逃げるは恥だが役に立つ LINE舛田氏の「耐える力」「ネット興亡記」に学ぶサバイバル術 (5)

――ライブドア側の立場に立つと、やりたいことを断念することにもなります。彼らの敗北感も肌で感じていたはずです。

「大きな決断をしてもらったと思う。普通ならできない決断だったかもしれません。でも、やはりグーグルやヤフーにチャレンジしたいという思いは一緒だった。チャレンジができる道筋ができていた」

もしかしたら一刺しくらいは

――キャリアを振り返ると、中国の検索大手の百度(バイドゥ)、韓国ネイバーといつも異なる文化の組織に身を置いてきました。

「なぜ日本の企業に入って手腕を発揮しないのかと何度か言われたことがあります。求めてくれたのが百度であり、ネイバーでした。そしてLINEであった。国は関係ない」

――いまでも検索といえばグーグルという巨人が立ちはだかります。あえて「負け戦」を覚悟してチャレンジしてきました。

「当然、グーグルのすごさは分かっていた。体感していた。だからバイドゥ創業者のロビン・リー(李彦宏)氏にも『中国で成功してお金があるからといって安易に日本にチャレンジしない方がいいんじゃないか。お金はまた別の有効なことに使った方がいいんじゃないか』とも言いました」

「でも、バイドゥに自分が入れば、四つ相撲はできないかもしれないけど、もしかしたら一刺しくらいはできるんじゃないかと思いました」

――実際には完敗でした。

「私が未熟だった。やっぱりちょっとやそっとじゃ歯が立たない。もう、勝負をする前から負けているような状態で体力的にも精神的にも疲弊していました。『こんなに負けきったこともないな』と思いましたから」

違う景色を見るための仲間

――ライブドアも日本の産業史に会計不正という「黒歴史」を残しました。舛田さんも含めて「敗者」が挑戦をし続ける中で生まれたのがLINEでした。

「時代がLINEをつくったのでしょうね。ただ、この先、もっと遠くにいくためには、もっと早くいくためには、もっと違う景色を見るためには仲間が必要だと考えました」

――2019年にLINEがヤフーとの経営統合を決めた理由がそれだと。ヤフーもグーグルと並んで舛田さんたちを蹴散らしてきた相手ですよね(笑)。

「そうですね。ヤフーは我々がリスペクトし続けてチャレンジし続けた相手です。そのチームと一緒になるというのは、我々が描く世界を実現する唯一無二なカードだと思うのです」

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ネット興亡記

著者 : 杉本 貴司
出版 : 日本経済新聞出版
価格 : 2,200円 (税込み)

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