日経Gooday

答えと解説

正解は、(2)運動の実践です。

コレステロールには、悪玉であるLDLコレステロールと善玉であるHDLコレステロールがあります。

LDLコレステロールは悪玉とはいうものの、肝臓で合成されたコレステロールを全身に届ける大切な役割を担っています。しかし、多すぎると問題になります。コレステロール対策の専門家である帝京大学名誉教授の寺本民生さんは、「血中で過剰になったLDLコレステロールは行き場をなくし、血管の壁に潜り込むしかなくなります。これが動脈硬化の原因となるのです」と話します。

一方、LDLコレステロールの対極にあるのは、悪玉を減らす善玉のHDLコレステロールです。HDLコレステロールは血液中をパトロールして、血管壁にたまったLDLコレステロールを引き抜き、肝臓まで回収してくれます。

つまり、理想的な状態は、悪玉のLDLコレステロールが低いことに加え、善玉のHDLコレステロールは高い状態ということになります。

善玉のHDLコレステロールを上げる、最善の手段は「運動」

では、善玉のHDLコレステロールを増やすにはどんな対策をするのがいいのでしょうか。

LDLコレステロール対策は食事がメインとなりますが、善玉のHDLコレステロールを上げるには、食事を工夫してもそれほど効果がないと寺本さんは話します。では、善玉のHDLコレステロールを上げるために何がいいかというと、「食事より、運動が効きます」と寺本さん。

「運動によって善玉HDLコレステロールが上がる理由は諸説ありますが、まだ詳細は明らかになっていません。しかし、国内でもウォーキングの歩数が多いほどHDLコレステロール値が高い傾向があることが確認されています(下図)。HDLコレステロール値が運動によって改善することは、データの上では明らかです。また、マラソン選手のHDLコレステロールはとても高いことが知られています」(寺本さん)

下図は、国立健康・栄養研究所の「国民栄養調査」のデータです。男女ともに、たくさん歩く人ほどHDLコレステロールが高くなる傾向が見られました。特に、男性はその傾向が顕著に出ています。

(国立健康・栄養研究所「国民栄養調査」1991年を参考に作成)

コレステロールは中性脂肪などと同じ脂質の一種ですが、中性脂肪と異なり、コレステロールはエネルギーにならず、体の中で分解されません。このため、いくら運動をしても、悪玉のLDLコレステロールを下げることは困難です。

しかし、運動すれば、中性脂肪を燃焼させて減らすことができます。中性脂肪とHDLコレステロールの間にはシーソーのような関係があり、中性脂肪が下がれば、HDLコレステロールが上がるという性質があるのです。現時点では、HDLコレステロールを増やすことを目的とした薬剤は存在しないため、運動はHDLコレステロールを上げる最善の手段といっていいでしょう。

有酸素運動をまずは1日30分、週3日から始めよう

HDLコレステロールに効く運動とは、ウオーキングに代表される「有酸素運動」です。少し汗ばむ程度で、軽く息が上がるくらいの運動がベストで、激しすぎる必要はありません。大切なのは、ダラダラ動かず、キビキビと体を動かすこと。欲を言えば1日30分、毎日続けるのが理想ですが、あまり気負わず、週3日以上を目標にして始めるといいでしょう。また、この1日30分の運動は数回に分けて行ってもOKです。例えば、10分間の運動を、朝昼晩と3回実施しても構いません。

加えて、筋肉トレーニング(無酸素運動)もお勧めです。有酸素運動と違い、無酸素運動には脂肪を燃やしたりHDLコレステロールを上げたりする効果はありませんが、筋肉が増えれば基礎代謝が高まり、インスリン抵抗性が減って血糖値が下がる効果が期待できます。糖尿病は血管を傷めて動脈硬化を起こすリスクを高めますから、無酸素運動も適宜取り入れるといいでしょう。

有酸素にしろ、無酸素にしろ、適度な運動はいいことずくめなのです。ただし、高血圧の人は運動中の血圧上昇に注意する必要があります。過度の上昇を招かないように、息をつめず、通常の呼吸をしながら行いましょう。

[日経Gooday2020年7月6日付記事を再構成]

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