局、女性だ。制度の導入で逆に子育てや家事が固定的になり、ほぼ1人でこなす『ワンオペ育児』という現象まで生んだ。制度自体が女性は家事・育児、男性は仕事というジェンダーバイアス(性別役割分担意識)がベースになっている」

「一方で女性は男性よりも昇進意欲が低いことがある。労働政策研究・研修機構の2016年の調査では、課長職以上への昇進を希望する総合職女性の割合が男性より2割超低かった。私がコンサルティングしている企業からも『管理職になるのを断ったり、昇進試験を受けない女性が多い』という声を聞く。主な理由は女性が男性よりジェンダーバイアスが強いことと、自分の実力を過小評価することだ。過小評価するのは世界の女性に共通する傾向だ」

――意識を変えるにはどうすればいいでしょうか。

「自信と能力には相関関係がなく、自信と思い込みに相関関係があることを理解すべきだ。そして『自分はできない』という思い込みは変えることができる」

「自信をつけるためには行動をしないといけない。私が実施している研修の後半では、具体的にどのようなアクションをすべきかを考える。受講生には『自信がなくても行動すれば後から自信がついてくる』と伝えている」

――ほかにも女性の活躍を阻む要因はありますか。

「家事の負担が大きいことも問題だ。シンガポールなどアジアでは家政婦を雇い、欧米では夫婦の家事の分担が進んでいる。世界と比べて日本の女性は負担が大きい。責任のある仕事を受けられない」

「総務省の労働力調査や国際労働機関が提供する各国の女性管理職比率と、各国の統計部門がまとめた夫婦の子育て時間などを見ていくと、夫の家事の時間と女性の管理職比率に相関関係がある傾向がみられる。夫が家事をするほど、女性のキャリアの選択肢は広がるということだ」

「必要のない家事を減らし手を抜くことを考えたほうがよい。私は子供と話す時間だけは確保すると決め、買って済ませられる食事づくりなどは無理をしないようにした。仕事に集中できる夫と、時短勤務で家事を背負う妻で年収差が広がると、夫婦の発言権にも差がでてしまう。家事分担を話しあうことは重要だ」

「コロナ禍の在宅勤務では家族全員が家にいて、妻の家事負担が増えている。夫ができることを増やせば家族関係は良くなる。家事の分担について話し合える良い機会だ」

一人ひとりの取り組み必要


 「職場で能力を発揮できないのはもったいない」――。インタビューで伝わってきたのはそんな思いだ。少子高齢化の進展で生産年齢人口は30年後に3割減る見通しだ。一人ひとりの能力を最大限引き出すことが何より求められている。成果を出せずにいる原因を政府や社会風土に押しつけるのは簡単だが、それではいつまで経っても解決しない。
 女性であることを理由に、進学や就職に関して挑戦することを良しとしない親からのプレッシャー、採用の際に一般職などコースを選択させる企業の採用方式、メディアにももちろん責任はある。各人が向き合わなければ解決にはほど遠い。新型コロナウイルスによって労働環境が激変したように、10年後の社会がどうなっているのか誰も予想できない中で、長期で取り組んでいる余裕はない。

(キャシー・松井氏の聞き手は女性面編集長 中村奈都子、パク・スックチャ氏は荒牧寛人)

[日本経済新聞朝刊2020年8月3日付]

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