胸キュンラブと熱い感動 「ピノキオ」パク・ヘリョン脚本家で見る韓国ドラマ(3) ラブ&社会派ドラマ編

「ピノキオ」(C) SBS
「ピノキオ」(C) SBS
Paravi

動画配信サービス「Paravi(パラビ)」で配信されている作品の中から、注目の脚本家にスポットを当てて紹介していく特集の第3弾のテーマは"ラブ&社会派ドラマ"。韓国ドラマでよく見られるのは、ジャンルが1つに収まらないドラマだ。例えばラブコメとかラブストーリーだけにとどまらず、その中に強烈な事件やサイコパスや社会派メッセージが入ってくるというフュージョン(融合)タイプのドラマである。

そんな中でラブストーリーとヒューマンな感動の合わせ技が素晴らしい脚本家をあげていくと、個人的に真っ先に頭に浮かぶのが「君の声が聞こえる」(2013年)、「ピノキオ」(2014~2015年)のパク・ヘリョンだ。大きな事件を軸にして、序盤で見せていた伏線が1つにまとまっていく過程や、縁、因縁の連鎖、そして訴えかける社会正義にはいつも熱く感動させられる。

年下男性が年上の女性弁護士に向ける、いちずな恋心に胸キュンなラブストーリーと法廷ドラマを見事に融合させた『君の声が聞こえる』に続いて、ラブストーリーと報道をうまく組み合わせ、切ない胸キュンラブあり、メッセージありの感動のヒューマンドラマに作り上げたのが「ピノキオ」。

「ピノキオ」(C) SBS

「ピノキオ」は、報道被害でつらい過去を背負った青年と、嘘(うそ)がつけない体質というハンディを負う幼なじみの女性が、ともに記者を目指し、成長していく、愛と人生を描いた感動のヒューマン・ラブストーリー。血のつながらない家族の情や、血縁なのにうまく結べない母子の情など、人とのつながりにほっこりしたり涙したりしながら、報道とは、記者とはどうあるべきなのかを考えさせられていくのだが、ラストに近づくにつれ、因果はめぐり、それまでに何気なく描かれていた一つ一つ、一人ひとりが絡んできて大きく集結していく展開は、ゾクゾクッとくる高揚感と面白さだった。とにかく脚本の素晴らしさにしびれた作品である。

「ヒーラー~最高の恋人~」Licensed by KBS Media Ltd. (C)2015 KBS. All rights reserved

社会派ドラマの金字塔と言われる「砂時計」(1995年)という名作を書いたソン・ジナも、ラブストーリーにヒューマンなメッセージを込めるのが得意だ。「シンイ-信義-」(2012年)はタイムスリップと時代劇におけるさまざまな信義の形を見せながら、萌(も)え感120%のラブストーリーだったし、孤独に生きる仕事請負人の活躍と愛を描いたアクション・ラブロマンスの「ヒーラー~最高の恋人~」(2014~2015年)でも、家族の縁が薄く、人と深くかかわらないように生きてきた"闇の便利屋"ヒーラー(チ・チャンウク)が、同じ境遇ながらも明るく生きているヒロインに引かれていく過程は胸キュンで、とくに彼女の前ではヘタレな後輩として振る舞いながら、陰ではいつも彼女を助けてあげるというギャップ萌えで、チ・チャンウクに恋する女性を続出させた。で、そんなラブストーリーとともに、人物たちの過去の因縁と隠された真実をあぶりだし、社会の裏で暗躍する権力を暴いていくというタッチも、さえていた。

「キルミー・ヒールミー」(C) 2015 MBC

さらに、チン・スワンも、時代劇から現代劇まで、愛の話とともに硬派なメッセージが伝わってくる脚本家だ。大ヒットした作品に大人たちの権力争いの犠牲になった若き王のいちずな初恋が切なく描かれた時代劇の「太陽を抱く月」(2012年)があるが、私がイチオシなのが「キルミー・ヒールミー」(2015年)。7つの人格を持つことに苦しんでいる御曹司とそんな彼を何としてでも救いたい精神科医が織りなすラブロマンスだ。ヒロインが元気がいいので表面的には明るいラブコメトーンで進んでいくが、根底には、子供のころに深く刻まれた心の傷が精神をむしばんでしまうという深い闇が漂っていて、二人の絆や切実な思いにキューンとくる。

そして主人公に単にたくさんの人格がいたわけではなく、そこにはきちんと理由があり、予想を超えた意外な展開も用意されていて、ミステリーとどんでん返しが続いて最後まで緊張を解かせない見事な構成だった。

今回あげた作家たちのドラマがうれしいのは、見終わってヒューマンな感動が広がりながらも、見ている間はずっと主人公たちの愛にキュンキュンできるところだ。萌えと感動がきちんと同居していて、やっぱり韓国ドラマは最強だなあと思わせてくれるのである。

(文:韓流ナビゲーター 田代親世)

[PlusParavi(プラスパラビ) 2020年6月24日付の記事を再構成]

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