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水道水を提供することでCO2排出量も削減

店頭にミネラルウオーターのタンクを置くなどして給水サービスを行っている小売店も多い。だが、無印良品店頭に置かれる給水機に用いられるのは、フィルターを使ってろ過した水道水だ。その理由は「タンクに入ったミネラルウオーターはタンクにプラスチックを使っている上、店頭に運ぶ際にCO2が排出される。日本は安全でおいしい水道水が飲める環境が整っているため、フィルターを通した水道水を利用すれば、CO2排出量やプラスチックごみの削減につながると考えた」(給水サービスを担当した同社食品部の関根氏)からだ。

サービス開始から間もないが、利用者からは「出勤前や昼休みに立ち寄って給水している」「何度でも無料で入れられるのはうれしい」という声があがっているという。

給水機設置とともに、独自に開発した「水アプリ」の提供も開始した。給水機を設置している無印良品店舗に加え、東京都水道局が「Tokyowater Drinking Station」として紹介している都内約700カ所以上の給水スポットが検索できる。「今後は他の自治体とも連携を図って、給水スポット情報を増やしていく予定」(関根氏)。

また、給水量や給水することで削減できるペットボトルの廃棄量とCO2排出量もアプリ上で確認できる。持続可能な開発目標(SDGs)への意識が高まる中、利用者の利便性だけにはとどまらないこうした取り組みは、多くの消費者に支持されるかもしれない。

良品計画がリリースした「水アプリ」。給水器を設置している無印良品店舗と東京都水道局が紹介する都内約700カ所の給水スポットが検索できる。また、給水量や給水することで削減できるペットボトルの廃棄量とCO2排出量もアプリ上で確認できる

(ライター 樋口可奈子、写真提供 良品計画)

[日経クロストレンド 2020年7月21日の記事を再構成]

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