スポティファイの誕生と成長 現地経済記者が描く青山ブックセンター本店

ビジネス書コーナーの平台最上段に2段に並べて面陳列する(青山ブックセンター本店)
ビジネス書コーナーの平台最上段に2段に並べて面陳列する(青山ブックセンター本店)

ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は2~3カ月に1度訪れている準定点観測書店の青山ブックセンター本店だ。緊急事態宣言が明けてから2カ月がたつが、来店客の水準は大きな変化はなく、ビジネス書の売れ行きもまだ回復の兆しが見えない。そんな中、書店員が注目するのは、音楽配信サービスで世界的企業へと駆け上がったスポティファイの軌跡をたどったノンフィクションだった。

スウェーデン発スタートアップの軌跡追う

その本はスベン・カールソン、ヨーナス・レイヨンフーフブッド『Spotify(スポティファイ)』(池上明子訳、ダイヤモンド社)。2人の著者はスウェーデンの日刊経済紙「ダーゲンス・インダストリ」で活躍する経済記者。ニュース取材を通じて接点があった2人が取材を広げて、今や世界最大の音楽ストリーミングサービスを展開するスポティファイというスタートアップ企業の歩みを追いかけた。取材対象は約70人、全20章、400ページを超える力作ノンフィクションだ。

「スウェーデンのひとりの若者が、誰も想像しなかった世界最大の音楽ストリーミングサービスを構築した感動のノンフィクション」と冒頭でうたう。音楽配信ビジネスに興味がある向きはもちろん、IT(情報技術)系スタートアップの青春物語としても、波瀾(はらん)万丈のビジネスストーリーとしても、興味深い読み物だ。

ストーリーは05年秋、頭の中に「秘密の起業アイデア」を抱えた失業中の22歳の若者が仕事の面接のためにレストランに向かって歩いていくシーンから始まる。共同創業者との出会いや初期メンバーとなる技術者やデザイナーと知り合うプロセスなど、細かいエピソードを丹念に積み重ねながら、スポティファイが音楽ストリーミングサービスという一点に向かって突き進んでいく過程が描かれる。

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