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ビタミンDで免疫維持 おすすめは魚を食べる・日光浴

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NIKKEI STYLE

新型コロナウイルスの感染拡大以降、免疫への関心が高まっている。食品や食品成分では何が役に立つのか。日本ではヨーグルトや納豆が人気だが、世界で話題になっている代表的な成分はビタミンD。魚に多く含まれ、日光によっても体内で合成される。一方、不足すると疾病・感染症リスクが高まるという膨大な研究結果が発表されている。日本では骨の維持以外の機能がほとんど知られてこなかったビタミンDに、あらためて注目したい。

米サプリ市場で人気ナンバーワンのビタミンD

感染症から身を守るために、手洗いやうがいの励行、マスク着用、濃厚接触による感染機会を減らす、といった対策のほかに日常生活で何ができるだろう。多くの人の頭に浮かぶのは「免疫力を高める」ことだと思われる。適度な運動をする、睡眠リズムを整えること以外に取り組めるのが食事バランスを考えることと、役立ちそうな食品を摂取することだ。

新型コロナが広がり始めた時期、スーパーなどの店頭で納豆やヨーグルトなど発酵食品が品薄になったのは記憶に新しい。一部の乳酸菌類で発表されている免疫賦活作用や感染症予防試験に関する情報、発酵食自体が体によさそう、というイメージが影響を与えたようだ。一方、世界で免疫維持に必須のビタミンとして注目を集めている「ビタミンD」はその機能性が日本ではあまり知られていなかった。だが日本でも、手軽にビタミンDが摂取できるサプリメントの売り上げは急増し、前年比の売り上げが2倍以上になった商品もあるという。

「ビタミンDは米国では免疫を高める働きによって注目され、2019年に購入されたサプリメント第1位となっている」と話すのは、国内外の健康食品業界のコンサルティングを手がけるグローバルニュートリショングループ代表取締役の武田猛さん。

2位のマグネシウムは通常の食事では不足しがちなミネラルで、2型糖尿病や心血管疾患のリスク抑制に関する研究結果が数多く発表されている。3位は日本に比べまだまだ魚食量が少ない米国で人気の魚油成分・オメガ3脂肪酸。中性脂肪値低下や認知機能改善に役立つとされる成分だ。

オメガ3とともに魚が主な摂取源になるビタミンDが首位となった理由について、武田さんは「05年以降、ヒトを対象としたビタミンDの研究報告が急増し、その重要性が広く認知されるようになった。論文数の増加に呼応するように、ビタミンDサプリメントの市場規模は05年から10年までで10倍に、19年には20倍にまで成長している」と分析する。ビタミンDサプリメントは米国で「免疫をサポート」「ストレスケア」と表示されて店頭に並んでいるという。

日本ではまだビタミンDサプリメントの知名度は低い一方、ウェブなどで新型コロナに有効ととれる広告表示が見られるため、消費者庁が注意喚起をしている。武田さんは「ビタミンDが新型コロナウイルスに有効、という研究報告は現時点では存在せず、商品に予防効果があるような表記をしてはならないのは当然。しかし、例えば抗ウイルス作用(後述)など信頼度の高いエビデンスも発表されているので、度を越した広告が本来、評価されて良いはずの成分の信用低下につながることを危惧している」と話す。

日本人の約8割が「ビタミンD不足」

ビタミンDとはどんな成分なのか、おさらいしよう。ビタミンDは脂溶性(脂に溶ける性質を持つ)ビタミンで、腸管からのカルシウムの吸収を促して丈夫な骨を維持する。欠乏すると、くる病(小児)、骨軟化症(成人)など骨が弱くもろくなる病気が起こる。「かつては欠乏を起こさないことが大切とされてきたビタミンだが、近年、研究が進み、軽度の不足であっても骨以外にさまざまな疾患リスクを高めることがわかってきた。日本における大規模な調査で、ビタミンDの血中濃度が30ng(ナノグラム、ナノは10億分の1)/ml未満の不足者は約8割に達し、成人から高齢者まで全年代で不足の状態にあることがわかった」と、ビタミンDの研究を行う神戸学院大学栄養学部の田中清教授は言う。(グラフ)

なお、20ng/ml未満は欠乏とされる。

多くの日本人がビタミンD不足傾向なのはなぜか。

ビタミンDは食品ではサケやイワシなどの魚に多いが、他に十分な量をとれる食品は少ない。キノコにも含まれるが魚ほど量はとれず、魚とはタイプが違い生理活性が低い(魚のビタミンDはD3、キノコはD2)。

一方、ビタミンDは全身で働く非常に重要な成分であるため、ヒトは紫外線(UV)を皮膚に浴びることで、体内のコレステロール(7-デヒドロコレステロール)から合成する力を身につけている。「ところが、ビタミンD源となる魚の摂取量が減り、日焼けを防ぐためにUVケアを徹底する習慣が浸透したことで、日本でもビタミンD不足が深刻化している。そもそも魚食量が少ない、緯度が高く紫外線が弱いといった地域では、国が牛乳にビタミンD強化を義務づけていたり(カナダ)、妊婦や乳幼児に無償でビタミンDサプリメントを配布する(英国)といった対策を講じている」(田中教授)。

ビタミンDが不足するとどんなリスクが高まるのか。

まず、ビタミンDの基本的な働きであるカルシウムの吸収がうまくいかなくなり、骨に問題が出る。「ビタミンDには筋肉のタンパク質合成を促進する働きもあるため、濃度が低い状態が続くと、骨折やフレイルのリスクが高くなる」(田中教授)。日本で血中ビタミンD濃度と転倒リスクについて1年間追跡した研究(75歳以上の女性1393人対象)では、血中ビタミンD濃度が欠乏域にある20ng/ml未満の人は筋力が低下し、転倒リスクが25ng/ml以上の人の1.4倍だった。[注1]

[注1]Osteoporos Int. 2015;26(8):2185-92.

