質感にこだわるのが大人の証
――ショートパンツの着こなしのポイントはどこでしょう。
「全体のバランス感はやはり大事ですね。ボトムスが短ければ、トップスのサイズを少しだけゆったりさせる、という具合です。あとは実体験としても欠かせないのが、トップスの生地へのこだわり。大前提としては、汗をかいても目立たないような色と質感です。おじさんの汗ジミなんて誰も見たくないですからね(笑)。より突き詰めるなら、繊維のきめ細かさや、上質な素材ならではの光沢感に注目してみてください」

――大人の服選びには生地が重要なのですね。
「一目で良しあしを判断しづらいポイントですが、見たり着たりを繰り返すうちにとても奥深いものだと気づきます。どうしてもデザインに目がいきがちな中、そういった点にもこだわれる柔軟性こそ、大人らしさではないかと思いますね」
――ファッションをさまざまな角度で楽しむというのも、着こなしの“こなれ”具合につながってくると。
「そうですね。ちなみに、ヴィンテージの服もそういう楽しみ方と相性のいいアイテムです。特に面白いのは、当店でも扱っているヨーロッパ物。マーケットがある程度確立されているアメリカ物とは違い、詳しい情報が出回っていないんです。ロマンがありますよね。トレンドや価値基準が定まっていない服の中から、似合う一着を見つけて、着こなすというのも大人のたしなみだと思います」
ジャケットと革靴で上品に アイビールックを意識
――今回は実際にショートパンツを使ってコーディネートを組んでもらいました。まずはBARNSTORMER(バーンストーマー)の一着を使った着こなしです。
「先ほどお話しした、初心者にも取り入れやすいものの例ですね。チノパンのようなコットン生地が使われています。タックが入っているのでカジュアルになりすぎず、スラックスのような上品さもあります」

――トップスにはジャケットを羽織っていますね。
「大人といえばということで(笑)。ただジャケットといいつつも、柔らかなポリエステル素材なので、あまりかしこまりすぎないのがいいですね。カーディガン感覚で着られます」
――インナーはシンプルな白のTシャツです。どこにこだわっていますか?
「質感を重視しました。コットン素材なのですが、シルクのようなツヤがあるんです。着心地もとても滑らかですね。1枚で着ても見栄えのするアイテムなので、ジャケットを脱いでも様になります」
――足元は高級感のある革素材で全体を引き締めている印象です。レザーシューズを合わせるときに気をつけることはありますか?
「そもそもショートパンツと相性のいいアイテムですし、特に意識することはない思います。1960年代に一世を風びした『アイビールック』のような着こなしなので、むしろ大人の方こそイメージしやすいのではないかと思います」