隈研吾氏がデザイン監修 歴史を生かす京都「新風館」

日経クロストレンド

日本の近代建築の巨匠、吉田鉄郎氏が設計し、1926年に竣工した旧京都中央電話局を一部保存・改修し、新たに生まれ変わった「新風館」。「伝統と革新の融合」というこれまでのコンセプトを承継しつつ、新たな付加価値を取り入れている
日本の近代建築の巨匠、吉田鉄郎氏が設計し、1926年に竣工した旧京都中央電話局を一部保存・改修し、新たに生まれ変わった「新風館」。「伝統と革新の融合」というこれまでのコンセプトを承継しつつ、新たな付加価値を取り入れている

京都の商業施設「新風館」がホテルを核とした複合施設として6月にリニューアルオープンした。アジア初のエースホテルをはじめ、関西初のビームスジャパンやカフェキツネなど全20店舗が出店。新型コロナ禍で観光客が激減した京都の街に、活気を取り戻す起爆剤となるか。

歴史的建造物を再活用、街に開いた施設へ

小雨が降り始めた6月11日の午前9時。開店を2時間後に控えた新生「新風館」の烏丸通側入り口には、入場整理券を求める人たちが列をなしていた。整理券は開店時刻から90分ごとの時間帯に区切られ、1回につき200枚を配布。オープン初日から4日間は滞在時間を制限することで「3密」を避ける対策が講じられた。7月1日以降は、一部店舗を除き、通常営業に戻っている。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で静かな幕開けとなった新風館だが、その話題性の高さから開業を待ちわびた人は多い。日本を代表する建築家、隈研吾氏が建築デザインを監修し、核テナントとして米国のライフスタイル型ホテル「エースホテル京都」がアジア初上陸。商業ゾーンのテナントには、コンセプトやデザインにこだわった店舗を集積。全20店舗と小規模ながらも、国際都市・京都のランドマークにふさわしい商業施設に仕上がっている。

運営するNTT都市開発の商業事業本部商業事業部営業MD担当である増留綾花氏は、新風館をリニューアルするに当たって、旧新風館でも大切にしていた文化の発信とコミュニティーの創出を重視したという。「その結果、世界各地で独自のコミュニティーを創出しているエースホテルと親和性の高いテナントを誘致できた。地域の方はもちろん宿泊客も利用でき、それぞれの交流拠点となることで街ににぎわいをもたらしていきたい」と話す。

昔ながらの京町家が点在する姉小路通沿いのエントランス。旧京都中央電話局時代の建物と美しいレンガの壁面が残るレトロな外観はお薦めの撮影スポット

新風館は、1926年建設の旧京都中央電話局をリノベーションした商業施設で、NTT都市開発が01年1月に開業。90年以上の歴史を持つ建物の魅力を生かしつつ、地域に開かれた商業施設として人気を博した。16年に大規模な改築に踏み切ったのは、街を変えるという当初の役割を終えたことと、集客力の強化が目的だったという。

新たに生まれ変わった施設は地下2階~地上7階建て、延べ床面積2万5611平方メートル。歴史的建造物を生かした烏丸通沿いの保存棟と、隈氏がデザインした東洞院通沿いの新築棟からなり、2つの棟に囲まれるように大きな中庭が広がっているのが特徴だ。

中庭を中心に烏丸通から東洞院通を東西につなぐ地上1階の通路沿いに商業ゾーンを配置。保存棟の地上2~3階と新築棟の地上1階~7階に「エースホテル京都」、新築棟の地下1階にミニシアター「アップリンク京都」が出店した。今回のリニューアルでは地下2階と地下鉄烏丸御池駅を直結。3つのエントランスをつなげたことで、地域全体の回遊性が高まっている。

保存棟と新築棟に囲まれた大きな中庭には小道が設けられ、彫刻家の名和晃平氏が手掛けた高さ約7.3メートルの巨大な作品「Ether (Octagon)」が展示されている。生命力の永遠性を象徴する本作品は、京都では初の屋外常設彫刻となる
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