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女性管理職比率、30%は絶望的 個別目標定め実現を

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NIKKEI STYLE

「ニイマル・ニイマル・サンマル」という呪文のようなキャッチフレーズ。女性活躍の目標として長らく使われてきました。正確には「2020年までに指導的地位に女性が占める割合が少なくとも30%程度」という政府目標で、ここから数字部分だけを抜き出しました。今年、目標年次を迎えましたが、達成は絶望的です。政府は年内に新たな目標を設定します。

政府がこの目標を掲げたのは小泉純一郎内閣時代の03年6月。議員や公的審議会の委員、管理職など様々な分野が対象です。17年あれば実現可能と考えたのでしょうが、現時点でほとんどの分野が未達です。中でも企業の女性管理職比率(課長相当職以上)は18年度11.8%(厚生労働省「雇用均等基本調査」)。特にここ数年は伸び悩んでいます。16年に女性活躍推進法を本格施行するなどテコ入れしましたが、焼け石に水でした。

働く女性は増えているのに、なぜ管理職が増えないのか。企業は「なりたがらない」「昇進・昇格を嫌がる」と女性の意識を理由に挙げます。ただ本気で女性を登用したい企業は対策も打っています。日本IBMは19年に管理職候補者向けの年間プログラムを始めました。管理職に必要なスキルや心構えを学びます。女性管理職比率が約5年間13~14%で停滞していたからです。プログラムの実施で、「管理職になりたくない」とする回答は4割から1割に減少。19年末時点で女性管理職比率は17%に上昇しました。

女性管理職が増えない背景には、職場の構造的な問題もあります。公益財団法人21世紀職業財団は1月、ダイバーシティ推進状況を調査しました。「重要な仕事を男女どちらが担当するか」という問いに、「男性」とする回答は男性総合職で50.7%、女性総合職では55.5%に上りました。伊岐典子会長は「鍛えなければ人材は育ちません。日本企業は重要な仕事を男性に割り振る傾向が強く、女性に成長機会を与えていません。そこから変える必要があります」と強調します。

政府は今、第5次男女共同参画基本計画(21~25年度)を策定中です。有識者による専門調査会は21日、20年代の可能な限り早期に30%を目指すという新たな目標案を示しました。

伊岐会長は「期限を延ばしても現状施策の延長線上では、女性管理職比率30%の実現は困難」と見ます。業種や企業によって女性社員比率は異なります。30%を一律に求めず、実態に合わせて個別に目標値を定め、実現を迫るべきだと提案します。「人口減が深刻な日本で女性登用は欠かせません。経営者は危機感を持つべきです」

伊岐典子・21世紀職業財団会長「仕事を任せ、育てる意識を」

働く女性は増えてきたものの、管理職はいまだに男性が多数を占めています。政府は2013年以降、女性活躍推進の旗を振り、企業に女性登用を促していますが、思うような成果はでていません。どうすれば女性管理職比率30%が達成できるのか。企業の女性活躍を支援する公益財団法人21世紀職業財団の伊岐典子会長に聞きました。

――そもそも、なぜ女性活躍を進めなくてはいけないのですか?

「女性活躍推進を『女性のための取り組み』と理解している方もいますが、大きな誤りです。確かに1985年制定の男女雇用機会均等法は基本的人権の視点から職場における男女差別を問題にしています。社会正義として男女均等に取り組むべきだとする立場です。この大前提は今も変わっていませんが、現下の女性活躍推進には、社会正義に加えて経済的な要請が大きいという点がかつてと違っています」

「日本の少子化は深刻な状態で、人口減少に歯止めがかかっていません。人材の有効活用が日本経済の今後に不可欠なのです。女性にしっかりと働いてもらわないと経済活動を支える労働力が足りませんし、その能力を存分に発揮してもらわないとグローバル競争下で勝ち残れない時代になっています。女性登用を含むダイバーシティ(人材の多様性)を実現しないと、日本の産業も企業も内外の優秀な人材を惹きつけてその力を成果に結びつけることができず、世界で通用しなくなると思います」

――20年までに30%を目指した目標はほぼ達成不可能です。多くの理由が考えられますが、その中でも企業経営者の姿勢をどう評価しますか?

「企業経営者にも積極的に取り組む姿勢があったとは言えませんでした。ほかにもいくつも経営課題があるので仕方ない面もありますが、女性登用を本気で最優先課題に据える経営者は極めて少数だったと思います。SDGs(持続的開発目標)を尊重した企業経営が求められる世界的な流れを意識したり、対外的にダイバーシティ推進の姿勢を示したりする経営者は多いのですが、女性を活躍させることが自社の発展に必須だと本当に理解している方が少ない印象です」

「女性活躍推進は『女性のため』『社会正義実現のため』と言った認識にとどまっている経営者が今も多く、そういう方々の中には、数値目標の達成を目指して女性の管理職候補者の育成に力を入れたり、特別な配慮をしたりすることを『逆差別』にならないかと躊躇(ちゅうちょ)し、ただ男性と同等に扱えばよいとする方もいるように思います。先述したとおり、女性活躍はいまや重要な経営課題。トップが意識を変えて動かないと、企業は変わりません」

――管理職に就きたがらない女性の意識を問題視する声もあります。

「21世紀職業財団は今年1月にダイバーシティ推進状況調査を実施しました。男女正社員4500人を対象に個人の意識や職場の現状を聞きました。『管理職になれるとしたらどう思いますか』という問い掛けに、昇進可能性があると思っている20~30代の女性総合職は『なりたい』が21.8%、『推薦されればなりたい』が35.8%で、『なりたくない』34.5%、『考えたことない』7.9%の合計を上回っています。約6割が昇進意欲を持っている格好です。一般職や事務職でも昇進意欲を持つ方が過半数を占めました。企業が女性活躍に積極的に取り組み、昇進の可能性が開かれていることを実感できれば上を目指す意欲も生まれます。女性が管理職に就きたがらないから女性管理職が増えないとする意見は誤っていると思います」

「むしろ問題は昇進意欲がある女性を育てられない職場風土です。重要な仕事を男女どちらが担当するかを尋ねた設問に、『男性』とする回答が半数を超えました。男性総合職で50.7%、女性総合職で55.5%です。相変わらず重要な仕事を男性に優先的に与える管理職が多いようです。人は鍛えられて育ちます。入社以来のこうした日々の積み重ねが、やがて大きな男女差を生みます」

――女性管理職比率30%を達成するには何が必要ですか?

「実力を伴わない数合わせの女性登用には私も反対です。女性管理職を増やすには管理職になり得る能力と実績・経験のある女性が増えなくてはいけません。本来の資質に男女差がないのに結果的に差を生んでいるのは、先述したとおり、鍛えられる機会が女性は少ないからです。性別にかかわらず、重要な仕事を任せることが第一歩です」

「女性は現状、家庭責任を男性より重く担っていることが多いので、子育て期に勤務時間を短縮せざるを得なかったり、残業ができなかったりするケースもあり、企業が仕事と子育てが両立できるよう配慮することは必要です。しかし、配慮のし過ぎはいけません。良かれと思って育児期の女性に負荷の軽い仕事だけを与え、重要な仕事から本人の意向も確認せずに外すといったことでは女性は育たないでしょう。むしろ育児期の女性がいかに仕事の質を落とさず、良質の経験を積んで成長していけるかを経営者や管理職の方々には一番考えていただきたいと思います。そうやって能力・経験の面で管理職の要件を満たす女性の数を意識的に増やしていくことで、はじめて実際に管理職に就く女性が増えるのです」

(編集委員 石塚由紀夫)

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