質量は地球の40倍でほぼ大気なし 不思議な岩石惑星

日経ナショナル ジオグラフィック社

ナショナルジオグラフィック日本版

太陽系外惑星「TOI-849b」は、主星のすぐ近くの軌道を回る。海王星とほぼ同じ直径をもつ大きな惑星だが、岩石からなり、信じられないほど密度が高い(ILLUSTRATION BY MARK GARLICK, UNIVERSITY OF WARWICK)

地球から約730光年、銀河系のスケールで言えばさして遠くないところで、太陽に似た恒星の周りを回る不思議な惑星が見つかった。主星からの距離が非常に近く、大きくて、密度が高い。他にこのような惑星は、太陽系内はもちろん、はるか彼方の宇宙でも見つかっていない。

「TOI-849b」と名付けられたこの灼熱の惑星は、これまでに観測された岩石惑星の中で最も重く、地球40個分もの質量がある。これだけ質量が大きければ、木星のような巨大ガス惑星になるはずなのに、なぜかほとんど大気がない。現在の惑星形成理論では、この天体の形成過程を説明することはできない。

「TOI-849bのように重くて密度の高い惑星を作るのは非常に困難です。巨大ガス惑星になるのがふつうです」と、英ウォーリック大学の系外惑星研究者デイビッド・アームストロング氏はメールでの取材に答えた。氏らが今回の発見について報告した論文は、2020年7月1日付で学術誌『ネイチャー』に発表された。

「標準的な形成過程から外れた何かが起こったのです」。アームストロング氏らの考えはこうだ。この惑星は、木星を上回る巨大なガス惑星になるはずだったが、何らかの理由で大気のない、むき出しのコア(核)だけが残ったのではないか。

「このような天体は理論を前に進め、系外惑星や惑星科学の研究を非常に面白くしてくれます」と、論文の共著者であるスイス、チューリッヒ大学のラビット・ヘレド氏は話す。

「とてつもなく変な天体です!」と驚くのは、米カリフォルニア大学サンタクルーズ校地球外惑星研究所のジョナサン・フォートニー所長だ。なお、氏は今回の研究には関わっていない。「とはいえ私には、それが何を物語っているのか、確かなことはわかりませんが」

変わり者の中の変わり者

銀河系の星々の中からは、過去10年間で数千個の惑星が見つかっている。そのほとんどが主星のすぐ近くを公転する木星型の巨大ガス惑星「ホット・ジュピター」か、地球よりも大きく海王星よりは小さい岩石惑星「スーパーアース」だった。しかしTOI-849bは、どちらにも当てはまらない。

この惑星は、米航空宇宙局(NASA)の宇宙望遠鏡「トランジット系外惑星探索衛星(TESS)」によって発見された。TESSは太陽系の近くにある明るい恒星20万個を観測している。恒星の前を惑星が横切ることがあれば、恒星からの光が一時的にわずかに暗くなるので、惑星の存在を知ることができる。

トランジット法と呼ばれるこの観測法により、TOI-849bが主星の周りを18時間で一周していることがわかった。主星からの距離が非常に近いので、惑星の表面温度は約1500度にもなる。

TESSによる観測から、この惑星の直径は地球の約3.4倍、海王星の0.85倍に相当することがわかった。大きさだけなら「ホット・ネプチューン」と呼べるが、後述するように質量は異なる。主星から非常に近い領域を公転する系外惑星は、ほとんどがホット・ジュピターか、それよりはるかに小さいスーパーアースばかりで、ホット・ネプチューンは見つかっていなかった。ホット・ネプチューンが見つからない領域という意味で「ホット・ネプチューン砂漠」と呼ばれている。

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