感染症予防から、がんのリスク低下にまで関与

さらに、ビタミンDは新型コロナの流行を受けて世界で重大な関心事である全身の免疫維持に関わる。「ビタミンDを受け取る受容体がT細胞やB細胞など多くの免疫細胞に存在することから、免疫機能の維持にはビタミンDの充足が重要だと考えられる」と田中教授は言う。自然免疫を担うマクロファージに抗菌物質をつくらせたり、ウイルス感染で起こる肺の炎症や損傷を防いだり、といった多様な免疫関連機能が確認されている。

ウイルス感染症では、ビタミンDの摂取によってインフルエンザなどによる急性気道感染症の罹患(りかん)リスクが下がるかどうかを調べた25の試験の結果を統合解析した結果、全体でリスクが12%減少し、特に血中ビタミンD濃度が低い人では、42%のリスク低下が見られた、という報告がある(グラフ)。

新型コロナとビタミンDの相関は明らかになっていないが、世界の臨床試験登録データベースによると、7月冒頭時点で、これを確かめるためのヒト試験が世界で30近く計画されている。また、現時点で相関は確かではなくとも、「予防のためにビタミンDをサプリメントなどで摂取し、血中ビタミンD濃度を40~60ng/mlより高くすること」を推奨する論文も出ている。[注2]

免疫に関わる疾患では、感染症だけでなく、ビタミンD不足とがんリスクに関する研究も多い。

例えば、日本人女性に多い乳がんでは、ビタミンDの血中濃度が20ng/ml未満の女性(欠乏)に比べ、60ng/ml以上の女性では発症リスクが82%低かったという約5000人の女性のデータを分析した米国の研究がある。[注3]

大腸がんでは、35~40ng/mlの適量域の人は12ng/ml未満の欠乏域の人に比べ発症リスクが27%低いという世界中の17の研究を解析したデータがある。[注4]

厚生労働省は2020年版の「日本人の食事摂取基準」において、骨折予防のために18歳以上のビタミンDの1日あたり摂取目安量を5.5μgから8.5μgに引き上げた。一方、米国とカナダでは、食事摂取基準で定めるビタミンD推奨量が「70歳以下は1日あたり15μg、71歳以上は20μg」となっており、日本の目安量とはまだかなりの開きがある。これは、米国・カナダでは日照による皮膚でのビタミンD産生を考慮しない値としていることも関係している。「まずは日本の目安量(8.5μg)をクリアしつつ、さまざまな疾患予防を見据える場合、米国と同レベルの量(15μg)を目指したい」と田中教授はアドバイスする。

サプリメントで補う場合は「1日あたり10μg=400IUから、20~25μg=800~1000IUくらいとるのを目安にするといい」(田中教授)。[注5]

紫外線による体内生成も心がけたい。日差しが強い季節は、比較的短時間で目安量を超えるビタミンDが作れる。紫外線による肌の老化などへの影響が気になる人は国立環境研究所のウェブサイトで「必要な量を安全に作れる時間」をチェックしよう。居住地域ごとに、「皮膚が赤くなりシミの原因になるようなダメージを与えず、ビタミンD10μgを合成するのに必要な日光照射時間」の目安がわかる。

たとえば7月の曇りの日の横浜では、10時台なら31分屋外で過ごせば、紫外線による肌ダメージを抑えつつ、10μgのビタミンDを生成することができる。

春先から続いた巣ごもり生活は紫外線によるビタミンDの生成にも影を落としているだろう。紫外線が強くない朝夕に散歩をし、意識的に魚を食べ、ビタミンD不足を避けるようにしたい。それがなかなか難しいという人はサプリメントを活用して補おう。

[注2]Nutrients. 2020 Apr2;12(4):988.

[注3]PLoS One. 2018; 13(6): e0199265.

[注4]J Natl Cancer Inst. 2019 Feb1;111(2):158-169.

[注5]10μg=400IUは「骨粗鬆(しょう)症の予防と治療ガイドライン」(日本骨粗鬆症学会)に示されている量。20~25μg=800~100IUは、海外で骨折予防効果が報告されている量。田中教授による。

(ライター 柳本操)

武田猛さん
グローバルニュートリショングループ代表取締役。健康食品業界で32年間ビジネスに携わり、2004年より現職。コンサルタントとして国内外600以上のプロジェクトに関わる。世界各地のネットワークを生かした情報活用サービス「グローバルニュートリション研究会」主宰。
田中清教授
神戸学院大学栄養学部、京都大学医学部医学科卒業。医学博士。甲子園大学栄養学部、京都女子大学家政学部植物栄養学科などを経て2018年より現職。ビタミン不足と骨粗しょう症などを専門に研究する。「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定にも携わる。

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