すっぴん見せる コーセー美容部員のECデジタル接客

日経クロストレンド

オンラインでリアルな感動を競い合う

こうした新たな取り組みには、美容部員も積極的だという。山久保氏は、「販売の現場ならではの感動やストーリーをデジタルで拡散させたい。リアルの世界をネットで伝えたい」とその思いを語る。

STAFF STARTを導入したことで、Maison KOSEは、リアルな感動を美容部員が競い合って消費者と共有する場にもなった。毎週4~5つのコンテンツを投稿する美容部員もおり、「熱量は想像以上だ」(山久保氏)。

しかも、美容部員は自分のコンテンツのPV数、投稿をきっかけに購入された商品、投稿者間での売り上げ順位まで分かる。これについて、バニッシュ・スタンダードの小野里寧晃CEOは、「フィードバック(見える評価)がモチベーション向上につながる。だから、みんな一生懸命投稿するし、売れる」と解説。先行してSTAFF STARTを採用する企業には、商品の販売額に応じて販売員へのインセンティブ(成果報酬制度)を用意している企業も多く、コーセーでも今後、コンテンツの充実とともに検討する方針だ。

小野里CEOによると、「(アパレルなどでは)人気がある販売員には1万~20万人のフォロワーがつく。ネット上では「投稿イコール接客」。何万人もの顧客を相手に接客すれば、売り上げが上がるのは当然だ。さらに販売員という“会えるインフルエンサー”に夢中になれば、顧客はその人にリアルな接客をされて買いたくなる。要は、販売員のモチベーションが上がるとたくさん投稿する、すると商品が売れる、顧客がつく、結果、販売員に会うために顧客が来店してくれるという好循環につながる」。

ただ、それには「個々のスタッフがSNSを使いこなさないと次の拡大が描けない。ここがコスメ業界はまだ弱い。通販サイトだけだとお客さまとつながる術がないので、関係は薄くなりやすい」と小野里CEO。InstagramなどのSNSと連携して、美容部員と顧客とのコミュニケーションを強化することを強く推奨した。

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化粧品ブランドにとって、ECへの顧客誘致はいまや急務だ。経済産業省が19年5月に発表した18年の化粧品・医薬品のEC市場規模は6136億円(EC化率5.8%)。衣類・服飾雑貨等の1兆7728億円(同12.96%)とは2倍以上の開きがある。そのうえ、コロナ禍に伴う対面販売の制約、インバウンド需要の急減で、店舗での化粧品売り上げは落ち込んだ。

山久保氏は、STAFF START導入を機に、「(ECでも)パーソナルで多様なニーズに応え、消費者満足の向上につなげたい。購買行動や流入・流出などを分析し、効果的な施策やアプローチにもつなげられたら」と期待を込める。それには、個々の美容部員がネット上に自分のファンをいかに多くつくれるかが鍵。小野里CEOの指摘通り、SNSとの連携も課題になる。各美容部員には「美容部員である以上に発信者」としての存在が求められていくことになりそうだ。

(ライター 赤星千春、写真提供 コーセー)

[日経クロストレンド 2020年7月14日の記事を再構成]

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