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リモートワークで「転勤」 三菱地所子会社の試みとは

チーム「あたらしい 転勤 はじめました」(下)

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NIKKEI STYLE

前回「『本当に転勤は必要?』 営業女性たちが実験してみた」で三菱地所プロパティマネジメント(東京・千代田)の女性営業社員チームがリモートで業務を実施、転居せずに異動先の業務をこなせないかと実験した結果について聞いた。会社はその結果を受けて、制度化に向けてさらに実験を重ねるという。内容や狙いをメンバーに聞いた。

会社にも大きなメリットがある

白河桃子さん(以下敬称略) 「新世代エイジョカレッジの審査では、社外だけではなく社内の『巻き込み力』も評価されました」

岩楯薫さん(以下敬称略) 「社内のイントラネットで実験の過程を定期的に共有、社長にも何度か直接説明する時間をいただきました。実験の結果、『あたらしい転勤』は会社の将来にとってもメリットがあるという確信を得られましたので、社長にもプレゼンテーションをして、激励の言葉をいただきました」

白河 「会社にとってどんなメリットがあると説明したのですか」

吉野絵美さん(以下敬称略) 「まず、『人材確保』の面でのメリットです。『転居』を理由とした離職をおさえ、男女問わず様々なライフステージとともに継続したキャリアアップができる働き方をフォローできます。ほかにも、例えば大阪のプロジェクトで急きょ人手不足になったとき、新たに現地で採用するよりも、東京の社員がリモートで手伝うほうがはるかに効率的な人材配置につながるのではという発見です。もう一つは、『コストの削減』です。転居を伴う転勤を行った場合と比べて、出張ベースのリモートワークを行った場合にかかる費用は3分の1以下になることが分かりました」

白河 「それは非常に大きなメリットですね。転勤は一般的に1人150万円ぐらいのコストといわれています。今後は『配属が大阪に変わっても、東京に住み続けながら働く』といった選択肢が増えるのでしょうか」

吉野 「そんな柔軟な働き方を促進できるような追加実験・検証を、20年度も継続していく方針が決まりました。メンバー6人のうち2人が働き方改革推進部の兼務になり、人事企画部とタッグを組んで、制度化に向けて急ピッチで準備しているところです。コロナの状況にもよりますが、9~12月ごろに追加実験を行って、21年度から正式な制度化を実現したいというプランです」

男性の営業職にも実験が必要

白河 「制度化までつなげていくとは、素晴らしいですね。しかしながら、実際に制度化となると、さらに検討すべき問題が出てくるのではないでしょうか」

吉野 「そうですね。転勤は女性だけの問題ではないので、追加実験では男性の営業職にも参加してもらおうと考えています。会社としても『成長のために、若いうちに様々な仕事を経験してほしい』という思いがあるはずなので、それをより可能にする制度として磨いていきたいです。また、一つ重要なポイントとしては、この『あたらしい転勤』は現地で日常的に業務する人がいるからこそ成り立つ働き方であり、働き方の選択肢を増やすことにあるということです」

白河 「リモートワークに関しては『現場の社員は歓迎ムードでも、パソコンに不慣れな年長の世代が消極的』という状況がよく聞かれるものですが、御社の場合はいかがでしたか」

吉野 「正直、当社にも近い雰囲気はありました。ただ、コロナの影響で役員クラスも含めて全員が日常的に在宅勤務を経験したことで、ガラリと変わったと思います。もともと働き方改革によってモバイルパソコンの導入や在宅勤務制度などの環境整備が整っていました。また、昨夏はオリンピックに向けて全社でテレワークを推進していたなどの追い風もあって、『オンライン会議もやってみると悪くないね』という反応が上層部からも増えました。やはり体験の効果は大きいです」

