40代に迫る「キャリアの停滞」 抜け出すための方法は法政大学 キャリアデザイン学部 田中研之輔教授

副業や兼業で自らキャリア開発を準備

――「70歳まで現役」時代の到来を控えて、ビジネスパーソンが心がけておきたいことは何ですか。

「組織にキャリアを預けることは、不透明さが増すこれからの時代においては大きなリスクです。自発的にキャリア開発をしていくことこそが一番のセーフティーネットになります。転職するかどうかは、キャリア選択にすぎません。それ以上に重要なことは『自身が働き方に向き合い、キャリアをデザインし、そのために自分を変えること』です」

「人生100年時代では70歳までは現役で、70歳から先も何らかの仕事で稼いでいく生き方になります。新型コロナウイルス関連の財政支出が大幅に膨らんでおり、年金の財源がどうなるか、ますます分からなくなりました。年金は減ることはあっても、増えることはないでしょう」

「そのような厳しい時代を生き抜くこととなるだけに、ミドルシニアで組織人として働きながら、自らキャリア開発をして、価値を生み出す練習を重ねておくことをおすすめします。副業や兼業を認めている職場なら、積極的に挑戦してみましょう。認められていない場合でも、職場外での活動機会を意識的に増やしておきたいものです」

「たとえば、営業に長く携わってきたのであれば、これまでの現場経験から得た成功の秘けつや失敗の原因を、SNS(交流サイト)を通じて発信していくこともおすすめです。そうした発信の機会を重ねながら、コミュニティーを形成するのもよいでしょう。コロナ禍でオンラインセッションも日常化し、以前にもまして、一個人の経験が社外のビジネスパーソンなどに届きやすくなっています」

「副業が認められている企業なら、積極的にスモールビジネス(小規模事業)に挑戦してみましょう。自らのスキルや経験をもとに、自ら『稼ぐ』経験をするのです。企業で稼ぐことと、個人で稼ぐことは異なります。個人で稼ぐことを練習しておくことは定年後のキャリアづくりにも役立ちます」

――コロナ禍で企業も個人も働き方が大きく変化しつつあります。ミドルシニアのキャリア形成では、どういった新しい視点が必要でしょうか。

「『変化への対応力が重要』とは今までも繰り返しいわれてきましたが、今回のコロナショックでは多くの働き手が突然、大きな変化に直面しました。たとえば、『ビデオ会議は苦手』とはもう言えないほど、オンライン化が急速に進みました」

「ミドルシニアのキャリア開発にあたっては、外発的な変化をもたらすコロナ禍は、むしろ自らを変えるチャンスとなり得ます。このチャンスに変わらなければ、組織や社会の中で取り残されていくことになりかねません。年齢や肩書を言い訳に逃げるような態度は捨てて、この歴史的変化に果敢にチャレンジしていきましょう。ビジネスパーソンにとって『遅すぎる』ということは決してなく、いつからでも進化できると覚えておきましょう」

田中研之輔
 法政大学キャリアデザイン学部教授。一橋大学大学院社会学研究科博士課程をへてメルボルン大学、カリフォルニア大学バークレー校で客員研究員を務める。専門はキャリア論、組織論。「ビジトレ 今日から始めるミドルシニアのキャリア開発」「プロティアン」など著者多数。

(日経キャリアNET編集チーム 宮下奈緒子)

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