銀座の「ユニクロTOKYO」は大人仕様 石津祥介の目

写真投稿で「おすすめアイテム」提案

――こちらの店舗はリアルとデジタルの融合も特徴だと聞きました。どんな仕掛けがありますか。

工藤「たとえばこちらの壁面のディスプレーにはたくさんの着こなしが映っています。このモデルの服がほしいなと思ったらスマホをかざす。すると、3階のここにありますよ、というフロアマップが出ます。また、写真を投稿すると、その人の服装を解析して、おすすめアイテムを提案します。石津さんの写真を投稿してみますと、シャンブレーのシャツがおすすめアイテムとして出てきました」

アプリのスタイルヒントと連動して動く壁面のモニター。おすすめアイテムがどこにあるかすぐわかる

――店員さんが探し回る必要がなくなり、スムーズに商品を手に取れるようになりますね。

石津「デジタルが欠かせない人を僕は電人(でんじん)と呼んでいるんだけど、いまの服は売り方も含めて、テクノロジーを駆使した電人仕様になってきました。それが若い人をつかむ。一方で若い人たちの間では心と文化が置き去りにされているような気もしています。だから、VAN(ヴァンヂャケット)がかつて男の服のTPOを教えたように、ユニクロさんには改めて、服の基本を伝えてほしいな。異性を意識すると、こうしたらカッコよくなるといったことも含めてね。おしゃれは異性を意識する気持ちから始まるのだから」

――メンズウエアといえば、こちらでは日本で最大のパターンオーダーのスーツがそろっています。メンズMD部ウィメンズMD部部長の田中敦さん、商品本部の依田剛明さんにお話をうかがいましょう。

「ユニクロのスーツなら思い切って襟をなくすとか、大胆でもいいんじゃない」と依田さん(左)、田中さん(右)と話す

田中「ユニクロでは19年秋にウールのスーツをリニューアルし、20年5月からは感動ジャケットと感動パンツのパターンオーダーもはじめました」

石津「ユニクロさんのパターンオーダースーツと聞くと新鮮ですが、アフターコロナではどうだろうか。ライフウエアとうたっているし、カジュアルなのだから、ビジネス側に向かない方がいいのでは。むしろ、これからもっと必要とされるのは女性用スーツであり、アジア各国に向けたスーツなんだろうと思うけどね」

「よくできているね」。ウールのスーツは9サイズがそろう

スーツは軽く、カジュアルに

田中「女性用も力を入れています。スーツの需要も変化していて、今では硬くて重くて着心地が悪いというものは受け入れられません。感動ジャケットと感動パンツはポリエステルで軽くてストレッチ性もあり、よりカジュアルです。Tシャツに合わせてカジュアルに着こなす若い世代も多いです」

オーダースーツは最大の品ぞろえだ

依田「感動ジャケットとパンツのセットアップでは8サイズ、ウールのスーツでは9サイズをそろえています。ウールではスリムフィットとレギュラーフィットの2パターンを用意し、着丈は2センチ単位、袖丈は1センチ単位で調整できます。スーパー110'sウールという上質素材を使っていてストレッチ性もあります」

――感動ジャケットは着てみていかがですか。

石津「いいですね、軽くてね。これで十分だ。ただ僕にとってはあまりにも軽すぎるから、着る期間が少し短いかもしれない。むしろこちらのウールがベーシックで合いそうだ」

田中さん(左)とウールのスーツを試す石津さん

依田「きちんとしたスタイルということでおすすめはウールです。横方向にストレッチがあるので着やすいですし、裏地は背抜きでスリーシーズン対応できます。ネイビー、黒、グレーとそろえています」

4階のはデニムのリサイクルボックスが置かれている

石津「温暖化が進んでいますから冬でもこのくらいで十分でしょう。紺ブレも着てみたけど、全体にかなりアップデートされている感じがした。ユニクロさんの服はどれも抵抗がない。ノーアイロンシャツも変にぱりぱりしていなくて、こなれています。ボタンはもうちょっとハードにした方がいいと思うけど」

――キッズやアーティストとのコラボTシャツを展開する4階では、ユニクロのリサイクル活動がわかる展示もあります。

石津「僕がいまやっているのが、着なくなった服をもう一度見直すこと。捨てようかなと思っていた服が意外にしっくりくることがあります。着なくなった服を使ってコーディネートのコンテストをやるのも、面白いんじゃない」

石津祥介
服飾評論家。1935年岡山市生まれ。明治大学文学部中退、桑沢デザイン研究所卒。婦人画報社「メンズクラブ」編集部を経て、60年ヴァンヂャケット入社、主に企画・宣伝部と役員兼務。石津事務所代表として、アパレルブランディングや、衣・食・住に伴う企画ディレクション業務を行う。VAN創業者、石津謙介氏の長男。

(聞き手はMen's Fashion編集長 松本和佳)


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