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ともに山口県岩国市出身。「常識破り」な性格でも共通すると笑う、旭酒造会長の桜井博志さん(左)と漫画家の弘兼憲史さん(東京都中央区の獺祭ストア銀座)

ともに山口県岩国市出身。「常識破り」な性格でも共通すると笑う、旭酒造会長の桜井博志さん(左)と漫画家の弘兼憲史さん(東京都中央区の獺祭ストア銀座)

パリやニューヨークのレストランで食通がこぞって注文する日本酒「獺祭(だっさい)」。仏著名シェフ、ジョエル・ロブション氏をもうならせた美酒は、山口県岩国市の山奥で誕生した。1984年に小さな酒蔵を継いだ現会長の桜井博志さんは、業界の古い慣習を破り、日本酒の新たな地平を開いた立志伝中の人物。その不屈の精神に深く共鳴したのが、同じく岩国市出身の漫画家、弘兼憲史さんだ。このほど書き下ろした漫画『「獺祭」の挑戦』(サンマーク出版)には、獺祭が生まれるまでのドラマが活写されている。プライベートでも親交を深めてきた2人の岩国人に、地方から東京、そして世界へと打って出た「常識破り」の本音を語ってもらった。

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漫画『「獺祭」の挑戦』の後半は弘兼さんが取材した酒蔵のルポが記されている(東京都中央区の獺祭ストア銀座)

漫画『「獺祭」の挑戦』の後半は弘兼さんが取材した酒蔵のルポが記されている(東京都中央区の獺祭ストア銀座)

――挫折と失敗の連続をものともせず、大吟醸造りにまっしぐら。問屋の中抜きや杜氏(とうじ)制度改革と、果敢に挑む桜井さんの姿が生き生きと、刺激的に描かれています。

弘兼 ほんとうはもっと生々しい。でもあまり突っ込んで描いて業界とケンカするのも困る(笑)。桜井会長は苦労を重ね、業界の常識を覆す大胆不敵なことをどんどんやってこられた方。ご縁あって知り合い、話を聞くにつけ、漫画にしたらこんなに面白いドラマはないと直感したのです。

桜井 私が1984年に酒蔵を継いだときは岩国で4番手と、周回遅れどころか3週遅れのランナー。負け組でした。山奥のよそ者で地元の酒屋にも相手にされず、食べていくには東京に出るしかなかった。それが成功のポイント。漫画の中で川の対岸から酒蔵を見つめて、大吟醸を造ろうと決意するシーンが出てきますが、最初の数年は対岸から酒蔵を見ては恐怖感に襲われる日々でした。日本酒は縮む業界で、この先どうなるのか、といつも考えていましたよ。

――前半は挑戦の軌跡を漫画にし、後半は弘兼さんの取材による酒造りの過程や獺祭の歴史が描かれています。弘兼さんがビジネス漫画を書き下ろすのは珍しいですが、同郷ゆえに力が入ったのですか。

弘兼 もちろん岩国から世界に羽ばたく人を同郷の仲間として支援したいと強く思っています。同時に、獺祭を見いだしたのはフレンチの巨匠ジョエル・ロブションさんであることや、日本酒がワールドワイドに通用する酒だということをちゃんと伝えたかった。漫画はいち早くグローバル化していますが、これからは日本酒が世界に出て行かないと。うまく翻訳できたら英語版、フランス語版も出したいです。

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