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5月4日にオンエアを開始した新CM「好きなことを楽しみながら編」では、「♪体に良いことするのって大事」と歌い出す曲をバックに、キウイブラザーズが様々な体にいいことにチャレンジする。しかしランニングは10分で疲れてしまい、筋トレは運動不足の人にはキツく、険しい山登りでは危険に遭うかも、足つぼマットはやっぱり痛い……と、どれも長続きしない。結局、キウイを食べることが自分たちが楽しんで続けられるヘルシーだ、と気づいたキウイブラザーズ。「♪ヘルシーは、好きなことを楽しみながら」と、バナナ、オレンジ、リンゴのキャラクターと一緒に歌い踊って、最後に「好きなことなら、長続きできるよ」とささやく。

キウイブラザーズが出演するCMシリーズは5年目。今年は異例となる60秒の長尺CMを制作して、当初はその長尺CMのみをオンエア、5月25日以降は15秒CMを中心に展開した。CMの中で現れる「ヘルシーを、やみつきに。」という新スローガンを、分かりやすく伝えるのが狙いだったという。

ジューシーなキウイと共に現れる「ヘルシーを、やみつきに。」というメッセージは今年から始まったゼスプリの新スローガン

「ヘルシーを、やみつきに。」のコピーは、今年からゼスプリが世界共通で訴求することになった「Make your healthy irresistible」という新たなブランドタグラインを訳したもの。「ストイックなイメージがある健康的な生活を、もっと積極的に楽しみたくなるものにしよう」という思いが込められている。CM制作にあたった電通第3CRプランニング局クリエイティブ・ディレクターの北田有一氏は、「この思いはやや哲学的であり、説明するには時間がかかります。そのため、今年のCMは60秒の長尺にしたり、見た人が『自分事化』しやすいようなキウイブラザーズの失敗エピソードを盛り込んだり、分かりやすくなるように工夫しました」と言う。

シリーズが始まった当初からこだわっているのは、コマ撮りのフルアニメーション(24コマ/秒)。1コマ1コマ人形を動かして撮影し、60秒CMだと1440枚の写真をつなぎ合わせて動画を完成させる。今年は撮影に1カ月近くかかった。CMの前半ではキウイブラザーズが失敗を重ねるユーモラスな姿が笑いを誘い、後半は歌って踊り、途中からミュージカルのように滑り出し、バナナ、オレンジ、リンゴのキャラクターが加わると全員の体が宙に浮くという意表を突いた動きが視聴者を驚かせ、最後まで引きつける。この振り付けは、演出の久間敬一郎氏のアイデアだそうだ。

キウイブラザーズが様々な体にいいことにチャレンジするが、ランニング、筋トレ、山登り、足つぼマット、サウナのどれも長続きしない

「これだけ手間のかかることを60秒のCMでやっているのは、ほとんど見たことがないと思います。しかし、このアナログな動きが見ている人たちの心をつかみ、CGでは簡単に表現できない仕上がりを可能にしています。見た人が、何度も見たいと感じたり、歌と動きのシンクロが気持ちいいと感じてたりしてくださるのは、そのへんに秘訣があると考えています」(北田氏)

オリジナルのCMソングは、当初は一生懸命なキウイブラザーズを応援するような楽曲で、昨年のCM「アゲリシャスダンス編」のような元気のよい、テンションが高い曲調だった。だが新型コロナウイルス感染の拡大を受けて、世の中の気分とマッチするように、歌詞やストーリーをポジティブで温かい方向に、曲調もゆったりしたものに軌道修正した。「声高にメッセージを押しつけるのではなく、『自分もそういうところがあるな』と共感していただく方がCMの説得力が増すと考えました」(北田氏)

調査モニターからは、「キャラクターが面白い。歌も歌詞が前向きで好感が持てる」「コロナウイルスで毎日うつうつとしている現代に、このCM曲やキャラクターが出てくるだけで和やかな気分になれます」「足つぼマットに乗るところがすごく笑える。つい見てしまう」「1分ぐらいの長いCMだけど、映るたび最後まで見ています」と、キャラクターへの好感やCMの魅力に触れたコメントが多い。「『好きなことなら長続きできるよ』に共感した」という声も。CM好感要因は「出演者・キャラクター」が最も多く、「かわいらしい」「ユーモラス」「音楽・サウンド」と続く。小学生や女性層を中心に幅広い層から支持を集めた。

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リクエストに応え、CMソングを配信
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