家飲みがエンタメになる調理器具 台所番長が選んだ
合羽橋の台所番長が料理道具を徹底比較
合羽橋の老舗料理道具店「飯田屋」の6代目、飯田結太氏がイマドキの調理道具を徹底比較。今回は、新しいライフスタイルの一つとして増えつつある、家飲みがおいしく、楽しさも倍増する、アイデア調理道具を紹介します(価格はすべて税別)。
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こんにちは、飯田結太です。新しいライフスタイルが定着してきましたが、その中で楽しみ方が変わってきたのが、夜の晩酌ではないでしょうか。家でお酒を楽しむようになった人も増えたのではないかと思います。あるいは、オンラインでつながりながら、友人や離れて暮らす家族と乾杯することも。ただ、家で飲むといまひとつ華やかさに欠けたり、レストランやバーで楽しむようなワクワク感がなくてさみしいと感じたりすることがあります。私も一時期飽きてしまい、何か楽しめる道具はないかと探しました。
今回は、いつもの酒のつまみが、ぐんと華やかに、おいしく、楽しくなる調理道具を紹介します。
普通の食材が、うまみたっぷりの味わいになる焼き網
私の家飲みで一番出番が多いのは、焼き網です。朝は食パンを焼いて、夜はシシャモやホタテ、キノコ、エビなどを焼いて楽しんでいます。
京都の老舗金網細工専門店、辻和金網の「手付焼網」は、手で編まれている金網。美しい網目で頑丈なうえ、足つきの焼き網と焼き網受けを一体化させたもので、プロの中でも一目置かれている商品です。一般的な1枚焼き網に比べると、焼き網受けがあることで、じか火にならず、熱がじんわりと食材に伝わるので、とてもジューシーに仕上がるんです。身近な食材が、炉端焼きの専門店で出された料理のように美味になります。
おうち時間が増えて、夜もせかせかせずにのんびりと時間を楽しめるようになったからこそ、レンジでチンするのではなく、わざわざ焼き網で酒のつまみを作ることが楽しいと感じるようになりました。この焼き網は大人の男性にこそ使ってほしい調理道具です。
両手にのる本格派鉄板焼き
ビールのお供といえば、ジュージューと香ばしく焼ける肉料理が欲しいですね。でも、ホットプレートではホームパーティーのようになってしまっておおげさで、後片付けも面倒。ビールを飲むために少しだけおいしい焼き肉が欲しいというときにぴったりなのが、「LivE じゅーじゅー厚熱鉄焼プレート」です。両手のひらにのってしまうコンパクトサイズなので、セッティングも簡単。固形燃料(別売り)をセットすれば、1人前の焼き肉が手軽に楽しめます。
使用しているプレートは厚みが約1センチの鋳鉄製。蓄熱性が高く、じっくり飲みながらいつまでも熱々を食べられるのがたまりません。焼き肉のほかに、野菜やシイタケ、厚みのあるベーコン、厚揚げなどを焼いてもおいしいんです。一人飲みでも楽しめるし、家族でおのおの好きなものを自由に焼くのもいいですね。わが家では、子供が寝た後のひそかな楽しみになっています。
抜群の透明度、憧れのウイスキーロックもかなう、まんまる氷
重厚なバーで出される、大きなまんまる氷が入ったウイスキーのロック。男なら憧れます。そんな透明度抜群のまんまるロックアイスが、自宅で作れます。
家で氷を作ると、どうしても白く濁ってしまうことがあります。それは、一気に冷やして凍らせることで、水に含まれた微細なごみやカルキも一緒に凍ってしまうからなのだそう。ドウシシャ「大人の透明まる氷」は、断熱容器の中に貯水容器、型がセットになった3層構造の製氷容器。
3層構造の容器を使うことで、あえてゆっくりと約16~20時間かけて型の中の水を凍らせていきます。結果、不純物は貯水容器の底にたまり、型の中は不純物がない状態で透明な氷が出来上がるというわけです。さらに、一度沸騰させて冷ました水を使うとより透明度の高い氷が完成します。
気に入ったグラスを用意して、この氷を入れてウイスキーを味わってみてください。重厚なバーで飲んでいるような気分に浸れると思いますよ。
まんまるのほかに、ダイヤモンド型、ハート型もあるので、グラスに合わせて形を変えてみるのもいいかもしれません。
クリーミーな泡、まろやかな味になる魔法の棒
ワインや日本酒はあらかじめ栓を開けておいて、空気に触れさせることで口当たりがまろやかになり、香りも際立ちます。ワインではデキャンタ-ジュといいます。このプロセスもお酒の楽しみの一つですが、家ではつい忘れてしまいます。デキャンタージュを一瞬でできたらいいのに、と思いませんか。それをかなえてくれるのが、エアレーターです。
エアレーターは、黒いゴム部分を押すことで、先端に細かな無数の穴が開けられたステンレスの棒からマイクロバブルが出て、瞬時にグラス内の空気をかき回します。グラスに注がれたワインなら1~3回のプッシュで味がまろやかになります。
実はエアレーターはビールの味わいも変えることができます。数回プッシュすれば、泡がむくむくとふくれ、とてもクリーミーな舌触りに変わります。ビールの味もまろやかになって、一度味わうとはまってしまうほどおいしいんです。ほかに、カプチーノ用のミルクにも使えて便利。プロのソムリエ御用達の道具なので少し高額ですが、これを持っていると、今よりおいしいお酒が楽しめます。
グラスや杯でお花見気分
いつでもお花見気分でお酒を楽しめるのが、「冷感桜」シリーズ。キンキンに冷えたお酒やシャンパンなどをグラスに注ぐと、杯やグラスにピンク色の花が咲くというもの。温度に反応して色がつく酒器なのですが、一度ピンク色の花が咲くとしばらく咲いているので、ゆっくり楽しめます。
「冷感桜」は海外の人に大変人気があり、ようやく再入荷した商品。飲食店でも、テーブルでの演出の一つとして人気があります。これがテーブルにあるだけで、エンターテインメントになるんですよね。
帰省するのも少し控えている人が多い今だからこそ、故郷のご両親に贈って、オンライン飲み会を開催するのはいかがでしょうか。花が咲いたグラスでエア乾杯するのも乙なものです。
家飲みもずっと続けていると、飽きてくるかもしれません。それをどうやって楽しく、少し特別なものにするかが問われているのではないかと思います。だからこそ、家飲みをエンターテインメント化する様々な調理道具が増えつつあるのでしょう。いつもの食材、いつものお酒でどう遊ぶか、おいしくするかが、これからのライフスタイルを充実したものにする鍵となりそうです。ぜひいろいろ試してみてください。(談)
(文 広瀬敬代、写真 菊池くらげ)
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