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キャリアをつくる戦略読書

2020/7/21

キャリアをつくる戦略読書

セグメントごとに読み方を変える

読書は楽しいことが第一です。イヤイヤ読んでも頭には残りません。

でも、全体としての読書効率を上げるためには、「効率の良い読み方」もトライしてみましょう。

基本は「ビジネス系は必要なところだけピックアップ」「非ビジネス系はじっくり味わう」なのですが、そうするための前提も考えると、次のような感じの読み方がいいでしょう。

ビジネス系基礎:少数の古典をじっくり読む。応用読書の基礎をつくる
ビジネス系応用:成功・失敗事例やファクトのみをピックアップし、新しいコンセプトやフレームワークの学習は最小限にとどめる。どうせ使いこなせないから。
非ビジネス系基礎:ヒトやコトの本質に迫る本を選んでじっくり読む
非ビジネス系新奇:売れたものや信頼する人のオススメ本を斜め読み

ビジネス系は、基礎ができていれば応用はつまみ読みで大丈夫です。

もともとがロジカルな世界なので、経営事業戦略・財務会計・マーケティング・生産・物流・人事組織・商品開発・IT・オペレーション・ロジスティクスなどの基礎をまず理解しましょう。あとはその上に立つピラミッドに過ぎません。ただその基礎を築くために、各分野の基礎本を1冊でいいので熟読玩味しましょう(さらにその前に、それらを1冊でカバーする経営学基礎本として拙著『新しい経営学』もお奨めです)。線を引いて、メモして、SNSやブログに書いて、もう1回読んで。

その「基礎」さえあれば、応用セグメントではそこから何が違うのか、新しいのかだけを、気にすればいいことになります。

非ビジネス系は、とにかく幅が広く「すぐに何かの役に立つわけではない」本だらけなわけですが、だからこそ本質にこだわります。ヒトやコトの本質を描いた(といわれる)名作を選び、じっくり味わいましょう。そして良いと思ったなら、その本質をちゃんと抽象化して記憶しておきましょう。

アーサー・C・クラークのSF『幼年期の終り』はSF界の金字塔です。ここで語られるのは、新人類の誕生と旧人類(われわれ)の宇宙人による救助。でもこの物語の本質は「進化とは断絶である」ということなのでしょう。

われわれから生まれ出た新人類は、圧倒的な能力とコミュニケーション力を持ちます。それはままごと遊びで地球を破壊できるほどの力なのです。そんな者たちを相手に、どんなコミュニケーションが成り立つでしょうか。われわれは親ですが、子どもたちを理解すらできないことになるのでしょう。「進化」とはそれほど厳しいものだということを、クラークは教えてくれました。最後に少し、旧人類への救いのメッセージとともに。

そんな名著のいくつか(三谷選)の本質を、次回は紹介します。

三谷宏治
 KIT(金沢工業大学)虎ノ門大学院 教授。
 1964年大阪生まれ、福井育ち。東京大学理学部物理学科卒業後、BCG、アクセンチュアで19年半経営戦略コンサルタントとして活躍。92年INSEADでMBA修了。2006年から教育分野に活動の舞台を移し、年間1万人以上に授業・講演。無類の本好きとして知られる。著書に『経営戦略全史』『ビジネスモデル全史』『新しい経営学』など。『お手伝い至上主義!』『戦略子育て』など戦略視点での家庭教育書も。早稲田大学ビジネススクール・
女子栄養大学で客員教授、放課後NPOアフタースクール・認定NPO 3keysで理事を務める。永平寺ふるさと大使、3人娘の父。

戦略読書 〔増補版〕 (日経ビジネス人文庫)

著者 : 三谷 宏治
出版 : 日本経済新聞出版
価格 : 1,100円 (税込み)

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