物永真衣さん 「弊社もすでに制度として、誰でも1カ月に6日まで在宅勤務できる環境ではあったのですが、これまでは『子育てや介護など特別な事情がある人が使うもの』というイメージがありました。これからは全社員が在宅を適宜織り交ぜながら、より生産性の高い仕事を目指すスタイルに変わっていくのではないかと感じています(取材時の6月の出社率は50%)。『あたらしい転勤』の制度化についても、3月時点では『検討』レベルだったのが、4月以降は『来年度の制度化に向けて頑張るように』という、より強い後押しを感じるようになりました」

コロナでオフィスの価値を見直す

白河 「リモートで働くことへの抵抗感がなくなりつつあるのですね。一方で、『これはリモートでは難しいよね』と再認識する部分も見えてきたのではないでしょうか」

吉野 「ありました。今まさに社会全体で議論がなされている『オフィスの価値』について再定義する機会になりました」

白河 「まさにオフィス中心地の大家さんという御社の本業に生かされる気づきですよね。今後、オフィスの価値はどのように変わっていくと思いますか」

吉野 「しばらく在宅勤務を続けて久しぶりに出社したときに感じる『人と直接会って話すことの幸福感』や『意思到達の速さ』などの『対面の価値』が、これから大切にすべき『オフィスの価値』ではないでしょうか」

原田真希さん 「同じ場にいるからこそ効率的にスキルやノウハウを伝えられる、教育上の価値も大きいと思います。私はちょうどこの春に部署異動になったタイミングで在宅勤務に。ちょっと誰かに聞きたい疑問点が出てきたときに、オフィスだったら、同僚の手が空いたときを見計らって聞けるのですが、リモートではなかなかタイミングを計れなくて、業務の引き継ぎにも時間がかかってしまいました。私の場合は異動でしたが、入社後間もない社員はもっと大変だっただろうと思います」

吉野 「個人的に一番実感している『オフィスで働く価値』は、コミュニケーションに余白があることです。例えば商談の前に上司とエレベーターの中で確認をしたり、『それでは今日はこれで』と商談を終えてからお客様と軽く話をする数分の間に、交渉がぐっと進んだりすることはよくあるなぁ、と。リモート会議では、この『前後の余白』が生まれにくいなと感じています。

こういった価値にフォーカスしたオフィス環境とは何か、より深く考えるようになりました。会話が自然と弾むレイアウトなのか、おいしいコーヒーなのか。わざわざ来たくなるような付加価値がオフィスに求められていますね」

白河 「社会全体で『対面の価値』を考える機会が増えたことは、『あたらしい転勤』を進める強力なエンジンになりそうですね。さらなる発展を期待しています。がんばってください」

あとがき:毎年新しい働き方、営業の価値のヒントを与えてくれる「エイジョカレッジ」の受賞者を、今年も取材することができました。満場一致のグランプリも、各社が「転勤」という課題を抱え、それに果敢に挑戦した姿に共感したからこそです。エイジョの試みの価値は、実証実験にとどまらず、その後、企業の正式な施策として広がっていくこと。営業職女性たちが知恵を絞り汗を流した結果が、会社自体を変革する原動力となるのです。19年と20年の何が違うかといえば、強制的に多くの企業人が「在宅勤務」を経験したことで、リモートに抵抗がなくなったこと。対面がマストという営業スタイルを変え、持続可能なキャリアの可能性を広げる「転居しない転勤」が多くの企業にも変革を起こすことを期待しています。

白河桃子
 少子化ジャーナリスト・作家。相模女子大特任教授。内閣官房「働き方改革実現会議」有識者議員。東京生まれ、慶応義塾大学卒。著書に「妊活バイブル」(共著)、「『産む』と『働く』の教科書」(共著)、「御社の働き方改革、ここが間違ってます!残業削減で伸びるすごい会社」(PHP新書)など。「仕事、結婚、出産、学生のためのライフプラン講座」を大学等で行っている。最新刊は「ハラスメントの境界線」(中公新書ラクレ)。

(文:宮本恵理子、写真:吉村永)

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