スポティファイの誕生と成長 現地経済記者が描く青山ブックセンター本店

創業者のぶれないビジョン

ITビジネスとはいえ、本当に最初は何もないところから始まるのには驚かされる。ただ、コンピューターおたくで技術者でもある創業者ダニエル・エクには明確なサービスへのビジョンがあった。速さへの徹底したこだわり、音楽の違法コピーが広がっている中で合法的な配信プラットフォームをつくること、無料でサービスを提供すること……。こうしたビジョンをぶれずに実現していくことで、やがて音楽業界までもがスポティファイのビジョンを受け入れるようになり、今日のようなストリーミング全盛時代をつくり上げていく。

音楽業界とはどんな交渉過程があったのか。デジタルミュージックの先駆けだったアップルは、ストリーミングに対してどのように動いたのか。スウェーデンで始まったビジネスがどのようにして70を超える国に広がり、今日の隆盛を築いたのか。著者たちは関係者の動きを具体的に追うことでこれらの問いへの答えを明らかにしていく。

「ビジネス書だけど、たくさんのミュージシャンが登場するなど、音楽関係の業界秘話としても面白い」と同書店でビジネス書を担当する本田翔也さんは話す。同書店のある青山・渋谷周辺はIT系や音楽業界のビジネスパーソンも多く、3週連続でベストテン入りしているという。

『ネットビジネス進化論』が1位

それでは、先週のベスト5を見ておこう。

(1)ネットビジネス進化論尾原和啓著(NHK出版)
(2)世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方八木仁平著(KADOKAWA)
(3)女帝 小池百合子石井妙子著(文芸春秋)
(4)13歳からのアート思考末永幸歩著(ダイヤモンド社)
(5)心をつかむ超言葉術阿部広太郎著(ダイヤモンド社)

(青山ブックセンター本店、2020年7月13~19日)

1位は、ビジネス経験も豊富なIT批評家の尾原氏がネットビジネスの進化の要点を整理した1冊。2位は、本当にやりたいことを見つける方法を説いた人気ブログを書籍化した本だ。3位は現都知事の人物像に迫った話題のノンフィクション。4位は美術教師がアート思考をわかりやすく説いた本だ。5位の本は、売れっ子コピーライターが自身の経験をもとに「心をつかむ言葉」のつくり方を説いている。前回4月に同書店を訪れたとき「『今でしょ』生んだコピーライター 伝わる言葉考える」の記事で紹介した本で、そのときは9位。広告系や企画系の会社が多い立地だけに息の長い売れ筋になっている。今回紹介したスポティファイの本は10位だった。

(水柿武志)

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