準グランプリを受賞した「ガーリック清湯SOBA」

準グランプリは「ガーリック清湯SOBA」(大類渉さん、31歳、山形県)が受賞した。ニンニクをスープに香味油にカエシにトッピングにと、多様な使い方でガッツリ系を主張するも、見た目は上品な清湯(ちんたん=澄んだスープ)。麺は3種類の小麦粉から作り上げるオリジナルだ。

作者の大類さんも、10年ほど前からラーメンの食べ歩きにハマり、年間300食を食べてきたという強者。「この経験から、どんな食材をどのくらいの量を使うとどのような味になるかという味覚バランスを培うことができた」という。昨年、製麺機をオークションで落札したことがきっかけで、本格的に自作することも趣味に加わった。

辻調理師専門学校の西浜氏は、「この麺は加水率などから計算すると、製麺機でないとできないプロの仕事。スープも、掃湯(さおたん=澄んだスープを作る作業のこと)をきっちり行っている」と評価した。管理栄養士の佐藤氏は、「ニンニクに含まれるアリシンという成分は免疫力を上げる働きがあるとされ、米国ではがん予防のフードピラミッドの頂点に君臨している。そのニンニクをいろいろな調理法で提供するところに工夫がうかがえる。今のこの時期、まさに食べるべきラーメンだ」と話した。

特別賞を受賞した「幸せな気持ちになる大人のラーメン」

特別賞は「幸せな気持ちになる大人のラーメン」(伊波竜一さん、43歳、山梨県)。沖縄県出身の伊波さんが故郷への思いを込めて、スープにはアグー豚の豚骨からとっただしを使った。濃厚なスープを味わった後には、口直しとしてカツオだしのスープを別器で味わってもらう提供スタイルもユニーク。チャーシューを豚軟骨で作るのも珍しい。チャーシューは泡盛などでトロトロになるまでじっくり煮て、バーナーで香ばしくしている。

ラーメン官僚の田中氏は、「このようなギミック(2種類のスープを段階的に味わってもらう)が実現できる力量の人が手掛ける1杯が、おいしくないわけがない」と断言。辻調理師専門学校の西浜氏は、「チャーシューを豚軟骨で作るのは一般的な中国料理には見られないが、圧力鍋やバーナーなど調理法を工夫しているところは見事」と語った。

伊波さんは24歳で料理の道に入り、イタリア料理店や沖縄そば店で修業を重ねてきた。「ラーメンを作るのは、沖縄そばをもっとおいしくできないかという思いから。加えて、自分の人生で知り合った人にもっと元気をあげたい、感動させたい、つながりを持ちたい……。そのツールが自分にとってはラーメンなんです」。その伊波さんの思いが、「幸せな気持ちになる大人のラーメン」につまっているのだろう。

このコロナ自粛期間中、ラーメン店での行列は消えたが、ラーメンを愛する多く人の気持ちが寄せられた。ささやかなラーメンの一杯が日本を元気にすると期待したい。

●「ラーメン・レシピ・コンテスト」の概要
主催     :日本経済新聞社
協力     :テレビ東京
レシピ応募要件:国内で調達できる食材を用いること、プロ・アマは問わない
         「並んでも食べてみたい」ということから、ラーメン店での
         提供を想定した価格と食材原価を記載、など
レシピ応募期間:4月13日~6月8日
一次書類審査 :6月9日~6月12日
二次書類審査 :6月12日~6月19日
ウェブ投票期間:6月26日~7月15日
ウェブ獲得票数:1460
書類審査員  :辻調理師専門学校 中国料理特任教授 西浜康之氏
         東京医療保健大学 医療保健学部 医療栄養学科
                       博士・管理栄養士 佐藤祐子氏
         NIKKEI STYLE
           グルメクラブ「ラーメン官僚 オススメの一杯」 田中一明氏
         NIKKEI STYLE編集長 高橋祐司
         NIKKEI STYLEグルメクラブ編集長 中野栄子

(中野栄子)