多くの学生にとっても、オンラインによる就職活動は突然の変化で対応しきれていないのが現状でしょう。困惑している学生が多く、採用プロセスのどこかで対面式の機会を望む声が大多数を占めています。さらに、急に採用プロセスのオンライン化が始まったため企業側の準備とノウハウが不足しており、スムーズにいかなかったという学生側からの声も聞かれています。

現状、新型コロナの影響で企業も学生も混乱しており、皆が突然の事態にできることを模索し手を打っている状態といえます。課題も多く、トライ&エラーを繰り返していく必要があるでしょう。

新型コロナによる大量一括採用崩壊のシナリオ

新型コロナの影響によって、新卒採用は「オンライン化」と「通年採用」という2つの大きな変化の渦中にあります。これまでの日本企業の新卒採用は「定期性」「大量一括」「面接偏重」という3つの特徴をもち、世界で日本だけの特殊な慣習となっていました。

面接偏重の大量一括採用は20年以上前から制度疲労の問題が指摘されていますが、それでも一定の合理性があったために長年継続されてきました。

大量一括の新卒採用の主な合理性は、

1.自社の社風に合う学生を多数の候補者同士で比較しながら、長い時間をかけて吟味できる

2.不足している大量の人員を個別対応するよりも、低いコストで採用できる

3.毎年の定期行事にできるので業務プロセスを定型化できる

4.若年労働者に対して雇用保障ができる

5.中小企業も定期採用の時期に求人を出すと学生を採用できる

といったことで、特に社会的には「4」と「5」の効果が絶大です。他の先進諸国も抱える若年層の雇用問題や中小企業の人手不足問題の緩和に一役買ってきました。新卒の大量一括定期採用がなければ、中小企業の新卒採用は今よりも多くのコストをかけることが必要だったでしょう。

碇邦生氏は日本の採用システムは大きな転換期に差し掛かったと指摘する

しかし、環境の変化は日本独自のローカルルールである新卒の大量一括定期採用という伝統手法の継続を困難なものにしています。人手不足問題や求める人材要件の変化、ジョブ型のキャリア志向、終身雇用を前提とした人事制度の限界、グローバル採用といった課題が従来のやり方からの脱却を促しています。

さらに今回の新型コロナ騒動で、物理的に新卒採用の定期性が損なわれることとなり、採用活動の時期を流動的にしなくてはならなくなりました。政府は経済界に通年採用を視野に入れた柔軟な採用活動を要請し、経団連も通年採用を後押しして、雇用の脱一律を目指すように提言しています。

実際に企業が通年採用を導入しようとすると、採用実務が混乱し崩壊する恐れもあるでしょう。それは、通年採用の目的と、労働市場や競合との関係性が企業によって異なるためです。特に、就活における業界内での人気度と会社の知名度で、通年採用のあり方は変化すると思われます。

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